第37話 ノブナガと武田、そして真田
さてまず武田軍のキモタウロス化が解けたのを見たノブナガは反撃にうってでます。
というか鉄砲撃ちまくりです。
タライ&マカミが氷の範囲を広げ武田軍の機動力を低下させる。
そして伊達政宗率いる特攻部隊が武田軍の腹に穴を空ける。
「今の私にはこのぐらいしかできないけど、ないよりはましでしょ」
謙信は突風を巻き起こす。
上級職ではなくなり天候を自由に操ることは出来なくなった謙信だが中級職『竜人』のスキルで風を操ることはできる。
「おお!!!一気に大逆転だね!!!行け行けー!!!」
ごおぉぉん!!!
一気に逆転だぜ!と思ったところで突如鐘の音が響き渡る。
そして辺りが急に暗くなった。
「え、なにこれ!?」
「これらしいな」
「なにが?」
「信玄の隠し種」
ーこれで終いだ、ノブナガ―
光に形作られた巨大な人間が空一面を埋めていた。
武田信玄である。
*
俺の上級職『神宿り』は強力ではあるがいかんせん使い勝手が悪い。
神宿りの特殊スキル『神降ろし』。これは半径10キロの範囲を制圧できるスキル。要するにこの範囲内であればすべて俺の思い通りになるってことだ。
制限時間は俺の妖力がゼロになるまで。
だがその間は無敵、いや神になれると言える。
だがリスクも大きい。一度使えば3か月間、戦が出来なくなる。
正直使いたくないスキルだ。
でもここは使うしかないだろう。このままだとノブナガ軍に負ける。
武田がこの戦で勝利を収めるためには、この神降ろしの制限時間内にノブナガ軍と真田軍の両軍を倒すしかない。
時間との戦いだな。まずはさっさとノブナガを殺してしまうか。
―天変地異―
とりあえず大地を割り春日山城ごとノブナガ軍の兵たちを地の底に落とした。
次は雷だ。
スコールのような雷の雨を降らせる。
*
城や兵士たちが一瞬で地の底に沈められてしまった。
え、なにこれ?
反則じゃね?
うん、さすがにこれは反則じゃね?
バリバリバリ!!!
とか思ってたら今度は雷の雨が降ってきたんだけど。
、、、反則じゃね?
「ラン!タライ!氷で城を作れ!!!」
ノブナガに言われた通り、私たちは氷で地面を作りその上に城を築き上げた。
「はぁはぁはぁ、とりあえず避難できたけどこれからどうするの?外は絶賛天変地異中だよ?この城だっていつまで持つかわからないよ?」
「いや、少しでも足場が出来ればそれでいい」
「そ、そうなの?」
「俺も特殊スキルを使う」
キャラネーム ノブナガ
レベル 324
職業 第六天魔王
特殊スキル 英霊隷属 死を喰らうもの
「来い、戦の果てに散っていった英霊たちよ。俺のためにもう一度死ね」
地面から無数の死体が這い出てくる。
第六天魔王の特殊スキル『英霊隷属』は今までノブナガ軍に殺された兵士たちをノブナガの忠実なる僕として蘇らせるものだ。
彼らはまさに死を畏れぬ狂戦士。
雷の雨の中でも全く臆することなく進んでいく。
雷が当たろうが、岩に潰されようが、肉体が完全に消滅するまで進み続ける。
うん、超激ヤバ軍隊だ。
死者の軍勢はただただ前進を続ける。
―ちっ!悪あがきを!さっさと滅べ―
雷、竜巻が吹き荒れる。あるところでは地面はひび割れ、あるところでは地面が隆起する。バケツをひっくり返したような雨が降り、土砂崩れが大軍のように攻めてくる。
山は割れ、その巨大な破片が空から降ってくる。
謙信の天候操作とは違う。天候だけじゃない。この土地そのものがノブナガ軍を殺すために動いているのだ。
「どうするの!?ノブナガ!こんなの勝てっこないよ!!!」
「トリも呼び戻して、式神全員で、少しの間でいい、奴の攻撃を防げ!」
「わ、わかったよ!それでノブナガはどうするのさ!」
「俺は武田の首を獲る」
「え?」
―死を喰らうもの―
さっきまで武田信玄の攻撃の盾になっていた屍たちがノブナガの元に集まってくる。
「俺の糧になれ」
ノブナガは屍たちを喰らっていく。文字通り食べていった。
屍を食べ切った瞬間、ノブナガは漆黒の光に包まれる。
そして現れた。漆黒の翼と漆黒の角を生やしたノブナガ、いや、第六天魔王が。
「ラン、もう少しだけ耐えろ」
「オッケー!任せて!」
ノブナガは空に浮かび上がり、武田信玄の眼前へと行く。だが大きさが違いすぎる。ノブナガは確かに変身したが、大きさは元のまま。一方武田信玄が空を埋め尽くすほどの大きさだ。
―見苦しいぞ!ノブナガ!羽根と角を生やした程度で俺に勝てると思っているのか!!!―
「思ってなかったらここまで来ねーよ」
―なんだと!?―
「ハバキリ、全て解放しろ。俺の一部となれ」
『はっ!我が主よ』
ハバキリはノブナガと同化し、ノブナガの右腕は巨大な刀となった。
―少しデカくなっただけの刀で一体何ができる!―
「決まってるだろ。お前の首を刎ねられる」
そう言ってノブナガが腕を振るう。
―えっ!?―
次の瞬間にはもうすでに信玄の首は胴体から離れていた。
「俺の、、、勝ちだ、、、」
ノブナガは信玄の首を切ったと同時に気を失い、空から落ちてくる。
「マズイ!トリ!ノブナガを受け止めて!」
『了解!!!』
なんとかトリがノブナガの身体を受け止めた。
私はえっちゃんのスキルを使って全ての戦場に響くように宣言する。
「ノブナガが武田信玄の首を獲った!この戦の勝者は我々ノブナガ軍である!!!」
「「「「「うおおおおお!!!!」」」」」
この瞬間、ノブナガ軍対武田軍の決着がついた。
*
「なるほど、ノブナガが勝ったか。まあどっちでもよかったが。さあ、真田軍!弱り切った勝者の首を獲りに行くぞ!最後に笑うのはこの真田軍である!!!」
「「「「「「おおおお!!!」」」」
真田十勇士が一人、霧隠才蔵のスキルで姿を消していた真田軍が姿を現し、ノブナガの首を目指して一斉に駈け始める。
「卑怯とは言うなよ、ノブナガ軍。これが戦国の世だ」
武田を破ったノブナガ軍だが、本当の修羅場はここからと言っていいだろう。
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