虹の根本~???
―――虹の根本
奥へ進むのに苦労はしなかった。
道があったからだ。自然の、でも不自然な道。
?。横壁に文字が彫ってある。いろんな文字で、いろんな単語で、いろんな言い回しで。
・・・日本語でも書いてある。
『終わらない秋。起こしてはならない。厄災北る。』
そのほとんどが読むのに支障がないレベルに保存状態がいい。よほど人の手に触れてなかったらしい。
其の壁の先で文字が途切れていた。道の終わりらしい。
NIZIの鍵を供えろというからにはどこかに置く場所か差し込む場所があるはずなんだけど・・・。
鍵穴もなければ置く台のようなものもない。
こういう時は基本に帰ろう。
基本*見えるものにこだわるな。
冒険ものにありがちなこととか?
いや、冒険物を“自分で書く”としたら?
読者に伝わる尚且つ難解な解き方・・・。
そう例えば・・・鍵を透かして光を壁に充てるとか?
NIZIの鍵をすかしてみよう。
キラッ!天井からの光で透かして見た。
?。天井?ここ島なのに天井がある?
ここは虹の根本・・・あっ、そっか海から見たとき少し高い場所にあったっけ。
ということは虹より下にいるんだ。
上に登るならさっき道で緩やかになってる壁があった。
少し戻って・・・ここら辺かな?登ってみよう。
ざっざっ。
十数分登ったところか。崖が上に見えているところに・・・上・・・に、扉がみえかくれしている。
「よいしょっと。うんっ。しょっ。」
崖はそれほど高くないので手を掛けて反動をつけて登りきる。
目の前に広がるは宝石のはめられた扉。
大きさはそれほどとは思えない。
(鍵を置く場所・・・鍵穴?)
扉の前に机くらいの大きさの台。
斜めってて置くことはできないがカギ穴が開いていた。
蔦をぶちぶちと払いながら書かれた文字を読んでみる。
日本語では『NIZIの根本 IZINの鍵を示せ』
「ここに鍵を挿せばいいのかな?」
ざしゅっ。異音を放ちながら鍵が刺さる。
ギギギ!異質な音を立てながら回る鍵。
折れそうなくらいの力を込めた。
ガキンっ!音を立てて回りきったことを示す。
「小説なんかだと勝手に開いてくれるんだけどなー。」
扉を押す手に力が入る。ゴゴゴ......。
唸る虹まるでくずれ・・・くずれてるじゃん!!
足元は虹でできてたらしく空高くそびえる虹もろとも崩れていった。
すんでのところで部屋に入ることができた。
質素な石室・・・いやこれは全部宝石?くすんではいるけど・・・。
ここの宝石を持ち帰るだけで一生暮らせそうと思うのは私が子供なだけか?
試しに一欠けら掘り出してみる。
水筒で・・・ゴンっ!!
手に煌くその欠片は・・・一応持って帰ろう。
それよりも明るいようで周りが見えない。
そう、まるで雲がかかったように。
雲の上の様に見えづらい部屋の中央に何か見える。
近づいてみよう・・・。
キンっ!宝石を蹴ったように音が響いた。
キンっキンッキンっキンっキンッキンッ!
音が狭まってくる。
がらっがらがらっ!!
!。水晶の中から誰かが倒れこんでくる。
「わっとと。セーフ。」
どうやら怪我はないらしい。・・・かわりに意識もないらしい。
(おもい・・・。)
どうにもこうにも外に足場はなくなったし。
がこんっ!
なにかとても大きなものが当たる音がした。
そーっと部屋から外を覗くと
「船だ・・・。そっか。虹が崩れて海が流れ込んだ。つまり早くしないと流れてっちゃう!」
梯子は流れたしうんっ!そうしよう!
