19歳の僕がある日突然アニメキャラクターになってしまった話

ボクは、カリウム。

1.憂鬱な毎日

 梅雨も終わりに近づき、嵐の日々が続いている。今日も雲が不気味だ。まるで空が「今年の夏の暑さには勝てるかな」と挑戦状を片手にヘラヘラ笑っているかのように見える。怯えるようにカーテンを閉め、授業に戻った。授業って言ったって、寝転んで授業受けててもバレない。これじゃ大学生の意味が分からない。コロナ禍で始まったオンライン授業は、僕をダメにした。ふつふつと浮かぶ大学へ文句を押し殺しながらパソコンを閉じる。


 まるでどこかの国の王子様のように、机の上に足を伸ばし、部屋干し臭の漂う部屋で午後は、何をしようかと考える。無駄に上手くなった、何にも役に立つことのないペン回しは、まさに自粛大学生の象徴だ。


「はぁー。皿でも洗うか。」


2週間分貯まった山積みの皿を遠目に

深いため息をついて立ち上がる。


「バキバキ」


腰から嫌な音が鳴る。


「痛っ」


アルバイトと買い物以外、外に出ないから

体の節々が悲鳴をあげている。自転車で東京から江ノ島までママチャリを漕いで行った高校時代からもう3年も経ったなんて嘘みたいだ。腰をさすりながら台所へと向かう。今日も相変わらず、ボサボサな髪の毛とシワクチャな白Tシャツ。


「はぁーーー。」


大きくため息をついて蛇口を捻る。

食器洗い機が欲しい。

お皿を洗ってていつも思う。


「食器洗い機〜♪君さえいれば世界は安泰♪」


気づけば、訳の分からない歌詞とメロディが

完成している。














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