第十二話 獣人の子供
二人は沈黙していた、目の前の子供が人外の獣人であったこともある、しかし、こんな子供が、こんなボロい服を着て、しかも今にも倒れそうな状態で狩りを続けているのだ、
「なぁ?二人とも、その子大丈夫なのか?」
冬季が心配そうに告げる、現場は見えていないが、二人の雰囲気から相当な光景であることが伝わってくる、
「大丈夫ではないだろう、だがあの体型といい、服装といい、相当厳しい生活をしているのは確かだ、一体この世界はどのようなバランスをしているんだ、、」
自分達はこの世界のことを何も知らない、そんなことを実感させられたような一瞬だった、
「ねぇ?助けてあげた方がいいんじゃない?もしかしたら死んじゃうかもしれないわよ、、、」
咲がそのような提案をするが、翔夜は慎重派でなおかつ頭脳派だ、この世界で一つ一つの選択が命取りになるかもしれない、翔夜の言葉が止まる…
「ねぇ!翔夜!…あっ!」
その時、獣人の男の子が倒れた、
「くっ、、咲その子を岩陰まで運んでくれ!僕が木の実など集めるよ!」
「わかったわ!」
咲は獣人の少年の服を掴んで引っ張る…だが物凄く重い…子供といえども、猫になってる咲にはきつかった、
「はぁ…ハァ…重いわね、全く、こっちに来てから重労働しかしてないわ…」
「よかったな痩せれるぞ( ^∀^)」
「後であなたを叩き折るわ」
「ヒエェ!許して!」
ようやく彼を岩陰まで持って来れたが…一向に目覚める気配はない、息をしているので、まだ生きている、だがこのまま生きていける保証はない、今にでも死にそうな表情をしている、
「大丈夫かしら…」
「大丈夫ださっきより顔色は良くなっている、時期に目を覚ますだろう、」
翔夜はそういうが少し心配だった、何せこの岩場だ、、
開けた場所であるためモンスターに襲われる可能性はある、今まであまり会ってないがこの世界にはモンスターがいるのだから、二日目にあった化け物のように、、、
翔夜は周りを注意深く見渡す、最悪の時のために一応冬季は隣に置いてある、うちで使える武器なんてこいつしか居ないからな、
モンスターは、居ないか…
最悪の事態にはならなそうだが、もうすぐ日が沈む、翔夜が調べてわかったことだが、この世界では夜の方がモンスターは出やすいのだ、
このままでは夜になってしまうな、
最悪、この子を置いて逃げるという選択肢もあるが、、それは咲が許してくれないだろう、
咲の【闇慣れ】のスキルに頼るしかない、
翔夜は、モンスターだけは出ないでくれ、、出たとしてもせめて僕らでも倒せる物にしてくれと、心の中で願う、、
そうして日が沈んだ、、、
夜になると、狼の遠吠えが……今日は聞こえなかった、珍しく冬季も大人しい、そりゃ目の前で苦しそうな人がいるのにふざけてられないよ、
周りの警戒は、咲の【闇慣れ】や【聴覚】などで対処している、翔夜も空から周りを見渡しているが特に怪しい影はない、、
心配なさそうかな、と翔夜は少年のそばに降りてくる、
「どうだ、周りは」
「大丈夫そうだ、特に問題はない」
冬季は少年を眺めながら翔夜に聞く、翔夜も特に異常はなかった伝え少年の体調を確認する、
少年は昼間のように苦しんだ様子はなく、落ち着いていた、今では寝息を立てて寝ている、
「よかったな落ち着いて」
「あぁ…そうだな」
星空を見上げる、日本では見られない星空に言葉を失う…、、
「綺麗だな、」
冬季が静かに告げる、、
そこに咲も合流する、
「二人とも、何呑気にしてるのよ、いつモンスターが来るかわからないじゃない、、」
疲れた様子で咲が戻ってくる、相当眠いのだろう、
「そりゃね…こんな時間だと眠たくもなるでしょ、、」
翔夜もあくびをしながらそう告げる、
「そうね、そろそろ寝ようかしら、」
「俺は寝れないからなぁ、ハァ暇潰すか」
夜も段々深くなり、翔夜と咲は眠ろうとする、冬季は寝れないため、何かしら暇潰しをしようとする、
「じゃぁおやすみ…」
翔夜と咲は、そう告げて眠った、
水の音が聞こえる、、、
なんだろう、、、泳ぐ音、、、?
何かが水中を泳ぐ音、、、?
どれぐらい寝たかはわからない、咲は突然意識が覚醒した、、、
何かが泳いでこっちに来てる、、、音が段々、、
「翔夜!!!!!!冬季!!!!!!」
大声で叫ぶと、冬季はすぐに反応した、寝れないため起きてたんだろう、一方翔夜は、
「どうしたんだい?こんな時間に」
起こされて少しイラついてるのか、口調が喧嘩腰だった、、だが咲の一言で事態は変わる、、
「何かが来てるわ!!!!!!」
その一言で翔夜と、冬季は周りを見渡す、しかし、、
「何も来てないぞ?」
「どうした咲?何があった?」
二人は近づいてくる敵に気づかない、
「違うわ!敵は、、
そういった瞬間には、水飛沫が起きていた、、魚が飛んだ時とは比にならない、巨大な水飛沫が、
「水の中よ!!!!!!」
目の前には、、巨大なオオサンショウウオがいた。
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