ロサンゼルス〜海(ディサポイントメント岬)

――――――ロサンゼルス

「おなか・・・グゥー---。」

「店に入ろう。できれば水が飲み放題のところ。あそこはどう?」

空の指さした先には『焼き肉』と書かれていた。

「お金は?そういや虹の根本で宝石あったから持ってきたんだっけ?売ろうかな・・・?」

「宝石の価値なんて興味はないけど旅銭はあるだけあればいい。」

「えっと、つまり?」

「売る。」

空の言い回しにはなれる気がしない。

子供・・・とはいっても18歳なので大人といえば大人なのだが、大丈夫か不安にはなる。

「縺?i縺」縺励c縺?シ∵鋤驥托シ?300??シ」

「それで。」

「えっ?えっ?」

「いこう。ここにはもう用はない。」

空にまかせてよかったのか・・・?それ以外ないのだが。

どうやら17万円ほどになったようだ。

「肉。」

空の一言でなぜか大量の肉が運ばれてきた。

「ちょっ、(ちょっと空!こんなに食べられないよ!)」

「これがレギュラーサイズだ。アメリカのお子様サイズだ。仕方ない。」

「へ、へー--。ふーん?(なんで、んなこと知ってんの??)」

もちろん空はペロリと平らげた・・・が、私はそうはいかず・・・。

「気持ち悪くなってきた。これフードファイターの量じゃん!」

「うむ。」

そういうと空はコトンとコップを置いた。

ガブっ!!

「!!」

空が噛んだ。肉をガブリガブリと口に収める。

おぉぉぉぉぉぉー-----!!!

あの小さな体のどこに入るんだろう??

しゅっ!

空は天に腕を掲げてガッツポーズを取った。

みなかったことにしよう・・・。

時雨は無言で店を後にした。

「ふぅ・・・。虹だ。最近多いよね。そういえば出てる方向違うような・・・。」

「時雨。待たせた。」

「空。虹の方向ってなんかあるの?」

「なんかとは?」

「虹の根本とか・・・。」

「ふむ。なくはない。だがたどりつくこともない。」

「ドユコトデスカ。」

虹の根本は七つある。七人の秋をそれぞれ祭っている。終わらない秋を終わらせるため。

それぞれGHUQ”AKANE”  GHUQ”YUUYAKE”  GHUQ”RAKUYOU”  GHUQ”SYAZITU”  GHUQ”SYAYOU”  GHUQ”RAKUZITU”

となっている。それぞれの名は赤い日斜を表していて虹が均衡を崩したとき西へ、そして南へ動き始める。

つまり秋を一人でも助けるということは他を捨てるという選択になるというわけだ。

つまり”もし”秋が最後の一人まで助け出されようと最後の一人は消えてしまうことになっている。

之こそが七人賢者の置いた罠というわけだ。因みに虹の根本は世界に散らばっている。・・・動きながら…ね。

「ゴクッ・・・。つまり秋っていうのは死なない人っていう・・・?」

「そうなる。」

空・・・。かわいそうに・・・。

ぎゅっ!時雨は空を抱き寄せた。

かわいそうに・・・。そう言って静かに目を閉じてつぶやいた。

星が燦々と輝いても彼らを照らすことはなかった。

――――――ベーカーズフィールド

ベーカーズフィールド,1の靴屋ここにあります。

看板を見ている分には構わないだろう。だが。この先に進むというなら命は貰おう!

「時雨。またか。」

ベーカーズフィールドの境界線に立ったのが運の尽き。どちらへ進もうが地獄。

この選択こそ秋を終わらせる。運命ならば・・・。斬る!!

