幕間:Distorted Pain


 ――それは遠く過ぎた過去の残像。


「お母さん! やったよ、私魔法学院に入る事になったの!」

「本当? よく頑張ったね……」


 幾度無情に流れる時に心がすり減ろうとも、母の優しそうな笑みだけは忘れた事がない。秋の日の昼下がり、今はもう無い生まれ故郷の村ではいつも母が笑みを浮かべている。

 肺を蝕む病で些か頬はこけているものの、さりとて美しい茶の髪は微塵も衰えていない。


「魔術師になったらね、お母さん! いっぱいいっぱい楽させてあげるんだ! 家族全員に新しい服を買ってあげて、お母さんには身体がよくなる薬を作ってあげるの!」

「そう、お母さんも楽しみにしてるわ」


 ――しかし彼女の願いは叶わなかった。彼女の母は、彼女が家を出てからしばらくして病が祟り亡くなってしまうからである。

 魔術学院の許可も降りず、死に目にすら会う事は出来なかった。


 ああ、だけど。

 秋の日の昼下がり、母を抱きしめた時の事を、彼女は憶えている。


「……お母さん、私学院で上手くやれるかな?」


 不安だった。見ず知らずの土地に赴き、上手くやっていけるかと思うと心細くなりそうだった。……その当時彼女はまだ十歳で、世間を知るには余りにも幼過ぎたのである。


 それでも母は彼女のその細い身体を抱きしめる。今生の別れとなるのを、まるで予期してたかの様に。


「大丈夫、お前なら上手くやれるわ。母さんなんか気にしないで、広い世界で多くの事を学びなさい」


 彼女のその言葉に青い瞳には涙が溜まり、そして一筋が頬を伝った。


「うん、お母さん! 私頑張るから、頑張って頑張って魔術師になって、皆の為に頑張るから!」

 