「てやっ!」
船へと身を投げた。
どんっ!「あいたーっ。」
痛い。当たり前である。だって木ならまだしもコンクリ製だもん。
「う・・・んっ。」
どうやら起きたらしい。あいにく服は着ているのでそういうシーンは見れない。
「そら・・・がは!」
呼吸器に何か詰まらせたらしい。私はもう何も失いたくはない。
その男の子にくちびるを重ねた。
「ふー---。ふー----。」
息を送り込んで異物を奥に押しやる。
「げほっげほっ!はあはあ、水・・・。」
水ならそこ等中にあるよ?などと馬鹿を言ってる場合ではない。
そもそも船が沈みそうなのだ。
「ちょっと待ってて!」
時雨は舵を主舵いっぱいに取った。
ぐぬぬ。さすがに女の腕でこれは・・・。
『ガシッ』
咳き込みながらも舵を取るのを手伝ってくれた。
「・・・・・・!!!」
手が触れた。生まれて初めてかもしれない。異性と手をつないだのは。
「どっどっちに回せばいい??このまるいの!!」
舵のことか。
「右へ利き手の方へグルって回して!!」
「りょーかい!」
夏だというのに少し肌寒いだけども手は少し暖かい。そんな甲板での数分。
どさっ!
男の子はへたってしまった。
大丈夫だろうか?
「そっか!水だよね。みずみず。」
柄杓では足りないだろう。水筒から直接・・・。
でもこれって・・・かん、いやなんでもない何でもない。
ごくごくと勢いよくお茶を飲み干していく。
からんっ。水筒がもうありませんよ!って悲鳴を上げる。
「ぷはー!生き返ったよ。」
この子は何者だろうか。
「キミ、名前は?」
「空。」
短くそう告げた。それ以上は喋りたくないらしい。
びちびちびちっ!
トビウオが崩れた虹に埋もれまいと飛び出す。
「あっまって!」
トビウオを目印にしないと帰る方向すらままならない。
舵を勢いよくきった。がこんっと音を立てて動き出す。
――――海
トビウオの群れを追い越して太平洋へと出る。
相変わらず空は喋らない。
「そら?」
空は空を見上げて上の空。
「秋雨よ 恋よ来いよと 上の空」
「?。」
「俳句。知らない?季節の語句を加えた5・7・5で今の心境を映し出すって歌。」
「秋・・・うぐっ・・・。」
空が頭を押さえて苦しみだす。
「いたいの?大丈夫?」
とりあえずは寝かせた後に水枕を挟んでおいた。
―――――――――???
ざざーん。ざざーん。
海の音が聞こえる。だがしかしそれは私たちの知るそれとは違っていた。
ざざーーーーん。
がんっ!!!どおん!!!
港へと招かれざる客がやってきたようだ。
「空!早く降りて!」
「時雨!飛び降りたら死ぬ!!まず梯子をかけて・・・。」
どうやら招くつもりがなかった。の方の招かれざる客のようだ。
「HEY!!」
「た、たかっ!!外国人???空!あの人に向かって飛び降りて!」
「わかった!」
空が勢いよく飛び降りた。
時雨は・・・梯子をかけて船が沈む速度で陸地へ降りている。
「とう!時雨生還!!」
「遘√?遒コ縺九↓隕九◆縺ョ縺??」
その声に集まってきたのは皆アメリカ人だった。
「螟ァ縺阪↑髻ウ縺後@縺溘°繧芽ヲ九↓譚・縺溘●」
「ふむ・・・。」
「縺薙%縺?i縺ァ蟆上&繧√?闊ケ縺悟、ァ遐エ縺励※縺?◆」
「???。」
私こと時雨には学はない。技術もなければ世渡りもうまくない。
「蜷帙◆縺。縲∽ケ励▲縺ヲ縺?◆縺ョ縺具シ滓?ェ謌代?縺ェ縺?°縺ュ?」
こ、こわい!これは怪談とは違った恐怖がある。
「い、行こう。空!」
「うむ。」
人ごみを走り抜け街の方まで出てきた。
ここまで来ればどうにかなるだろう。
・・・警官が見てるけど大丈夫でしょ。
嗚呼、虹が見える。
「終わらない秋は三度来る。その二回目。」
空の言ってることはわからなかった。
私たちの向かう先はない。
決められぬ旅に出よう。
はるか彼方へ、旅の始まりは私たちが決めるものだ。
虹は確かにそこにあった。だから私たちがここにいる。
行こう。どこまでもどこまでも。コンパスはどこを指してる?
