第三話 学園生活

 学園生活初日、


 僕は入学式に行く準備をしていた、学園指定の紺色で赤色の線が入った制服を着て、出かける準備をする、


 黒髪をまっすぐ整える、顔はなかなかイケメンだなと思いながら、鏡を見る、確かにカリアの顔は、中性的でイケメン、顔の形も整っており、物凄く美男子だ、無能の評価がなければ女子が寄ってきていただろう、


「…行くか」


 そう言って別館を出ると、門の前には馬車が待っていた、中に入っても、父様はいない、入学式は一人でしてこいと言うことだ。


 馬車が出発する、専属メイドがいるわけでもないので、僕は一人だ、公爵の息子にメイドはいないとは異例の事態だが、これはしょうがないであろう、


 学校に着くと僕は馬車から降りる、そこはすごい光景だった



「っすげえな、、、」



 もはや言葉が出ないと言っても過言ではない、


 なんとも大きいのだ、、大きさはどのくらいか検討がつかない、、


 設備も万全だろう


「流石だな、、、王都まで来た甲斐があるわけだぜ」


 学園は王都にあるしかし、王都は公爵領のすぐそこなのだ、だからカリアは別館から直接1時間くらいかけてきてる、



「ハァ入学式か、、だるいな、」


 重い足取りで、前に進んでいく、すると後ろからぶつかられた、、


「邪魔だ、無能」



 ぶつかってきたのは赤い髪が特徴の男、、

 ビルマリアン公爵家の三男だったはずだ

 名前は思い出せない、、、



「すいません、、」



 僕は目を逸らして謝る、正直僕にはこれしかすることがないからな、すると赤髪の男は蹴りを入れてきた、、



「グハァ!!!!!!」



 僕の腹にストレートで入ってくる



「這いつくばってろカスが」



 そう言い残して立ち去ってしまった、周りの令嬢は僕を嘲笑っている



 痛いな……



 カリアは、自分を虐げる者に対してあまり怒りを覚えていない、何故なら自分が悪いと思っているからだ、


 自分が無能なのが悪くて


 自分が弱いのが悪くて


 じゃあ大人しくするしかない、


 そんな考えがカリアにはあった。





「ヒール」



 ふと近くから声が聞こえた、


 隣で女の子が僕に魔法を掛けてくれる


「あなた、大丈夫だった?結構深く入ってしまったようだけど、、貴族様も酷いものね」


 その少女は、僕を心配しながら貴族の陰口を言う、どうやら平民のようだ、


「あっありがとう、助かったよ、」


「何当然のことよ、あんな貴族、私が玉蹴って悶絶させてやるわ!」


「恐ろしいことを言うね」


 僕は彼女の愉快さに思わず笑ってしまう。

 彼女のような人たちで、世界が溢れてくれればいいのにと思ったことは内緒だ、




「あなた名前は?私リアっていうの」


「僕はカリア…だ」


 わざわざ自分が貴族である必要がないなと思い僕は名前しか伝えない、


「カリア、カリアっていうのね!ほら!一緒に体育館に向かいましょ!遅れちゃうわ!」


「そうだね」


 彼女は早足で駆けるが途中転びそうになっておとっとと呟きながらまた走り出す。


 可愛いな


 そんな彼女を眺める、


 彼女といると微笑ましいな


 リアと一緒に体育館に駆け込む、リアは息切れして苦しそうだった


「カリアはハァハァ、、、疲れないの?」


「僕はまぁ結構運動してるからね」


 日々の鍛錬はやっぱり欠かせない、

 無能でもできることがあるかもしれないから


 僕たちは席に着く



 入学式は結構淡々と進んだ、長々と先生の話を聞かされて、、寝落ちしてる者もいたが気にしないでおこう


「続いて、アガ二スター第3王太子のお言葉です」


 その言葉が発せられた瞬間辺り一体に緊張が走る、さっき寝てたやつまで目ぴっかーんだ


 素晴らしい



 王子は、金色の髪色、青色の目、白い肌、身長は俺より小さいか、、それでも絶対イケメンになる顔をしている、


 壇上に上がった王子に緊張した様子はなかった、そして淡々とスムーズにスピーチを始める



「どうも、アガニスター・レイ・バルカントロルです、この度は、この学園で皆様と出会えたことを感謝します。私は王族という身分ですが、このバルカントロル王立学園内では、一人の生徒として、仲間として見て欲しいです。私を王族としてここにいるなら、この学園に来る意義がないでしょう。」



 すごい、僕なんかよりも大人でしっかり喋れている、僕だったら萎縮してしまいそうだ。



「そして、この学園では、数々の行事があります、その行事内で必ず順位がつけられ評価されるでしょう。」



 そうなんだ、学園に興味なかったから初めて知ったな、、


 

 王子は一息ついて言い出した



「僕は宣言します、その行事全て3年通して一位を取ると!」



 その言葉に、王様だけでなく周りの貴族、教師全てが驚愕しざわめき始めた


「僕が王族に相応しいというところを、全ての人に見せて差し上げましょう」


 この挑発に、血気盛んな貴族の一族は燃え、経済中心な貴族は、流石王子様だと感心した、



 すごいな王子様は、、あんな地震満々に言えて、、



 カリアはそんなことを考えていた、


 王子はそう言い終えると、壇上を降り自分の席まで歩き着席する、その軽やかな動作だけで周りの令嬢は惚れ惚れしている、


 一方リアは、眠っていた


 隣の席で僕の方に頭を乗せながら涎を垂らしてグースカグースカ行っている、



 マイペースだな


 入学式はその後、特に長いこともなく終わった、入学式が終わると、教師がそれぞれクラスに案内する、僕は一年3組だ、同じクラスにはリアがいる、これだけでも少し安心できる材料だろう.


