第32話 ノブナガ、武田戦に向けて準備する。そしてやっぱり私はレベル上げをさせられる。

大学来てまーす。


「みっちょーん」


「ラン、おはよ」


「はぁ、みっちょんはいいよね。悩みがなさそうで」


みっちょんは今日も今日とて危機感のない間抜け面。戦国なら、お前はもう死んでいる。キリッ!


「あんたに言われたら終わりね。その言葉」


「ただ大学に通いバイトに行くだけの生活を送っているみっちょんには天下取りの苦労はわからないんだよ」


「あんたも大してわかってないでしょうが」


私は平和ボケしているみっちょんに天下取りの苦労を教えてあげる。


「とにかく!私はノブナガがなんであんなに武田と戦おうとしてるのかわからないんだよ!武田なんてめちゃめちゃ強いのにさ!」


「私もあんまりわからないけどさ。織田信長を倒すには上杉だけじゃなく武田の力も取り込まないといけないってことなんじゃない?」


「なるほど!確かにね!織田信長を討つならそれぐらいの戦力がないとだもんね!納得!」


「てかそれ以外ないでしょ」


「でもちょっと待って、みっちょん!なんでみっちょんが戦国時代のことわかってるの!?」


「歴史の授業を普通に受けてればわかるわよ。まあ一切興味ないけど」


「そんなこと言ってみっちょんも歴女なんじゃないの?隠れ歴女」


「・・・バイトでちょっと覚えただけよ」


「つまり最近は歴史好きのおじさんから指名されてるってこと?」


「・・・あんた私のバイトなんだと思ってるの?」


「キャバクラかヘルス?大穴でソープかな」


「・・・」


ん?無言でみっちょんが近づいてくる。目がすわっている。なんかヤバそう。


「ちょっと待って、みっちょん。どうしたの?何か言ってよ」


「・・・」


「わかったわかった。本番なしのところってことね」


ゴツン!


「痛っ!ゲンコツしたね!親にもされたことないのに!!!」


「ならそこが親御さんのミスだったのね。こんなバカは暇があればとりあえず殴っといた方がよかったのよ。それぐらいしないとこのバカさは治らないわ。それこそバカボンのパパレベルの衝撃を脳天に食らわせないと。あ、そっか。バカボンのパパと同じ目に合わせればいいんだ。逆にバカが治るかもしれない。という訳で私、手軽にバカの脳天蹴とばしてくれる馬探してくるね!」


「ちょっと待って待って!みっちょん!カームダウン。そんな馬存在しないから!イラっとさせたのならそれは謝っておく。私にはそんなに悪気はなかった」


「少しはあったのかよ」


「もう!そんな細かいことはいいじゃんか!それよりもさ、私が相談したいのは武田攻めに関してだよ」


「だから織田信長を倒すのに武田の戦力が必要なんでしょ」


「なるほどなるほど」


「さっき言ったわよ」


「みっちょん鋭いじゃない」


「うん、あんたよりは遥かにね」


「・・・私もわかってたけどね!みっちょんを試しただけなんだからね!」


「どういうツンデレ?」





再びゲームに戻ってまいりました。


ノブナガは武田信玄を倒すための準備をしていた。


多分そうだと思う。何をしてるのかはよくわからないけど、うん、多分そうだと思う。きっとそうだ!


「今のうちに武田を討っておく必要がある。武田と織田に挟まれたら勝ち目はない。織田の目が西に向いているうちに東を手に入れておかないといけない。そして東を征服するための一番の障害が武田だ」


「・・・な、なるほど」


「いや、お前全くわかってないだろ」


「そ、そんなことないやい!」


「・・・。いやわかってないだろ」


「・・・もう!あたしの負けだよ!全くわかってないさ!ほら!煮るなり焼くなり私を好きにしたらいいさ!人生の伴侶にすればいいさ!覚悟はできてる!」


「いや、そんな覚悟いらないから。どっかに捨ててこい」


「ん~」


私はここで純潔を失うんだ。


「もういいから。目をつぶってプルプルするのもうやめろ。キモいから」


「え!?キモい!?白旗を上げた生娘を前にして!!?」


「ああ、キモい。それよりもお前にはやってもらいたいことがある」


「はいはい、どうせ偵察でしょ。おーい、トリ」


とりあえずトリを呼び出す。


『はいはい、どうせ偵察だろ?』


あ、トリも何となくわかってたみたいだ。


「お呼びでしょうか。ノブナガ様」


あ、いつの間にかパプルも来てた。


「今回もトリはパプルと連携して武田軍と武田信玄の情報を探ってこい」


『うっす!』


「仰せのままに!」


トリとパプルはその場から消えていった。


「セイレーンも呼んどけよ。情報の伝達をスムーズにするためにはモールス信号が必要だ」


「わかってるっての!えっちゃーん!!!」


『キー!!!』


えっちゃんは召喚したと同時に私に抱き着いてくる。えっちゃんは今日も今日とて私を主として慕ってくれている。


本当えっちゃんだけは、、、本当えっちゃんだけは、、、。私にはやっぱりえっちゃんしかいない。なんかもう泣きそう。


「なんか感動してるところ悪いが、さっさとそのえっちゃんに指示を出せ」


「わかってるよ!」


えっちゃんに指示を出すとそれはそれは嬉しそうに飛び立っていった。なんかもう泣きそう。


「よし、じゃあ報告が来るまで俺たちは俺たちで準備を進めるぞ」


「え?準備?」


「お前はコロポックルたちと一緒にレベル上げだ」


「はぁ、やっぱりレベル上げかぁ」


「いいから黙って行ってこい」


「わかったよ。コロポックルズ来てー」


『なんだよ!いきなり呼びやがって!』


『こっちだって暇じゃないんだよ!』


やっぱり可愛くないな、こいつら。えっちゃんが恋しい。


「暇だろーが、お前ら。ごちゃごちゃ言ってないでランとレベル上げして来い」


『ノ、ノブナガの旦那!りょ、了解したぜ!!!』


『りょ、了解なんだよ!!!』


『さっさと行くぞ!主!』


『さっさと行くんだよ!主さん!』


もうマジなんなのこいつら。というか私の式神たち。本当に私にはえっちゃんだけだよ。


「、、、はぁ、じゃあ行ってきまーす」


こうして私は全然可愛くないコロポックルたちとレベル上げに向かっていく。


てか私ってレベル上げばっかさせられてる。

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