「時雨。その辺で。」

「ええー-?ここからがいいとこなのに?もうちょい!もうちょいだから!」

ベーカーズフィールド,1の靴屋・・・の机で小説を書く時雨。

そしてそれを止める空。力関係的には時雨は劣っている。しかし?ひつこさなら同店だ。

空がやめさせようとしても無理!と意地を張るのが時雨。

時雨になにを言わせてもそのとうりになってしまう。舌の上手さを間違えて産まれてきたやつ。

それが時雨。

机に突っ伏している姿はまさにコアラ!コアラではないような。

「タコス!HEY!タコス一つプリーズ。」

時雨の声を無視して空へと尋ねる。

「繧ソ繧ウ繧ケ縺ゥ縺?〒縺吶°?」

「いただこう。」

「空!こっちにも!一個お願い。」

「では6ついただこう。」

空の胃袋にはすでにマンゴージュース、鳥のささ身、ライスボールなどなどが入っている。

もぐむしゃごくん。

ものの10秒でたいらげやがった・・・こちとら見てて胸焼けしてるってのに。

「ここから北。さらに西へ行く。すると涼しくて過ごしやすい地域に出る。そこを目指そう。」

「うー-ん。ここでも十分涼しいけどなあ?」

「まあ秋だからな。どこに行っても秋ってことはだ。流氷なんかが比較的適温で見られるってことだ。」

「み、見たいの??」

「すごく。」

つまりこの旅で最終目標は流氷だね。ってことか。

シャカシャカ。シャカシャカ。

うん?セリフ・・・圧倒的メキシコ人過多。

虹が出た。いい加減しつこい!

せっかくなので虹にお願いしておいた。

『オーロラが見れますように・・・。』

――――――――――フレズノ

ここで立ち止まらないで!

看板にはそう書いてあるらしい。

「そらー?そういやさー。私バーべキュウーしてないー。」

「それは仕方ない。道具がないからな。」

「え?あるよ?何のためのリュックだと・・・?」

「いやいや・・・。この旅で歩きまくったのにそんなもんを大事に背負ってたのか。」

「あぁ~・・・?馬鹿にするんだ?ふーん。それはいいけどこっからは空が持つんだからね?」

「???」

「いやならいいんだけど空は女の子より力ないのかー・・・?ふーん?」

「安い。持たざる負えないな。安すぎて。」

「挑発がってこと?」

「うむ。」

「さてと。とりあえず野宿は決定してるにしても食べ物だよ。食べ物。」

「時雨。肉はないか?リュックに調味料が多数入ってた。いい味付けにできそうだ。」

「ないよ?」

「!!」

「ないよ。」

「!?」

「ない。」

「????!!!!!」

「まあ肉はないけど野菜はたっぷり・・・。」

「ふむぅ。野菜か。貸してみてくれ。」

「?。ま、まぁうん。」

「ここにニンジンがある。そして少し穴を掘り、ビニールシート、土の順で盛る。」

「う、うん?」

「さらにロープで罠を張りニンジンで・・・。」

ぴょん!!ぐい!ぶらん。

「と、こうなるわけだ。」

「えぇー?タイミングぅー。」

「まあ。これは極端な例ではあるが・・・。」

「さて、このうさぎをぶら下がったまま・・・。」

しゅっ。しゃっ。しゃっ。

すごい。血が一滴も出ない・・・。

「っと!これで焼いたら肉が食える。」

「肉のための知識量ね・・・。」

空の知識に偏りが見えるがまぁいっか。

ジュ――――。。。。

「空?焼けてるよ?」

「まて。もう一匹くらいとっておこう。保存食だ。」

その情熱をほかに注げよ・・・。

ジュ――――。。。。。

もぐもぐ。もぐもぐ。

ジュ――――。。。。。

む、無言・・・。さすがにって、まて。

「そーらー?野菜食べてないじゃん!栄養だから食べなよ?」

「野菜に含まれる栄養素はおそらくウサギに含まれると思われるが・・・。」

「その理論。日本じゃ通じないから!」

「むむぅ。そうか。なら食べよう。」

空の胃袋に押し込めてやった。

虹・・・。?。そういえば同時に二個とか見てないよね?こんなに多発しててよくできてる。

―――――――サクラメント

ふぅ。やっとサクラメントだよ・・・。ここでどのくらい北に来たの?シャレではなく。

んんーと?ここまででやく二割?意外といってるけど足腰が限界近い・・・。

地図とにらめっこしつつ買い物を済ませていた。

とりあえず日持ちのするもの・・・と、肉。空は名前の意味を考えればいいと思うの。

さてと、緯度と経度を確かめてっと・・・。バスか。外国のバスなんて乗ったこと・・・。

空をジト目で見た。そういや空にだけ言葉通じてるし・・・。バスくらい乗れる?

「空?バスの乗り方ってわかる?」

「ああ。料金を先払いする乗り物だ。」

「ナイス!バス乗れるなら結構楽かも!」

「うむ。片道2セントらしい。」

「・・・え?」

「む?」

「小銭しかダメなのー??」

「いや両替くらいならできるはずだ。」

「なるほど?」

ぺしっ!

空が手を見てみると一ドル札が握られていた。

「たのんだ!!」

「しかたないか。」

バスに揺られて約3時間半。

――――――コースト山脈――夜

ふい――。らくちんらくちん。

おっと?虹・・・ではなくオーロラ?

