2.白雨の号令

 突然の集中豪雨は、

 もうやる気を無くしたらしい。


「なんだ、俺と似てんじゃん……。

 何言ってんだ俺。」


最近、いつもこんな感じ。

水の滴るお皿を横目に、玄関へと腰掛ける。

靴が履きづらい。靴紐を無理やり両手で引っ張った。靴を履くのに3分もかかった。最悪だ。外はまだ雨の音が響いている。

雨は嫌いじゃない。時にわざわざ濡れるために外に行くことだってある。なんか、嫌なことを洗い流してくれる気がするから。雨に濡れるとスッキリする…時もある。でも、今日はいつもよりちょっと憂鬱な気分だ。骨が錆びたビニール傘を開く。ハァとため息をつき、憂鬱な一歩を踏み出す。今日は、いつもに増して傘と雨が相奏でる音がどこか美しい。気分は最悪なのに何故だろう。雨の音に考えさえも消されてしまった。






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