第十四話 路地裏②

「だから、僕の奴隷になればいい、」



 私は今、貴族の男に言い寄られていた、


 目をつけられたのは、四ヶ月ほど前だろうか、私の容姿が気に入ったと言ったこの貴族の男は、私に奴隷になれと要求してきた、


 私は何度も断った、この国では、強制的に奴隷にすることは認められておらず、借金やら、罪状やら何やかんやの理由がなければいけない、だが貴族界隈ではそんなことは気にしないのか、今日は力ずくで連れてこうとしてきた。


「くっやめてください!」


 私は咄嗟に腕を払う、だが後ろにいる大人達の力には歯向かえず、腕を振り解けない、いつもなら、商店街のおじさん達が庇ってくれるが、今日は運悪く荷物を路地裏に置きにきてるいるところで付けられていた、


「大人しくした方が身のためだ、君の体を傷つけたくはない、、」


 長い朱色の髪を揺らしながら貴族は言う、


「まぁどのみち僕のものになるんだから傷つけてもいいのか、、、」



 その狂ったような思考に、私は恐怖する、、咄嗟に周りを見渡すが、助けてくれそうな人物はいない、


「きゃっやめてください!」


 私は、抵抗する、その時、私はたまたま通りかかった少年と目があった、、、


 助けてと言ったかはわからない、でも顔が言っていたのだろう、その少年は、私を助けにきてくれた、


「どうしました?」



 カリアは緊張していた、大の大人が3人一斉にこちらを睨んできたからだ、


「おいガキ、見せもんじゃねんぞ、とっととされ」


 男は低い声でカリアを脅す、


「いや、その女性も嫌がってるようですし、その辺にして、、」


 突如、頬に衝撃が走る、

 男のうちの一人が、カリアを棒で殴ってきたのだ、


「グハァ!」


 カリアは転ぶ、後ろの少女は、顔を青ざめている、


「ちょっやめてくだ…きゃっ」


 すると、子供の方が止めようとした少女を腕で遮って、前に出てきた、


「おいガキ、俺が誰かわかってるか?貴族だぞ貴族?ガラハンディー男爵家のエムナイト・ラビア・ガラハンディーだぞ?」


 そう言いながらカリアに顔を近づけるエムナイト、


「貴族だからって、この国では強引に女性を連れ出すのは違法だったはずですが?」


 僕は言い返す、

 そんな俺の態度が気に食わなかったのか、エムナイトは俺の顔を蹴りつけて、少女の方に体を向ける、俺は蹴られた衝撃で頭をぶつけるが、ガイアの蹴りに比べれば衝撃も少なく、たいした怪我ではない


「行くぞ、抵抗するなよ、したらこの男の命はない」


 そう言ってエムナイトは少女の腕を取り連れて行こうとする、少女はやめてと声をあげていたが、俺の命のためか抵抗はしていない、そんな彼女の顔を見た、



 泣きそうだ、


 助けを求めてる



 突如、景色が変わった、、


 緑の広がる庭園にいる、だが、すぐに燃えた、、、ほのうは広がり、収まることを知らない、


 そんな炎の中心に、一人の少女がいる


 顔は見えない、だが、無表情だ、


 どこか……悲しそうだ。





 俺は、咄嗟に足を前に出していた。大男の足のまたをくぐり、少女を連れて行こうとした男の首を叩く、その行動は、一瞬で行われた、まるでプロの暗殺者のような手捌きで、


 エムナイト達は、咄嗟に起きたこと状況に気づき困惑している、こんな子供に、一人の男が倒されているのだから、


「下がって」


 俺は少女の前に立つ、丁度この路地裏には、ゴミの溜まり場があり、そこに木の鍬があった


「大剣代わりには、、十分だな」


 俺はそういうと、獰猛な笑みを浮かべ、エムナイト達の方を向く、


 あちらの大人2人も剣を抜いた、


「ぶっ殺す、」


 相手2人はそういうと、前に足を踏み出す


 剣と鍬が衝突した、

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