 他には王太子、、、赤髪の公爵家、、、、ぐらいか?問題がありそうなメンツではないな、、



「まずは自己紹介から初めて行こう、私は担任のアーリアだ、一応王立魔法学園元学長という経歴も持っているぞ。」


 先生の自己紹介に全員息を呑む、魔法学園とは、王国屈指の魔法使いが集まる場所だ、高等部から選択でき、魔法を極めたいものだけが進める。


 そこの学長をしていたとなると、この人はあのアリーナか、、



 生きる伝説アリーナ

 数千の魔法を得意とし、大魔道師の称号を王国から受け取っている、賢者の称号をいただく前に現役を引退し、学園長を務めて引退、今に至るわけだ


 種族はエルフであるため、年は300くらいとも噂があるが、そこは聞かないでおこう


「さて、じゃあ席の端っこから自己紹介していけ」



 先生が言うと、順番に皆順番に自己紹介していく、使える魔法や、特技、武器などについて話して行く。



「リアです!生まれはバシュム村で、得意なのは氷魔法です!」


「ほぉ、、」



 リア、氷魔法の才能があったのか、それは初めて知ったな、水の上位魔法ってこともあり相当強力な魔法なはずだ。


 こっちも才能ありか


 続いて僕の番がきた


「カリア・ノウ・ディーマニアです、」


 それだけ言って座った、


 僕が名前を言うと、あいつが?と言った表情でみんな見てくる、そんなジロジロ見なくてもいいでしょ。



 一方リアは驚いた表情をしている?あなた!?貴族だったの?と訴えるかのように、


「それだけか?」


 先生が聞いてくる?


「はぃ」


 僕は小さく答えた。


「シュニア・トゥ・ビルマリアンだ、特技は体術、それ以外はない、」


 今朝俺の腹を蹴飛ばした赤髪の少年が自己紹介する、


 シュニアっつうのか、


 彼は席に座ると、俺見て、一笑


 嫌な奴だ


 シュニアの自己紹介が終わると、リアが質問してきた


「カリア君?あなた貴族だったの?しかも公爵家なんて?」


「まぁね、でも僕は無能って言われてるから」


 リアは聞いてはいけないことを聞いたかのような表情で申し訳なさそうにする、


「ごめんなさい、失礼だったわね」


「いいよ、別に虐げられることに恨みはないんだ。」



 とは言いつつも結構恨んだりはしてる。リンチにされた時とかは結構痛いものだ。


「ミーア始国、第3王女、ファメル・ミミンガ・ミーアです、どうぞよろしく、」


 この自己紹介に僕だけでなく皆驚く、


 隣国の王女!!!!!!?????

 何故僕のクラスにいるんだ?しかも彼女、剣姫と言われる程の実力者じゃないか!?


 そう、ミーア始国には、最強の剣士と噂の剣帝ナファレルロッディがいる、そのナファレルが才能を見出し育て上げた弟子が、ファメルなのだ、


 これは自己紹介も終えた王太子も厳しい顔をする。実力者が現れたことで少し焦りを感じたのだろう、


 そして全員の自己紹介が終わる


「ふぅ、これで全員か?じゃあ諸事情を伝えて行く、今日の放課後に歓迎会があるので、必ず出席するように、」



 先生が退出すると、クラスが静かになる、結構なメンツのクラスだ、動きにくいのだろう。


「ねぇねんカリア〜一緒に歓迎会まわりましょ!」


 そんなことを気にしせず話かけてきたのは、隣に座っているリアだ、平民であるため、この空気の重さがわからなかったのだろう、


 かと言って、僕も空気を気にする気にはなれない、


「そうだね、一緒に回ろうか」





 夜、歓迎会は、学園内にあるホールで行われた、

 盛大に食事が並び、各貴族の親までいる、


「すごいなこれは」


 僕は感歎の声も漏らす…社交界は一度も出席していなかったため、こういう場所は初めてだったからだ


「カリア!見てこれ美味しいわよ!、」


「こらこら落ち着きなよリア、危ないぞ、」


 リアは小さい子どものようにはしゃぎ回っている、平民だから、普段このようなことはなかったのだろう、一応注意はしたんだが、大丈夫だろうか、



 しかし予想はハズレ、リアは人とぶつかってしまった。


「あっ!すいまs…」


 しかも、その相手は運悪く王太子だった、













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