第3話 ノブナガとの初デート

「私も強くなったしいよいよ蝦夷に入る感じ?」


「そうだな。この地帯の情報も十分とれた。そろそろ行くとしようか」


「じゃあここで一旦気を引き締める必要があるよね!」


「まあこれから未開の地に入っていくんだからな」


「でしょでしょ!それじゃあ明日は私と遊びに行こ!」


「遊びに、行く?」


「そう!ノブナガも家にずっとこもってないで外に出た方がいい!」


「でも俺の戦場はこのゲームの中だし、単純に外に行くの怠い」


「言うこと一つ何でも聞くって言った。にゅふふ」


「、、、そういえばそうだった」


「にゅふふふ。じゃあ明日は一日空けといてね!」


「わかった、、、が、その笑い方クソキモいからやめた方がいいぞ」


「むきー!うるさい!」


「そのむきー!っていうのもそこそこキモいぞ」


「むきー!だまらっしゃい!とにかくノブナガは明日の準備をして早く寝なさい!明日はアクティブに動きまくるからね!」


「準備といわれてもな。それにアクティブに動くって余計怠そうなんだけど」


「いいから早く寝る!明日はお出かけなんだからね!天下人たるもの今の東京を知らずしてどうするの!」


「はいはい」


「はいは一回!」


「はいはいはい」


ということで明日はノブナガとのデートとなったのだ。にゅふふふ。





私のデートプランの朝は早い。


まずは4:30起床。


「おい!4;30だぞ!店なんかどこもやってないだろ!」


「店なんてどうでもいいのよ!デートと言えばまずは日の出鑑賞からでしょ!」


「はぁ!?お前山でも登る気か!?てかお前の中のデートって一体どうなってるんだ?」


「質問が多い!そしていきなり山なんて登れるわけない!山舐めてんの!?自然舐めてんの!?」


「悪い悪い。舐めてないから。で、どこで日の出を見るんだ?」


「裏の河川敷に行くくのだ!」


「あぁ、そう」


私たちは河川敷で見た日の出に感動。


「ね?感動したでしょ?でしょでしょ?」


「、、、」


「でしょ!?」


「うん、したした」


信長はあまりの感動に言葉も出ない様である。


「よし!それじゃあ次行くよ!」


「次?」


ランちゃんのデートプランはまだ始まったばかり。私たちは一度部屋に戻る。


そして私は昨日の夜から煮込んでいた鍋のふたを開ける。


もうすぐ5:30。お腹が空く頃でしょう。つまり朝食。


「どうぞ召し上がれ!」


「これは?」


「よくぞ聞いてくれました!信長!これが長時間煮込んだけんちん汁です!」


「なぜにけんちん汁?」


「だって美味しくて健康にもいいから」


「たしかにうまいけども」


「でしょ!?あ、ご飯もどうぞ!」


信長もけんちん汁の美味しさには抗えなかったようで、何杯もお替りしご飯もおかわりした。


「はぁ、食った食った。腹いっぱい!」


「よし!じゃあお腹も膨れたところで一旦寝ます」


「はぁ!?なんで?」


「だって今から出かけてもどこもやってないじゃん。今日は遊園地に行くので8時に家を出ます!それまで各自睡眠!一旦解散!」


「いやそれなら寝た後に朝食でよかっただろ!」


「お腹空いてたら眠れないでしょ!」


「満腹でも寝れんわ!」


「それに寝坊して朝食を食べ損ねたら大変でしょ。それなら先に食べといた方が安心!私ってばしっかり者!」


「どんだけ朝食大事にしてるんだ」


「ちゃんと食べとかないと思いっきり遊べないもん!それに睡眠不足でもだよ!」


「いや、お前が起こしたんだろーが!」


「細かいこと気にしない!さあ寝る寝る!」






―7時45分



「さあ信長起きて起きてー!」


ランに起こされる。今日もうすでに二度目だ。


ランは本当に元気がいい。バカだが。かなりのバカだが。


今日はデートということで更に輪をかけて元気だ。俺たちは電車とバス乗り継いでテーマパークに到着する。


「着いたー!!!東京モルモットランドー!!!」


「すごいな、ここ」


さすがに感心した。俺の安土城よりも派手だ。次に城建てるときはこんな感じにしよ。


「どうしたの?信長」


「ちょっと悔しくて」


「なに言ってんの!早く行くよ!モルモットたちは待ってくれないんだから!」


ランに手を引かれランドの中へと入っていく。



そこからはランのモルモットランド必勝ルートとやらを回った。