 そして彼女はそれを機に地獄へ落ちる事となる――

 記憶は反転し、毒の様な過去が心を染める。


「平民風情が何を言っている」

「そのみすぼらしい髪、切ってやるよ」

「忌々しい、何か不満でもあるのかね。その目付きは!」

「触らないでいただけるかしら、貴方汚らわしいのよね」

「お前の為を思って言ってるのだ、やる気がないなら辞めた方がいい」

「お前なんぞ、そのがらくたで十分だ。喜べ、先人の知恵だぞ。今の世では無用の長物だがな」

「君の様な人間がこの魔術の都に足を踏み入れられただけでも感謝したまえ。研究だと? 寝言は寝てから言いたまえ」

「その馬鹿面晒してどうした? 何ヘラヘラ笑っているんだ?」

「中途半端な事しか出来ないなら、やめた方がいいぞ?」

「まったく神の誤ちだよ、君の様な平民に魔術の才が与えられるなど」


 魔術学院を卒業するまでの八年間は地獄だった。

 魔術師ギルドに入ってからの十年間も地獄だった。

 その心を侵す牢獄の様な生活の中、彼女は鍛造された。


「見事な出来栄えだ。よくぞここまで論文を練り上げた、これなら何処に発表しても恥ずかしくあるまい。君を鍛えてあげた私も鼻が高いよ」

「ありがとうございます」

「是非、君の魔名で論文を世に贈り出そう。そう言えば君の名は、何と言ったかな?」

「……ならばアスフォデルス、と」


 そして。


「お前! どうして母さんが死ぬ前に来なかった!」


 家を離れて十年。ようやく帰ってこれたその日に父から言われたのはその一言だった。

 十年でかなり老け込んだらしい。父の頭は最後に見た時より禿げ上がり、腰を痛めているのか椅子から立ち上がった時は思わず痛みに顔をしかめていた。


「母さんはな、お前の名前を最後まで呼んでたんだぞ! なのにお前は……お前は……」


 開け放った窓からは、遠巻きに兄弟姉妹達が半ば怯えながら様子を見守っている。


「父さん、私……」


 何か言わなくちゃならないと思った。ここまで何があったかを。でも、父のあまりの怒り様に舌が思わずもつれてしまった。

 そして、その隙を突かれてしまった。


「何だ! 私が何だ!?」


 お前の言葉など煩わしいと言わんばかりに机が一度叩かれる。そこで思わず「ひッ」という声が漏れた。


「しかも、その姿はなんだ!?」

「こ、これは……」

「そんなに親から貰った体が気に入らなかったのか! ご立派な魔術師様のお気に召さなかったか!?」


 もうその頃、彼女の顔も体も魔術師になる以前の部分は残っていなかった。

 傍目から見れば、とてもじゃないが父子とは思えないだろう。右の頬に思わず手が行き、隠す様に覆われる。


「出てけ! ……もう二度と来るな!」


 締めに父が告げたのは、その言葉であった。


「出てけ!」


 裂帛れっぱくの一声で、その場から彼女は逃げる様に走り去った。まるで年端のいかぬ少女の様に。

 誰もいないブナの木が生い茂る田舎道の半ばをたった一人。後ろから追う者は誰もいない。

 そうして、しばらく走った所で足がもつれて転ぶ。丁度水たまりであり、顔から思いっきり泥水に浸かった。


「う、うぅ……」


 ようやく帰って来れたと思った。

 魔術師ギルドの師が家族の手紙を握りつぶしていたのは知っていたが、まさか母が亡くなっているなど思ってもいなかった。

 愛していた母はこの世におらず、父からは出てけと言われた。矢継ぎ早に起こった一連の出来事に、自然と頬から涙が伝った。


「お母さん、お母さん……」


 失った母を求め、軽く握った両手で涙を拭う様はまるで子供の様だ。

 そうして、涙が波紋を作る水たまりに映ったその顔は――改めて見てももう家族の面影は残っていない。


「そうだ、私は、アスフォデルスだったんだっけ……」


 ぽつり、と呟いた言葉は重さがない。ただただ空虚だった。


「私、私は……魔術師アスフォデルス……」


 自分に言い聞かせる様に再度呟く。

 人の心は傷ついた時、心を守る為に幾つかの動きを見せる。彼女が取ったのは親を失った自分を認めず、新たな名前に縋る事だった。年齢に不相応の、まるで子供の様な振る舞いである。


 そうして、彼女は一度どうでもいいと思った名誉や美しさに手を伸ばす。

 だが誰が責められようか。たった今心の砕け散った彼女には、もうそれしか残っていないのだから。


 ――一つの時が止まり、一つの時が動き出す。

 ここで彼女は真の名を置き、魔術師アスフォデルスの名を取った。

 これ以降、アスフォデルスは狂った様に幾つもの研究を執り行い、自らが分断した学界が再び手を差し伸べる様になる。……ただ歴史の越し方に過ぎ去った誰かは、そんな彼女の様を「まるで何かから逃げる様だ」と語った。

 

 そこで夢は醒める。


 満月が所々雲に遮られる夜だった。

 〈見えざるピンクのユニコーン亭〉の一室。わらを詰めた白いシーツの上で、掛布団から彼女は身を起す。


「嫌な夢」


 先程まで心をむしばんだ夢に対し、アスフォデルスはぽつりと呟いた。全て遠く過ぎ去ったあの日あの時を、まさか今になって夢に見ようとは彼女も思っていなかった。

 父から出てけと言われてから、残された家族がどうなったかは知らない。村はまだ残っているらしいが、自分の家族の血が残っているかどうかは分からない。


 そして、それを知ろうとする勇気すらない。

 父の事を思い、脳裏に顔が過るとまた心が一度重たく軋んだ。


「……どうかされましたが、アスフォデルスさん?」


 不意に背後から少し掠れた声がかけられる。同じベッドを共にしていたユーリーフであった。ファングインとバルレーンはまた別室で眠っている。……シングルのベッドに三人は流石に狭いという判断故だった。

