第5話

中学3年生で、大阪の中学に転校したと同時に、イレーヌちゃんは、パリから1人でボクの家にやって来た。

「あやめちゃん~、久しぶり~、6年ぶりくらいかなあ~」

イレーヌちゃんは、ボクの家から、同じ中学に通うことになった。

「きゃあああ、会いたかったよおおお、あやめちゃん~」

イレーヌちゃんは、日本に憧れてて、日本に住みたかったらしい。

「あやめちゃんといっしょに、日本で暮らせて嬉しいよおおお」

「ボクもだよ~」

「ママとパパ、あやめちゃんに、よろしくって」


翌日から、イレーヌちゃんといっしょに、中学に通った。

転校初日、みんな体育館で学年集会に行ってて、イレーヌちゃんとボクも、体育館に行き、みんなの前で転校のあいさつをした。

イレーヌちゃんは、パリの話をちょこっとしていた。ボクは、沖縄の海の話や西表島の星の話などをした。

大阪のみんなも、2人の話を面白そうに聞いてくれていた。


別々のクラスだったから、学年集会のあとは、それぞれのクラスに行った。

ボクは自分のクラスで、女子のみんなに沖縄のことを聞かれて、その話で仲良くなった。

帰りも女子の友達といっしょに教室を出たら、

「あっ、あやめちゃん~」

って声、聴こえてきた。廊下でイレーヌちゃん待っててくれてたみたいで、イレーヌちゃんと女子の友達と、みんなで帰宅した。


「あやめちゃん、中3だけど、何か部活に入る?」

「そうだなあ~、美術部にでも入って、絵を描こうかな」

「あっ、じゃあ、わたしも美術部に入る~」

「明日、美術部、行ってみよう!」


ボクの部屋には、最初に来た時から、霊の存在を感じていた。

今日も夜、寝てると、ボクの体を包みこんできて、抱きしめてくるのを感じていた。


朝、イレーヌちゃんに、

「ボクの部屋に、何かの霊、いるみたい」

って言ったら、

「わたしの部屋でも感じるよー」

「えーっ、イレーヌちゃんの部屋にも、いるのー?」

どうも、各部屋に、何かしらの霊、いるみたい。

なんとなく、家全体を守ってくれてるような霊の存在を、最初に来た時に感じていた。

各部屋にも、それぞれに霊、存在してるなんて。

昔の時代に、みんなの集会場か学校か、そんな感じの場所だったのかも。


中学の先には、阿武山古墳あるし、家の近くには、今城塚古墳あるし、霊も存在していて、おかしくないような土地柄だ。


朝食を食べて、イレーヌちゃんと中学に行った。

ボクは女の子みたいだから、体育の女の先生に、

「体育の着替えとかは女子のほうでいい?」

って聞かれて、

「はいっ、それでいいです」

って答えた。着替えや洗面所は女子のほうを使うようにしてくれた。

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