2.白雨の号令
突然の集中豪雨は、
もうやる気を無くしたらしい。
「なんだ、俺と似てんじゃん……。
何言ってんだ俺。」
最近、いつもこんな感じ。
水の滴るお皿を横目に、玄関へと腰掛ける。
靴が履きづらい。靴紐を無理やり両手で引っ張った。靴を履くのに3分もかかった。最悪だ。外はまだ雨の音が響いている。
雨は嫌いじゃない。時にわざわざ濡れるために外に行くことだってある。なんか、嫌なことを洗い流してくれる気がするから。雨に濡れるとスッキリする…時もある。でも、今日はいつもよりちょっと憂鬱な気分だ。骨が錆びたビニール傘を開く。ハァとため息をつき、憂鬱な一歩を踏み出す。今日は、いつもに増して傘と雨が相奏でる音がどこか美しい。気分は最悪なのに何故だろう。雨の音に考えさえも消されてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます