第十六話 少女
「下がって」
少年がそう告げる、目の前には、3人いた大男のうちの一人が倒れている、
何があったのか分からなかった、気づいたら私の腕を掴む男が倒れてて、この少年が私を守るような形で立っている、
まるで絵本の中の王子様のよう、、
だが全て上手くいくわけではなかった、2体1であり、しかも相手は大人だ、敵うはずがないと思っていた、だが心のどこか奥底では、勝って欲しいと願っていた、
だがそんな思いも虚しく、少年は相手の攻撃を防ぐだけで精一杯、隙を突かれて攻撃されてしまう、少年は腹を抑える、見てて心が痛かった、私のせいで人が傷ついているのだから、
「君、早く逃げて!」
私は少年に叫んでいた、もうこれ以上は見てられなかった、口から血を流している、私の方が泣いてしまいそうだ、これ以上周りの人々に迷惑をかけるぐらいなら、この人の奴隷になった方がいいと思った、
だが、少年には私の声が聞こえないのか、大男の方をずっと見ている、大男が再び攻め始めて、危ないと思った時だった
少年が、大男の剣を弾き飛ばしたのだ、
「えっ!?」
私は驚愕した、私と同じくらいの年齢に見えるその少年が、あんな大の大人の剣を弾き飛ばしたのだ、
大男も驚愕している、そこから少年の動きは変わった、前に出てきた一人の男を倒し、大男までも倒してしまった、、やり方は残酷だと思ったが、そんな黒髪の彼の姿に没頭していた、
そして彼はエムナイトと名乗った朱色の髪をした貴族を押し倒した、文句を散々吐いていたが、いきなり震え出して、股が濡れ始めた、そして要件を伝え終わったのか少年は私の腕を取り、商店街に出ていった、
「いくぞ」
私は唖然として返事もできず、ただただその後ろ姿に没頭していた。
「か……かっこいい、、、」
少年はその後商店街に入ってすぐ帰ってしまったが、帰り道の途中でも、その少年の姿を忘れることはできなかった、想像すれば顔は赤くなり、、、
「はわぁぁぁ」
薄水色の髪をなびかせた少女は、自分の家で経営する、屋台に帰ってきた、
「たっただいま!」
「あっ!ヘレナ遅いじゃない!何やっていたの!」
家に着くと、店にいた客が、おかえりなど声をかけてくれる、だが、お母さんは私の帰りが遅かったことに怒っていた!
「あの貴族とあったの!」
お母さんにそう言うと、周りにいた冒険者の人達が心配してくれた、この人たちはこの店の常連でいつも親しくしてくれる、
「ヘレナ!?大丈夫だったの!?」
お母さんは心配するが、事の経緯を一から全て説明した、それを聞いた冒険者さん達は、困惑し、虚実と疑う人もいた、だが憲兵によって、男達が倒れて見つかった事実が届くと、すぐさま真実だと信じてくれた。
「また、会えたらいいな」
ヘレナと言われたその少女は、寝る前にそう告げるのであった。
虐げられた少年と叡智の書 @pepef
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。虐げられた少年と叡智の書の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます