九節 贖罪の方法

 結局のところ、ティアムスは目的の道具の設計を終えたそうだが、どう頑張ってもも今すぐ完成させる事が難しいとのことで、昼食をとってくるように勧められた。


「ごめんね?せっかくのパーティー台無しにしちゃって、パーティーは元々私の行いを償う為でもあったのに…」


 私の少し前を歩きながらO型さんが謝罪を口にする。


「い、いえ、助けて頂いたんですよね?」


「まぁ、結果的にそうなったけど…本当なら、言わない方がお互いの為なんだろうけど、あんまりここの情報は外の人に教えたくないからさ、恩は感じなくて良いよ…」


 O型さんは申し訳なさそうに続ける。


「出来るだけ早く『虫下し』しなくちゃいけないって、言われてたから…どういう手法でレニスちゃんに憑りついてるのか特定したかったの。」


「お酒が効くんですね…」


 こちらが申し訳なく思う程、落ち込んでいる様に見えたので、少し話を逸らせないか、『誰でも実践できる会話講座!』という本に則って話題を変えられないかと挑戦する。


「…」


「…」


 二歩三歩と無言で先を行き、突然振り返ると、真剣な顔をしていた。


 姿こそ私より幼く見えるが、あらゆる点で私よりも勝っている様に感じてしまうのは、気のせいではないはずだ。


 そんな彼女が、真剣な表情を見せるものだから、この話題は、まずかったかなと後悔する。


「実は、確証が無かったの…紋術じゃない事は治療を施した時に確認したんだけど…魔術や動植物系の寄生も考えられない訳じゃなかったの…だから、上手くいって良かったで、済ませちゃいけないんだ…」


 それを私ではなく自分自身に言い聞かせるように、放ち、自責の念からか、目線を下に逸らしてしまった。


 正直、私は何がなんだかよく分かっていない身なので、私に言われても…という感は否めないが、どうにか元気になって欲しいという気持ちがある。


「じゃあ…私に色々教えて下さい。」


「…それが、レニスちゃんを危険にさらした償いになるの?」


「いいえ?」


 私の言葉に、口をポカーンと開けて、驚いていた。


「え?」


「私は、O型さんを責めていません、だからこの提案は、私の為の提案じゃなくて、O型さんが、意識しなくて済むようにかける迷惑です。」


 眉の端を下げて納得した様に言う。


「元々ティアムス様に言われてた事だけど…張り切ってやらないといけないね!」


 そしてそのまま、仕方なさげに笑う。

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