 もそりと一度身を震わせると、ユーリーフは右から起き上がった。

 最初は寝ぼけ眼であった。しかし、アスフォデルスの横顔を見るや否や、紫の瞳は途端大きく見開かれる。


「……どうしたんですか、その顔!」


 空の雲は流れ、窓から月明りが差し込む。月光が撫でるアスフォデルスの右頬には、酷い火傷の痕が深々と刻まれていた。


「え?」

「……待ってください、今すぐ回復を……」


 ユーリーフのその声も届いてはいなかった。自らの手で右頬を触ると、確かにそこには火傷の痕がある。

 鏡を見ずとも形は分かった。それは修行時代に焼かれた物その物であると。


「あ、嘘……嘘」

「……落ち着いて下さい」

「あ、あ、やだ……」


 どうして? 何故? ……突然の事に頭が回らず、ただ感情の籠らぬ上ずった声で彼女は狼狽える。


「……アスフォデルスさん!?」


 瞬間、彼女の中で一際強く湧いたのは人に見られたくないという思いだった。

 枕の下に置いた発動媒体の指輪を嵌めてる最中のユーリーフを後目に、彼女は枕で顔を押さえつけながら部屋を飛び出した。


 とにかく、この顔を誰にも見られたくない。

 ただその一心で宿屋を抜け出し闇から闇へ。草木すら眠る夜の中、明かりの消えた建物の隙間を闇雲に彼女は突き進んでいく。


 ――そうして、彼女が辿り着いたのは街を走る川の一つだった。

 石材でアーチを組んだ橋である。その長さは二十メートル程。

 イシュバーンという都市を維持するのには兎にも角にも水が必要不可欠である。これについては供給は約数十キロ先の淡水湖への導水路を築いて引き、常に水を絶やさない様にしてる。

 また都市を預かる領事が上下水道に魔術師を配置し、定時毎にピュリフィケーションーー水の浄化の魔法をかけ、更には半月に一度ウンディーネを召喚している為、河川の水は大都市とは思えない程の清潔さを誇っていた。