!!。虹のコンパスはくるくると円を描いている。
そういえば虹って最初海の方にあってそこから来たんだよね?
虹ははるか遠く陸地の彼方へと伸びていたのだ。
太陽が沈んでいく。その後ろから伸びる色がいつもより奇麗に見えた。
比喩ではない、確かに”七色以上ある”
「時雨、虹がどうかしたか?」
が虹は瞬(まばた)きの間に消えてなくなった。
空にはもう夕空しかない。
「今日はここでキャンプしようか?」
「気にしない。」
空の言ってる意味が分からない。
「えっと・・・?気にしないっていうのは、どゆこと?」
はあー。空の深い溜め息が聞こえた。
「どこで寝ようが気にしない。野宿でもいい。」
そ、そういうこと・・・。空の深い言動など気に留めなかった。
―――――サンディエゴ
夜明けになってから気付いてしまった。
看板に英語、韓国語、中国語、とにかく様々な言語で何か書かれている。
←サンディエゴ沖ーカリフォルニア半島→
ここってもしかしてアメリカ?
「虹だ。」
そんなことを考えていたら虹が出てきていた。
空が割って入った。
「昔々の話だ。」
昔々季節が終わらなく巡る災害事故が起こった時代があった。
その昔は電気ではなく光で機械を動かしていた。
光は凄まじいエネルギーを産む代わりに宝石の色を奪っていった。
ただ、その災害の時、世界を埋め尽くしていた宝石たちは見る色もなくなっていた。
その災害を止めるべく集められた7人の秋。そして七人賢者と呼ばれる科学者たち。
そして七人賢者の計画した、光を七色に分ける計画を実行に移した。
結果。。。
「結果??。どうなったの?。」
「虹が生まれ、虹の根本に島ができた。」
「終わらない季節は?」
「北極以外で季節は変わり続けるものになった。」
「じゃあ、大成功だね。なに?急にそんな話。」
「虹の根本には七人の秋が安置されたんだ。生きたままね。」
「!!。」
「僕は空じゃないIDナンバーGHUQ”S0RA”」
「でも空は空だよ。」
「本当に?」
「夕空は儚いものだ、だけど代わりはいない。だから美しいってね。」
「時雨・・・。」
空のほっぺにキスをした。
「!!。」
空にはまだ早かったかな?
目の前に人がいるのに気が付かなかった。
「縺薙%縺九i蜈医?繝ュ繧ケ縲よ綾繧九→繧オ繝ウ繝?ぅ繧ィ繧エ縺?繧医?」
「NPC乙。」
「え?」
「いや、この先に行けばロサンゼルスだってさ。」
話しながら歩いたのでさほど距離は感じなかった。
だが、確かに暑い。日本とは別の日差しの暑さ。照り付ける太陽で焼き肉になりそうだった。
グー-ー。。。
肉が食べたい・・・。空に提案してみた。
「空さ。肉食べたくない?ほら。そこらへんの動物でも。」
「だめだ。」
空の思わぬ即答が返ってきた。
「なんでー?そこら辺のなんか見たことのない生物、食べられそうじゃない?」
「日本からアメリカのような土地に渡ってきた場合、3つルールがある。」
其の1.水がないとき肉の様に喉の乾く物を口にするな。
其の2.外国の生き物を殺してはならない。
其の3.見知らぬ生き物には毒があるかもしれない。
「ごくり・・・。かにさー--ん。カニカニー-ー。。。」
時雨は聞いてなかった!
「・・・」ガシッ‼
時雨の首根っこを無言でつかんで移動した。
「ちょっ、ちょちょっと!!待って・・・かにー--ー--!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます