第十一話 人影
あれから私たちは、過ごすのに良さそうな洞窟を見つけた、適度な広さで、三人揃って寝ることができる、ご飯は鳥でる翔夜が、谷外から木ノ実や果実を持ってきていて、私が魚を狩って日々繋いでいる、
大体一週間経っただろうか、私はいつも通り狩りをしていた、
河川敷でじっくり獲物を狙う…
【見切り】で相手の動きを読み、一気に距離を近づける、咲が飛び込んだ先には一匹の銀色の魚がいた!
「とりゃぁ!!!」
水飛沫が舞う、
「ふぅ、相変わらずすばしっこいわねぇ、一匹捕まえるのも苦労するわ。」
黒い毛を濡らしながら逃げ続ける魚を目で追っていた、
「苦労してるみたいだな」
咲がぼーっとしていると、【念話】で冬季から話かけられた、冬季は剣であるため動けない、なので退屈な時はこう【念話】で話かけてくる、
「当たり前じゃない、魚を捕まえるのってすっごく大変なのよ!あなたは剣で楽ね〜ずっとそうしてられるんだから」
「咲…わかってないな、寝る時間もない俺は、深夜ずっと考え事をしてるんだ、だが、こんな体じゃ立つものも立たないぜ」
冬季はドヤっとした雰囲気で卑猥なことを告げてくる、
「あんた一回死んだ方がいいわよ……」
咲はそう冷たく一言残し、狩りに集中する、
すると視界の端に何かの影が映った、
人影!?
咲は警戒する、近場に少し大きめの石があったのでその陰に身を潜めて様子を伺う、
【黒色】発動
するとその体は、影に染まり、注視しないと判断できないほどまで変化していた、咲はこうしていつも狩りをしている、そのためこのような方法は手慣れていた、
様子を伺う咲、その影はどうやら咲と同じく狩りをしているようだ、必死に魚を捕まえようとしているがなかなか捕まらない、
咲は、下手くそね、魚を捕まえる基礎がなってないわ、もっと時間をかけて…確実な時に狙わないとダメなのよ!
まるで自分がプロであるかのように心の中でドヤる、プロではない、
「二人とも、人がいるわ、」
咲は、翔夜と冬季の二人にこのことを伝える、
「嘘だろ?こんな谷に人がいるのか?それは少し怖いな…僕たちが見つかればどのような反応をされるかわからない、」
翔夜が真剣に状況を飲み込む、確かに自分達がこの世界でどういう立ち位置にいるか把握できてないため、人に見つかったらどのような反応をされるかわからない、最悪殺されてしまうかもしれないから。
「俺とか売られちゃうやん!やだよ!貴族の家のお飾りで一生を終えるなんて!」
呑気な剣は、自分の将来が心配なそうだ。
「あんたは貴族の家よりボロ小屋で眠ってる方がお似合いよ」
「んだと!?やんのか!?」
「君たちよく馬鹿って言われるだろ、僕はその気持ちがよくわかるよ、」
少し緊張が解れたか、翔夜は緊張のしすぎもよくないなと思い、冬季に少し感謝した、
「どうする?いなくなるまで待つ?」
答えを早くちょうだい!と遠回しに言われてる気がする、と思った翔夜は少し考えて、
「そうした方がいいだろう、一応どっから来たのかわからないから、僕がそっちに行って空から後を付けるよ、念のため確認しとかないとな」
「そうね、ありがとう翔夜」
咲は礼を告げる、翔夜は別に礼をすることでもないと、
30分ぐらいが経っただろうか、
翔夜も【絆】のスキルである程度場所は把握していたためすぐにこちらにきた、
そして二人でその人影を見て気づく、
その人…いや少年はボロボロの服装で、黒髪、体は細く、体の重心が捉えられていない、今にでも倒れそうだ、それでも食料が欲しいのか必死にくらい着いてる…年齢も、まだ5歳6歳に見える、この状況に、二人は絶句する、
しかしまだ驚くことがあった
その少年には、猫のような獣耳
猫のような黒色の尻尾
「翔夜…これって」
「あぁ…咲、」
「獣人だ」
なんとそこにいたのは、一人の獣人だった
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