第七話 愚弄

 リアがぶつかってしまった人は、運悪く王太子だった、


「あっ…あのすいません!」


 リアは、自分のやらかしたことの重大さに気づきすぐに頭を下げる、


 アガニスター王太子は、ニコッとスマイルを浮かべながら、


「大丈夫だお嬢さん、確か同じクラスだったね、よかったら一緒に回らないかい?」


 と全ての令嬢が求める魅力的な提案をしてきた、普通の女性なら、ここで僕との約束なんてすっぽかして、王太子について行くだろう、だがリアは、



「すいません!私カリアと回る約束をしてるので」


 綺麗さっぱり王太子の提案を断った。

 僕は驚いた、王太子とお近づきになれるチャンスを自分から投げ捨てるなんて、、、


 王太子は、自分が断られると思ってなかったのか、素っ頓狂な顔をしている、そして自分が選ばれなかったことが気に食わなかったのか、こんなことを言い始めた。



「ふーん、君が噂の無能君かい?、リア、聞きたいんだが僕よりそこの無能がいいのは何故だ?、権力、実力共に僕の方が優って、女性の君からしたら魅力的な提案だろうに、」


 リアはこの質問に対して、少し考えながら、


「わかりません」


 リアのこの返事に王太子は、困惑した表情をした、


「ただなんとなく、カリアと一緒に回ろうかなって思っただけです。」


 周りからはなんと無礼ななど数々の批判の声が聞こえてくる。


「ふっお嬢見る目がないな、そんな無能にひっついて何になるんだ。」


 ここで、赤髪の公爵家三男、シュニアが会話に混ざってくる。


「シュニア下がっていろ、君を呼んではいないぞ、」


「申し訳ない、王太子様、ですがあまりにも非常識なもので、この小娘を教育して差し上げようかと、」


 シュニアは一礼しながら謝罪を告げる、しかし僕らへの敵意は丸出しだ。


「僕は言ったはずだ、学園内では身分は関係ないとな、お誘いを断ろうと彼女の勝手だよ、まぁそこの無能に引っ付く意味がわからないが、」


 自分が選ばれなかったことで敗北感でも味わったのか、プライドを傷つけたのか、僕を睨みつけてくる、リアはそんな事も気にせずに、僕の腕を掴み移動しようとする。


「カリア行きましょう!」


 その態度に少し腹が立ったのか、シュニアが怒鳴る。


「おい無能、お前からも進言してやったらどうだ?、私のような無能よりも王太子様付き添った方が得ですよとな」


 僕は何も言い返せず萎縮してしまう。

 自分に何ができるんだろうか、そう思俯く


「ふっ雑魚が、ディーマリア公爵様は素晴らしい方だと言うのに、お前の母親はどれだけ汚れた血を流していたと言うのだ、」


 そうシュニアが言った、

 この言葉にカリアは、、



 反抗した


「なんて言った?」


 シュニアを驚いた、さっきまで俯いて何も言い出してこない弱虫にしか見えなかった無能がいきなり声に怒り混ぜてこちらに話かけてきたのだから、


「お前の母親は、汚いと言ってやったんだよ」


 瞬間カリアはシュニアの胸ぐらを掴む、そして言う


「取り消せよ、」


「なっ!?」


 シュニアは驚いた、こいつは無能ではなかったのか?なんだこの力は?


 当たり前だカリアは日々毎日トレーニングをしている、そのトレーニング量は、悔しさからバケモノ地味た量のトレーニングだった、そんなカリアは、純粋な力だけなら、シュニアよりも勝っている、


 シュニアは咄嗟に腰の剣に手をかけた、

 衛兵が止めに入るために近づいてくる、


 カリアはその場にあった、鉄の剣を持ち上げる

 重さはしっくりきた、まるで最近振ってる大剣のようだったから。


 カリアは、その鉄の剣を持った瞬間、不思議な感覚に襲われた、


 戦場……?


 僕は……大剣を持っている?


 景色が変わったのだ、さっきまで歓迎会をしていたホールから、血飛沫が舞う、激戦の戦場へと移動したような気分だった、


 僕は、人を切り裂いてる、大剣で真っ二つにしている、なんだろう、、不思議な気分だ。


 だがすぐに視界はホールに戻る、だが戸惑う事なくカリアはさっきの景色で見た大剣の剣筋を真似するかのように、目の前のシュニアを鉄の棒を振りかざす。


「なっ!?」


 シュニアは目を瞑った、確実に叩かれると思ったのだ、だが衝撃が降ってくることはなかった。


 そして低い声が響き渡る


「何をしている…愚息」


 シュニアが目を開けると、そこにはある男が写った



 それは現ディーマイル公爵、

 ガイア・ケルビオン・ディーマイルが、カリアの振り翳した鉄の剣を片手で後ろから押さえつけていた、

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