前日譚─2

朝食が並べられた大きな机に着いてシセが言う。

「ユノ」「はい」

「レノン」「はい!」

「ミトナ」「はい。」

「ハルマ」「ん」

「ケルン」「はーい」

「メト」「はいはーいっ!」

「そしてぼく、はい。

この七人で、今日も朝を迎えられた事に感謝を込めて。」

感謝を込めて。みなで復唱しカトラリーを取る。


「今日の飯は豪華だな。ウインナーなんていつぶりだよ。」

「そろそろ期限の切れるものがあったから。腐っちゃう前に食べないとね」

「じゃあ気兼ねなく食べれるってもんだ」

みな久しぶりに食べる加工食肉にうまいうまいと夢中でかぶりつく

そのまま食べる者、パンに挟む者、サラダと一緒に食べる者

ひとつの食材を取っても人によって食べ方は全く違う。

そんな姿を見て微笑みながらシセはぼそっと零す。

「本当に美味しいね。これが最後のウィンナーだから、ちゃんと味わっておかなくちゃ。」



全員の手が凍りついた。



「おい……シセ、お前今なんて言った」

「さい、最後って言った!?さいご!?」

「そんな大事なことは最初に言いなさいよ!!!ばくばく食べちゃったじゃない!!」

気付いた頃にはもう遅かった、各自のお皿には最初の半分も残ってはいない。

「そんな!ごめんなさい悪気はないの……でもまだベーコンやジャーキーもあるし、そんなに重要じゃないかなって思って……」

ね……?おろおろとミトナとレノンに目線を送るが

「最も広い心を持たれている神も、これは許さないでしょうね。」

「シセ、あんた地獄行き確定ね……」

救いはなかった。

藁でも掴む想いで最後の救いであるメトの方を見ると


「あれ?メト……?」


席にメトの姿はなかった。


「おい!メトが倒れてるぞ!!」

まさか。

ハルマの言葉でみなの思考に刹那、最悪の想定が脳を走ったと同時

全員床に目をやる。


そこには青い血を吐いて倒れるメトの姿があった。

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