3.流れ星?隕石?夢の国の落とし物

水溜りを踏んで足の中に、どんどん水が入ってくる。最悪だ。やっぱり今日は憂鬱な一日。最悪な一日だ。まぁ、最近いつもこんな感じだけど。


人ってなんで動くんだろう?

なんで働くんだろう?

なんで生きてるんだろう?

街行く人を見て素朴な考えが頭に浮かぶ。









やっぱり今日も









いつもと変わらない







憂鬱な一日……









のはずだった。











「おい、なんだ?あれ……」




通行人の1人が空を指差し声をあげる。


それに釣られ、周りの人も空を見上げる。


俺もすかさず、顔を見上げる。





雨が止んだ気がした……。



ビルの上に突如突如現れた青い物体。

サッカーボールくらいだろうか。


しかも、だんだん大きくなっている。

いや、近づいている。

それは間違いなく近づいていた。





「なんだあれ…」








思わず言葉になる。






「近づい…てる……?」

「なんだあれは!!!」

「おい、動画撮れ!!」

「逃げろぉおおおおお」


東京のど真ん中、しかも昼間の渋谷。


空から何かが降って来ている。


辺りは騒然としている。










何かが起きる気がした。










ソレ" が何か分からず目を凝らす。


が、間違いなく"俺" の真上に落ちて来ている。


「え、ちょ……」


避ける間も無く、俺にぶち当たった。


神社のでっかい金のような音がした。

誰かの叫び声が聞こえた気がした。

 









意識が遠のいた。












どれくらい時間が経ったのか分からない。

俺は、道端に倒れていた。

「痛っ……くない……?」



痛くない。痛かったはず…。



確実に俺の頭に "青い何か" が落ちて来た。



周りを見渡す。


さっきまで声を上げていた人や空を

見上げていた人が居たのに……。




……居ない。






「え。」



何が起きているのか分からなかった。


とりあえず立ち上がる。


理解することが出来なかったが、


ここは渋谷のど真ん中、何が起きたか全く理解出来ない。ただ突然に恥ずかしが襲ってきた。通る人と目が合う。オレ、笑われている。


とにかく立ち去りたいと思った。


周りを見ながら小走りで足を進める。


周りから見たら違いなく変なやつだろう。


いや、変なやつだ。

いや、変なことが起こったんだ。

起こったはずだ。


何が起こったのか分からないけど…


きっと疲れている。


多分疲れてるんだ。


よくわからないけどなんでもいいや。

頭の中でずっと何だったのか考えているが

答えが出ずに、日が沈んだ。






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