第19話 ノブナガと私のデート回 映画鑑賞編~『本能寺燃えたと思ったら異世界転生してた件』~

私は不安を感じていた。パプルの出現である。最初は優秀な忍者としてノブナガの元に連れてったけど、ノブナガと話してる姿を見て感じた。


なんか私と同じ匂いがする。気がする。


なんかこう自らの欲のために突っ走るような。ブレーキを踏む気がないというような。


要するにあいつはノブナガをエロい目で見ている気がするのだ。


男キャラっていうのが余計にヤバい。BLに発展する可能性がある。


「おい、ラン。お前なんか変なこと考えてないか?」


「え!?考えてるわけないじゃん!なに!?いきなり!」


「キモい目で俺を睨んでたから嫌な予感がした」


「ははは!私の目つきがキモいのは生まれつきさ!私のキモさはこんなもんじゃないから覚悟しときな!」


「あ、そう。あまり自分を卑下するなよ」


「オッケー☆彡了解☆彡」


ふう、ノブナガは上手く誤魔化せたようだな。ここでパプルがBLを狙ってると伝えてしまったら、それが呼び水になってしまうかもしれない。意識しだすと加速するのがBLというもの。


まあパプルには気を付けるとして、今日は16時まで『信長の覇道』はメンテナンス中。信長と遊びに行くのだ。


「ねぇ、ノブナガ!メンテ中暇でしょ!今日は日曜だから出かけない?」


「それなら行きたいとこがある」


「お!珍しいじゃん!どこどこ!?」


「俺の映画がやってるみたいだから見てみたい」


「あ、もしかして『本能寺燃えたと思ったら異世界転生してた件』?」


「うん、それそれ。織田信長が剣と魔法の世界に転生する話」


アニメ『戦国キングダム』の時もそうだけど、ノブナガ自分出てる作品好きだな。


「有名俳優とか出てるけど、ファンタジー世界をCGでやってて結構痛いって評判の作品だね。よし!なんか面白そうだから行ってみよー!」


こうして私たちは映画を見に行くことに。


そして今見終わったところ。


「ふぅ、何とも香ばしい映画でしたな」


「もう転生したら信長あんまり関係なくなってたな」


これが映画を見終わった私たちの第一声だ。


「とりあえずお腹空いたからご飯食べに行こうぜ!ノブナガ何食べたい?」


「そうだな。ウナギなんてどうだ?」


「重い!焼肉行くよ!」


「焼肉も重いだろーが」


「じゃあ焼肉屋へレッツゴー!!!」


「なんで俺に食べたいもの聞いた?」


満場一致で私たちは焼肉を食べることに。家を出た時から行こうと決めていた韓国焼肉屋へ向かう。


「ヤバ!サムギョプサルの肉厚すぎ!ノブナガの母指球ぐらいある!」


「そのたとえやめろ」


「ノブナガの母指球を焼いている背徳感!」


「ていうかなんで手の平の部分名称にそんな詳しいんだよ」


「そんなことより映画を見終わった後は感想大会でしょーが!」


「感想かぁ。そもそも信長に転生特典でチートスキル与えられてたけど、それってもう信長じゃなくてよかったよな」


「そこな!『万物創造』と『万物改変』ってもうそれ神じゃんみたいな。そこまでいけばもう猿でも天下取れるわ的な」


「信長っぽさは口癖が『で、あるか』ぐらいしかなかったな」


「そういえば出会ったすぐのころ以来『で、あるか』言わなくなったよね、ノブナガ」


「ああ、あれはキャラ付けみたいなもんだからな。家臣の前ではあんな感じの言葉遣いしてただけ。現代であんなめんどくせーことする意味ないだろ」


「あれキャラ付けだったんだ」


「舐められたらすぐ裏切られるからな、戦国は」


「だからノブナガって怖いイメージなんだ」


「部下は恐怖で縛る。民は利益で縛る。これが一番楽だ」


「さっすが第六天魔王!」


「あ、そういえば今回の映画でちょっと魔法にも興味がわいたな。あの世界のやつら無駄遣いし過ぎだろ。俺ならもっと有効に使って簡単に戦争に勝てるんだけどなぁ」


お!ノブナガが珍しく天下取り以外に興味をもってる。


「じゃあそっち系のVRMMORPGもやってみる?ゲームは現実の天下取りと違って色々浮気してもいいんだぜ!」


「確かに。それも面白そうだな」


「じゃあ早速帰ったらやってみよっか!」


これはいい流れかもしれない。他のゲームでも遊ぶようになれば私とノブナガは二つのゲーム世界+リアルで一緒。一つのゲーム内だけの関係しかなパプルに差をつけられる!そして新しい方のゲームでは私もキャラを男にすればノブナガとのBLの道も開けるというもの!


追い風が吹いている。台風並みの暴風が。


家に帰った私たちはさっそくファンタジー系のVRMMORPGを探す。で、まあ結局人気ナンバーワンとネットで書かれていた『テイルズ オブ キャメロット』をプレイすることにした。


王道ファンタジーで、10年以上続いているオンラインゲームらしい。


やっぱりこういう時は王道が一番。


そして私たちが作ったキャラはこちら。



ラン


種族 エルフ


性別 男


職業 レンジャー





ノブナガ


種族 エクス・マキナ


性別 なし


職業 エンチャンター




性別なしで来るかぁ~。まさかアンドロイドになるとは。確かにノブナガって最先端のもの好きだけれども。歯ブラシも電動歯ブラシにすぐ変えたけれども。


この場合どうなの?BLって成り立つの?そもそもBLとは?ちょっともう一度BL本を読み返さないといけない。


私は一旦ログアウトしてBL本をじっくり読みこんだ。そのうえで私なりの答えを出した。


結論としてはBLは成立する。性別なしということは0の状態。だが中の人が男ということで若干男に傾く。ならば男寄りのロボットとなるのではないか?いいや、なる!


結局『ヤレればよかろう』なのである。


私はノブナガをなんとかして見せる。

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