まずはスペー〇・マウンテン的な何かから始まり、ミッ〇ーのフィルハーマジック的な何かを経由してグラ〇マ・サラのキッチン的なところで昼食をとった。


「どうよ!信長!美味しいでしょ!」


「うっま!」


俺らはとりあえず派手なオムライスを食べた。ぶっちゃけ天下獲ってた。


「こっから後半戦行くよー!」


後半戦はスプラ〇シュ・マウンテン的ななにかに乗り、バズ・ライ〇イヤーのアストロブラスター的な何かで撃ちまくった。やっぱり鉄砲的な何かはテンション上がる。


グレートア〇リカン・ワッフルカンパニー的なところで甘い物を食べて、ジャングルクルー〇的な何かでジャングルを探検。


ランはワールド的なバザールで大学の友達たちにおみやげを買い、最後にビッグサン〇ー・マウンテン的な鉱山列車に飛び乗った。


堪能しまくった俺たちは最後に二人で花火を見る。


「どうだった?信長。外で遊ぶのも楽しいでしょ?」


そう言ってランは満面の笑みで俺の顔を覗き込んできた。なんか微妙にイラっとする笑顔だったが、楽しかったのは本当だ。


「ああ、確かにまた来たいな」


「よし!またすぐ来よう!何なら明日にでも来よう!」


「いやそれはさすがにない」


「まあ明日は冗談だとして、これからも天下取りしながら色んなとこ遊びに行こうね!」


今度の笑顔はまあまあ可愛かった。





信長とのランドデートから一夜明けて私は大学に赴いていた。


「ランおはよ」


いつものようにみっちょんが声をかけて来た。だが今の私はそれにちゃらちゃらとした女子大生として返事をすることはない。


「で、あるか」


「え?なにその濃い表情。キモいんだけど」


「何って合戦に赴く前も武将の顔だよ!みっちょん!」


「全く意意味わかんないわよ」


やはり平和ボケした今の現代人にはわからないか。愚かな。


「愚かなっていう顔止めてくれない。愚かなラン」


「え!?みっちょんって心の声読めるの!?」


「ちっ!やっぱり思ってたか」


「みっちょん!謀ったね!」


「はいはい。てかあんたモルモットランド行ってきたんだ」


「な、なぜそれを」


「いやだって耳付けてるし、ていうか全身モルモットグッズじゃん。なんなら行った帰りでそのまま来たみたいな滑稽なカッコしてるよ」


さすがみっちょん恐ろしい子。


「バレちゃあ仕方ない!行ってきましたとも!満喫してきましたとも!」


「一人で?」


「そんなわけないでしょ!彼ピと行ってきました~。てへ」


「、、、。ああ。アニメキャラと一緒に行ってきたのね。早く現実に戻って来なさい」


「ちゃんと三次元と行ってきたよ!失礼な!」


「え、マジ?」


「マジの中のマジ!えっへん!」


「え、あんた彼氏いるの?」


「恥ずかしながら」


「マジで!?どんな人!?」


「知ってるかな~?織田信長って言うんだけど~」


「はぁ、あのね。実在の人物だとしても教科書にしか載ってない人もまた二次元だから」


「ちがうもん!れっきとした三次元だもん!何ならもう同棲もしてるし」


「あんた今日は早く帰って寝な。代返ならしておいてあげるから。今のあんたに必要なのはしっかりとした睡眠よ」


「え!?いいの!?じゃあ私は今夜の蝦夷上陸に向けて早退することにするよ!ありがと、みっちょん!」


「どういたしまして。明日にはギリギリ、首の皮一枚まともだったあんたに戻っておいて」


「かたじけない!武運を祈っておいてね!」


「はいはい。武運じゃないけど祈っとくよ。友達として」


みっちょんという盟友の助けを得た私は万全の状態で今日の蝦夷上陸に望むために急いで家へと帰った。


「なんだ、ラン。さっき学校いったばっかりだろ。腹でも下したか?」


「ふふ、盟友の助けを得て帰って来たのです」


私は信長にみっちょんが応援してくれたことを話した。


「あ、そう。その友達は大事にしろよ。そしてもう少しだけ相手の身になって話す言葉選ぼうな」


「ん?えーっと、おっけー!」


「はぁ」


信長は疲れたように溜息を吐いていたが、それもそうだろう。今日はいよいよ青森の海岸から津軽海峡を渡って蝦夷に入る日。信長も緊張しているのだろう。にゅふふ。かわいいところもあるではないか。ここは伴侶として信長を支えないとね!


「信長心配しないで!私がついてるよ!」


「いや俺が心配してるのはお前なんだけど」


いざ蝦夷上陸である。

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