第4話 変わりゆく人生
「おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!」
結局また生まれ変わってしまったらしい。
これで6度目だ。
今回は珍しく生まれた時から意識がハッキリしている。それも鮮明に。
いつも通り寝て、いつも通り成長して、
いつも通りの毎日を今まで通り過ごしてた。
だが、五歳の時変化が起きた。
今までだったらごく平凡だった家庭で円満な夫婦だった両親が離婚するらしい。
四度目と五度目の人生であった彼女以外の変化は初めてで少し驚いたが、中身はいい大人の五歳児だ。すぐに理解して落ち着いた。
離婚の理由は父の浮気だと母から聞いた。
親権はもちろん母親になった。
両親が離婚してから母親と暮らし始めたが仲の良い夫婦だった分にショックが大きかったらしく母親は精神的に病んで育児放棄。
ついには虐待まで始めた。
もうその頃には小学生になっていたからまだマシだった。
親に食事を貰えなくても学校に行けば給食がある。おかわりもできる。
幼稚園の頃と違って顔を合わせる時間が短くなるから暴力も多少は減る。
そんなこんなで何とか小学生時代を過ごしてた。
中学生に上がる頃に母親が男を連れて帰ってきた。
「新しい父親よ。」
衝撃が落ちたし受け入れられなかった。
たとえ母親にとっては悪い人でも私にとってはとても大好きで優しかった前の父親。
前の父親が唯一の父親だったからとてもじゃないがあまりいい感情はいだけなかった。
紹介されたあとに実はもう籍も入れたと言われた。
事後報告でムカついたがこれを言うと殴られるのは目に見えてるから黙って「わかった。」と言った。
その後日、新しい父親の家に引越して新しい生活が始まった。
しばらくは穏やかな生活が続いた。
朝起きると母親が朝ごはんを作りみんなでご飯を食べ、それぞれの身支度、そして学校や会社に出かけてた。
母親の再婚から二年がすぎた頃に変化が起き始めた。
母親がいない隙を狙って義父がお風呂中にやたらに洗面所に来たり、身体を触ってきたりなどのスキンシップをしたがるようになってきた。
それからの日々はまた地獄だった。
母がいる時には陰湿なことに食卓中に机の下で太ももを掴んだり、いない時は部屋に篭ってないと過度にスキンシップをしてきた。
歳を重ねることにどんどん過激になる義父のスキンシップ。
私は母にバレたらきっと私が義父を誑かしたんだと言われきっと殺されるに違いない。そう思い、何とか義父から逃げてきてた。
ある日、気が緩み昼寝をしてしまった。そしてとうとう義父に襲われてしまった。女と男では圧倒的に力の差、体格の差があり、逃げようと思った時には既に遅く私は初めてを義父に無理やり奪われた。途中抵抗したら腹を殴られ、それでもやめず無理やり入れられ圧迫感、異物感、意識が飛びそうなほどの痛み。
ただただ苦しかった。
痛む体と心を無理やり抑えつけ母親が帰ってくる前に急いで証拠を消した。
後日、結局バレてしまい、また私に対する虐待が始まった。またバレて開き直ったのか義父は母親がいても堂々と私に対して性的虐待をするようになってきた。
家に居場所は無かった。
もしかすると気づかないだけで昔から無かったかもしれない。
気づけば橋の上に立ってた。
本当に無意識だったんだ。
橋の上から下を覗き込み川に飛び込みたいと何故か思ってた。
多分きっともう生きたくなかったんだ。
死んだ所でまた生まれ変わるんだきっと、だから今回はもう終わろう。そんな気軽な気持ちで橋の手すりに足をかけた。
急に服が引っ張られる。
首周りに服がかかりなかなか痛い。次にくる痛みは脳への衝撃か?なんて考えながら橋の内側に引き戻されながら倒れていった。
ぼふっ!
予想に反し次の衝撃は人の上に落ちたからか全然痛くなかった。
「何してるの!!!?」
肩を掴まれて大きな声で怒鳴られる。
多分、無自覚なのだろうがかなり強い力で掴まれてて少し痛い。
私が無表情で冷静なのに対して相手は瞳孔がとても大きくなるほど慌てた驚いた顔をして凄く動揺していて、少し可笑しく笑ってしまった。
「ただ下に魚が泳いでてそれを見るために覗いてただけですよ?」
きっと苦しい言い訳だろうが私はそう言った。
少し時間が経って、助けてくれた人の顔をよくみると、そこには見知った顔があった
「○○?」
私の大好きな友人の顔があった。
今回、会うのは初めてだからきっと分かんないだろう。
だけど久しぶりに見れてとてもどこか救われた気がした。
過去に彼女に救われたことがあるためにきっとまた自分勝手に救われることを期待してしまう。
毎回、彼女を悲しませときながら本当に自分勝手な話だ。
その後は心配させないように下手に深入りさせないように自殺しようとはしてない。
そんな風に聞こえる無難な回答をしながらお話をしていた。
たとえ報われなくても 佐倉 @sakura1225
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