 故に、月明りでも顔が映る程水は澄んでいる。


「どうして、こんな……」


 下手の橋の下で、彼女は水面に映った自分の顔を見る。

 火傷は大きく右半分まるごと。強い霊薬による物で、爛れは回復魔法では治らない。

 美しさの魔法の奥に押し込めた、忘れてしまいたかった傷である。


「消えて、消えてくれ……お願いだから……」 


 恐らく、押し込めていた火傷が現れたのは自分の力が弱っている所に、あの夢が一押しとなったのだろう。

 川の水を両手で掬い、顔を浴びる。しかしそれで長らくの傷は消える事もなければ、癒える事もない。


「どうしよう……」


 部屋から持ってきた枕に顔を押し付ける。

 もう、誰にもこの傷を見られたくない。その感情だけが勝り、具体的な考えは何も出てこなかった。

 その時である。


「うー」


 聞き覚えのある声が、どこからともなく響いた。ファングインの物だ。

 思わずアスフォデルスは橋の下に身を潜める。刹那、ファングインが鼻から深く息を吸い込む音がしたと思ったら――


「うー」

「わぁッ!」


 ――そこで橋の下に隠れていた所を、いとも簡単に見つけられてしまった。

 既に彼は橋の下に降りており、顔の左についてる琥珀色の瞳は闇の中のアスフォデルスを確かに捉えている。


「やめろ! 来ないでくれ!」


 銀髪の青年が自分に向けた一歩を踏み締めた時、枕を顔に押し付けて彼女は懇願する様に叫んだ。

 そうすると彼はその場で踏みとどまる。……数拍経って、彼が微動だにしないのを理解するとアスフォデルスは恐る恐る口を開いた。


「探しに、来てくれたのか?」

「うー」


 その声音は肯定の意を含んでいる。


「……すまない、ありがとう。……しばらくしたら、宿に戻るから気にしないでくれ」

「うー」


 首を横に振り、それは無茶だという唸りが返って来た。


「悪い。でも今の姿は本当に誰にも見られたくないんだ。……今、私の顔お化けみたいだから」


 後半になると、言葉には空気が混じり絶え絶えとなっていた。腹から振り絞る様な声だった。

 お化けみたい、というのはあながち間違いではない。少なくとも化粧では隠し切れないであろう。


「うー」


 そんな事気にしないさ、という様な唸りであった。しかし、それもアスフォデルスには届かない。


「お願い。行って、行ってよぅ……」


 闇の中から聞こえる声は、後半すすり泣きに変わっていた。

 それに対し、ファングインの行動は早かった。彼は目を瞑ると、深緑のローブを脱いでそれを顔にグルグルと巻き付ける。


「うー」


 それでけしてアスフォデルスの顔が見えない様にすると、これなら大丈夫かと尋ねんばかりに唸る。

 最初は彼のその動きに警戒し、身を竦ませたアスフォデルスであったが、自分の顔が一切見られない様にしたファングインを見ると数拍逡巡した後。


「……絶対、顔見ない?」

「うー」


 そう唸ると、彼は首を縦に振る。


「……絶対、絶対だからな?」

「うー」


 もう一度首を縦に振ると。


「……なら、いい。隣にいても」


 彼女がそう言うと、彼は両目両耳を塞がれてるにも関わらず、まるで目が見えてるかの様に器用に橋の下を潜るとアスフォデルスの横に座った。

 ファングインが隣に腰を降ろすと、彼女にはこの青年がローブの下で身に着けていた物が分かった。黒い革の鎧である。深緑のローブの下でも動くのに邪魔にならない様に、なるたけ角ばった所はないが、首から下はほぼ身を覆っていると言って良いだろう。

 少しは金のある冒険者と言った具合だ。


 左の腰にはいつもの飾り気のない剣が吊り下げられており、真新しい使い込まれていない雰囲気を醸し出していた。

 薬草の甘い匂いを彼女は嗅ぎ取る。……それでささくれたっていた心が、僅かばかり落ち着きを取り戻した。


「うー」


 隣に座ると、ファングインは自分の腰に落ちていた石を拾い川に放り投げる。


「……来てくれてありがとうな、ファングイン」

「うー」


 いいって事よ、と返すような唸りだった。

 生ぬるい風が一迅頬を撫でる。少しずつ落ち着きを取り戻していくと、虫の音や川のせせらぎが聞こえてくる様になった。

 その中、彼女はおずおずと喋り始めたのは相手がファングインだったからだ。言葉が喋れず、それに聞く所によれば文字の読み書きも出来ない。それなら誰にも何も言わないだろうと、そう踏んだからである。

 ぽつり、ぽつりと話始める。


「……私、さ」

「うー」

「……顔、ちょっと焼けちゃってたんだ」

「うー」

「……昔の魔術師学院って酷い所でさ、貴族主義の温床も良い所さ。で、私ってなまじ才能があったもんだから、もうギッタギタにされちゃってたんだ」

「うー」

「でもさ、私の家ってお母さんが身体弱くって、お母さんの身体を治したくって我慢して通ってたんだけど。ある日授業が終わった時、薬……かけられたんだ」


 そこで彼女は急に明るい口調に変えた。それは忌まわしい記憶を語るのに耐え切れず、叫ぶ様であった。


「いやもう熱いのなんのって! しかも奴等かけたのは霊薬でさ、治そうにも回復魔法がかからないんだ! 今だって治ってないから、こんなお化けみたいな顔になっちゃった!」