・・・オーロラ???えっ?オーロラってあの???

「空・・・。オーロラが・・・。ん、眠くなってきた・・・。」

オー・・・ロ・・・ラ。むにゃ・・・。

『秋!見てみろ。オーロラだ。きっと北極から見てるんだよ!』

オーロラ・・・。すーすー。

『秋は寝ちゃったか。起こさないようにっと・・・。」

パパぁ・・・。むにゃむにゃ・・・。

『もしもし。私だ。ああ。最後の秋の輸送中だ。これで秋が終わる。』

グゥー---・・・。おなかすいたぁ・・・。ん。

『秋。おなかが減ったのかい?大丈夫だ。虹にたくさんあるから今は眠れ。』

むにゃ。すーすー。

『ん?虹の食べ物か。適当に答えてしまった。まあ何とでもなるだろう。』


――――――――――シャスタ山山頂

がたっ!

「時雨?いつまで寝てるんだ?いい加減起きないと。」

「・・・」

時雨はうなずく。無言で。しかし丁寧に。

苦しくなってきたがとりあえずはバスを降りてっと。

―――――――ユージン

ゆっくりと下り坂を下っていく。走りながらゆっくりと。

はー。はー。息が白い。おそらくは山頂近くだからだろう。

ざっざっ。

更に下りていく。白い息を感じながら走る。

「時雨。きつそうだが。」

はぁー。はぁぁー-。

初めて自分が肩で息をしてるのを知る。

「くっ。なんていうか。気持ち悪い。」

倒れそうなくらい斜めになる。地面のせいだけじゃない。

実際気持ちが悪くて吐く。

「げほっげほっ。」

自分でもちょっと理解できない。だけど咳き込む。

はぁー。はぁー。ふー。すー。ふー。

横になる。空が青い。なるほど。”空”が青い。

ゆっくりゆっくり。

ぐるんぐるん。

タタタッ。

・・・あっこれ。酸素欠乏症ってやつだ。

空・・・。

「時雨!?」

視界が曇っていく。どんどんどんどん。

しかしそれは突然だった。

(んぐっ!?)

口に何かが当たる。くちびる?

・・・空?

空気が取り込まれる。

「ん、」

「時雨!」

昼なのに月が見える。

「はー---。」

起き上がれた。やっと起き上がれた。

「んむむ?」

口に触れたのは確かに口?

空におぶさり下山するころには無事に歩けるようになっていた。

―――――――ポートランド

ポートランドの岬小屋こちら→

「ポートランドか。」

「空。来たことあるの?」

「まあ。」

「そうなんだ?」

「この先の岬小屋のおやじにあるものを預けてあるんだがとってきていいか?」

「どぞどぞ?一緒いく?」

「ああ。一緒に行こう。」

少し歩いたところ。岬小屋におじいさんがいた。

「おお。おまえさんは。」

「ああ。預けてたものを取りに来た。」

「ほうほう。これかね?」

おじいさんは鍵を出してきた。

「確かに。」

「?。なにそれ?」

「船の鍵じゃ・・・。古くも新しい船。その名も。”赤城”。例の場所に止めてある。」

「例の場所?」

「ディサポイントメント岬じゃ。」

「あの場所から一歩も動けず一歩も動かず。すなわち体表に土が付いてるだろう。」

「えっ?この近く?」

「そうですじゃ。この海沿いから見える岬。ディサポイントメント岬じゃからのう。」

「ごくろうだった。約700年間またせたな。」

「はいですじゃ。」

そういうと老人は消えていった。

「ここから見える場所がそうだ。いこう。」

――――――――ディサポイントメント岬

苔のようなむしろ土くれ・・・いや錆の塊にしか見えない塊。

空が昇り梯子をかける。

からんっ・・・。

時雨に登れと伝えて消えた。

登り終えると空がカギを挿した。

ぎゅう――――ん!

ファンが回る音がする。ぎゅんぎゅんぎゅん。

ぎゅるるー---。

ファン?いや・・・。

「時雨。見てくれ。これが赤城だ。」

苔がとれて全容が現れる。

中に水が入り、外へと排出する。すなわち。

「水上戦艦もどき!」

船が勢いよく発進する。

ざー----っ。

あっという間に陸地を後にする。

ざざー---っ。

海だ。久しぶりの潮風が当たる。

ざんっ!ざざー--っ。

ふと見た先にあったもの。・・・オーロラ。

時雨の意識を吸い込んでしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る