「うー」

「それで師に言ったら、やられたお前が悪い。やられる方がどうかと思う……だけ! 何にも止めやしないんだよ! おかしい、おかしいだろこれ! 止めろよ!」

「うー」

「……鏡を見た時、こんな顔じゃあ家に帰れない、ってそう思ったんだ。だから、顔を何とかする魔術を作ったんだ……」

「うー」

「そしたらさ、ようやく家に帰ったらさ、父さんに怒られたんだ。……母さんの死に目に会えなかった事と、顔を変えた事をさ」


 酸欠の様に、徐々に彼女は言葉に詰まっていく。二百年の時の中、凝り固まった思いを何とか言葉にしようとしているのだ。


「あぁ、クソ……年甲斐もなく泣けてくる……」


 一度鼻を大きく啜る。


「それで、帰りたかったけど。本当に本当に帰りたかったけど、家から追い出されちゃったんだ……父さんから出てけって言われた」

「うー」

「悲しかった。……誰も救ってくれなかった、誰も優しくなかった、誰も信じられなかった!」

「うー」

「だから、だから……私は魔術しかなかったから、必死に研究したんだ。竜の血も、賢者の石も、ゴーレムも、エルフの口伝も、片っ端から! 洗いざらい全部!」


 そこで一度アスフォデルスはその明るい茶色の髪をぶるりと震わせ、えずく。


「そうして、二百年経って……皆いなくなった後。私だけがこうして残ってる。私をいじめた奴は結婚して子供を産んで、孫やひ孫に見守られながら天寿を全うしたというのに」

「うー」

「私だけが、ここでこうして今もいる。何もかも、魔術すら失ってこんな化物みたいな顔で」


 水面に一滴。それは小さな波紋となる。

 気付くとアスフォデルスの眼からは涙が伝っていた。傷口から滴る血の様な、静かに流れる涙だった。


「こんな顔、こんな顔大っ嫌い。嫌い、嫌い」


 彼女がそう言った直後、ファングインは左腕を伸ばしアスフォデルスの肩を掴むと自分に引き寄せる。

 彼に身体を引き寄せられた瞬間、突然の事にアスフォデルスは心が追い付かずしばし呆けた様子を見せ、ようやく理解が及んだ時にはもう抜け出す事が出来なかった。

 さながら、体躯の大きな犬が泣いている子供に黙って寄り添う様である。


「うー」


 ファングインのその身体はあまりに大きく、温かかった。

 その時、アスフォデルスは気付く。そう言えば飛竜に襲われた時、真っ先に駆けつけ助けてくれたのは他でもない彼だった事を。


「……初めて会った時といい、今といい、どうして来てくれたんだ?」

「うー」


 唸りは、まるで細かい事はいいのだと言わんばかりの物である。

 全てを諦めた時、彼が救いに来てくれた。そう思うと、少しだけ彼に身を寄せたくなった。……彼女は半歩分だけ腰を動かし、彼に自ら寄り添う。


「…………さっきの、ちょっと訂正。お前は助けに来てくれたんだよな」


 そこで彼女は静かに両手を彼の胴に回した。


「ありがとう、ファングイン……」

「うー!」


 ローブでグルグル巻きにしてるせいで顔は見えないが、声は先程までと打って変わって喜んでる様に聞こえた。

 その時である。

 彼女の顔から火傷の痕が、まるで海の潮が引く様に消えて行く。


「え、嘘!」


 その時起こった僅かな掻痒感そうようかんから彼女は右頬に手を伸ばすと、もうそこには火傷痕は残っていなかった。ファングインから離れ水面に映るその姿を見ても変わらない。


「――やった、やった、消えたぞ!」

「うー!」


 途端、アスフォデルスの顔に笑顔が戻った。どうして火傷の痕が消えたのか、それは分からない。

 ただファングインを両腕で抱きしめた時、心から安堵したのだ。


「やったぞ、ファングイン!」

「うー!」


 ファングインと言えば相変わらず顔にローブを巻きっぱなしであり、表情をうかがい知る事は出来ない。

 しかし、彼もまたアスフォデルスの喜ぶ様を感じ喜んでいた。

 この日以降、ファングインとアスフォデルスの仲は少しばかり近づく事となる。その理由を知る者は、彼等以外は月しかいない……。

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