女騎士と文官男子は婚約して10年の月日が流れた

宮野 楓

女騎士と文官男子は婚約して10年の月日が流れた

 幼馴染のエリック・リウェンとの婚約が家同士に整えられて早10年。


 リサはもう25歳となってしまった。この貴族社会。大抵は17、18が平均結婚年齢で、行き遅れと言われ始めるのが20からだ。


 なので行き遅れてもう5年という計算になる。


 ただ婚約は15の歳に整えられているので、順調にいっていれば平均年齢で結婚できていたのだろうな、と思う。




 だが婚約者のエリックを責められぬ理由がリサにはある。


 それは自身が騎士という職業に就いたことだ。


 エリックは文官として王宮に勤める。これは次期侯爵として問題ない選択肢といえよう。


 問題はリサだ。リサも生家は侯爵家になるが、女騎士として王宮に勤める。これは次期侯爵夫人として間違っている選択肢と言えるのだろう。


 お互い職に就いてからは、文官に騎士と関わり合いがなく、同じ職場であってもすれ違うこともない。


 そして忙しすぎてどんどん疎遠になっていった。


 ついには今日、リサが25の誕生日であるが贈り物一つ届かなかった。




(潮時かなぁ…)




 騎士団の寮で暮らすリサは自室の机に便箋を広げ、ペンを手に取っていた。


 別にエリックの事が嫌いな訳ではない。だが恋しているのか、と言われれば分からない。


 エリックはリウェン侯爵を継ぐ長子だ。早く結婚し、子を設けたほうがいいだろう。


 対するリサは二男三女の末っ子だ。家に何も期待されていない。まぁ家同士の繋がりに使えればな、くらいだと思う。


 騎士として自立した生活も出来ているし、いざというときは修道院で暮らすことも視野に入れている。


 きっと男性から、もう婚期過ぎた女性との婚約破棄は言いづらかろう。実はエリックとは誕生日が三日違いで、もうすぐエリックも25歳を迎える。


 誕生日プレゼントとして婚約破棄を届けるのが良いだろう、と思った。


 男性の25歳は女性と違う。まだまだ再婚約、結婚を狙えるむしろ脂の乗った時期だ。


 そして最近耳にしたのだ。エリックがある女性と親しげにしていると。もう解放してあげるべきだろう。




 リサは実家に向けて婚約破棄したい旨をサラサラ記す。


 表立った理由はリサに非があるように、騎士という職業に魅入られ侯爵夫人になりたくないと記しておく。


 これならばエリックには同情しか向かないだろう。


 そして両親は現在王都にいる。返事は十分明日に返ってくるだろう。返ってこなければ、明日実家に寄って直談判するまでだ。




 便箋に封をして、寮の管理人さんに実家への手紙を託した。




 そのついでに寮から出て夜風にあたりにリサは散歩に出た。


 最近婦女暴行事件が勃発しており、騎士団も血眼になって犯人を捜しているが、見つからない。


 治安よろしくない状況だが、むしろリサで釣れればいいんじゃないだろうか、と仕事のことも考えてしまう。




「……リサ?」




 王都の繁華街を歩いていると女性と歩いているエリックと遭遇した。


 まさかの婦女暴行の犯人と遭遇するより会いたくない人達だ。




「こんばんは」




 声をかけられた以上返事を返さない訳にはいかない。しかしエリックよ。隣の女性が慌てふためいているではないか。


 その様子を見るに女性はリサがエリックの婚約者であることを知っているのではないだろうか。


 修羅場だ、と思って慌てふためくのも分からなくはない。ただリサはもうエリックが懇意にしている女性がいるという事は知っていたので、別に慌てる必要もない。




「大丈夫? 震えてるわ。もう夜も更けてきて寒さも増してきたもの。暖かくしたほうがいいわ」




 リサは自分が羽織っていたショールを女性にかける。名も知らぬ女性だが、自身のショールをかけると大きく、いかにも女性といった感じの小柄で可愛らしい顔立ちをした子だ。


 こりゃエリックがリサに興味を持たないはずだ。全然タイプが違う。


 とりあえずショールをかけることで敵意ないですよ~とアピールしておかなければ。




「あ、ありがとうございます」




 声が震えている気がするが先ほどの慌てっぷりから、ちょっと落ち着いたように見えるので真意が伝わったかはどうか不明だが、ちょっと警戒心薄めてもらえたようで何よりだ。


 リウェン家とはエリックと婚約破棄したとしても、出来れば家同士の絆に差し障らなければと思っているので、次期婚約者様に好印象を持ってもらうのも大事だろう。




「そんなことしたらお前が寒いだろ」


「あら? 私はそんな柔な鍛え方してないわ。それより震えている女性を気遣えない男はダメね。何処かお茶の飲めるお店に入って温めてあげなさいな」




 夜も更けてきた今、バーとかぐらいしか空いてないかもだけれど、まぁこんな時間まで一緒に歩いているのだ。


 さすがに宿につれてけとは言えなかったので、お茶で言葉を濁しておく。


 屑な騎士団員をいっぱい見てきたので正直明け透けに物を言えなくもないが、婚約破棄するまでは濁すくらいでいいだろう。


 それにエリックが持っているお店の紙袋のロゴが目に入ってしまえば、尚更ちょっとちょっかいかけたくなる気持ちも理解してほしい。


 リゼックというブランドで、人気の宝石ブランドなのだ。そこで一番有名な宝飾品は指輪。主に婚約・結婚の際はリゼックで買いたいよね~と女性が名を上げる筆頭のブランドだ。


 もちろん中身は指輪とは限らない。その他ネックレスなども扱っているが、指輪の可能性が高そうな気がしている。


 こりゃリサとの婚約破棄はエリックにとって最高の誕生日プレゼントになるだろう。




「あの、リサ様! 私はエリック様とは同僚なだけで、その、あの!」


「分かってますので大丈夫ですよ」




 婚約者のいる男性にこんな時間まで連れ添っていたら、婚約者である私に責め立てられても文句も言えないからだろう。


 女性は必死だが、後三日後には解消までもっていくので、堂々と歩けるようにしてあげますよ、とは心の中で付け加えておく。




「エリック様、ほら、こんな寒空。女性にはきついですわ。早く案内してあげてくださいませ。私は用がありますので、こちらで失礼しますね」




 ペコっと騎士団仕込みの礼をしてリサがこの場を後にしようとすると、エリックに腕を引かれた。


 折角二人っきりにしてやろうと早々に立ち去ろうとしたのに、何をやっているのだこの馬鹿は!とエリックに怒鳴りたくなったが、女性の手前笑顔を貼り付ける。




「最近治安が良くないと聞いている。お前こそこんな時間に用とは何だ」


「ん? だから見回ってるんだけど。中々尻尾捕まらなくてさ。だから早くお嬢さん連れて行ってあげなさいな」


「こんな時間まで勤務時間か?」


「違うわよ。まぁ夜勤はあるから、今日は違う、が正しいけど」


「勤務時間外に見回りが用という事か?」


「そう。だってさぁ、正直被害者増えるばっかりなんだよね。いい加減決着つけないと騎士団の沽券にも関わるわ」


「じゃあ、お前も危ないじゃないか!」


「騎士に何言ってんの? 」




 久しぶりにこんなにエリックと話すが相変わらずの心配性だ。そんなのはそれこそ隣にいる女性にかけてあげる言葉で、女騎士であるリサにかける言葉ではない。


 やはり価値観の不一致って大きい。


 こうなったエリックは心配性を増幅させていくだけなので、早く興味関心を隣の女性に寄せねば。




「治安が良くないのが分かっていながら夜に女性を連れまわす男性のほうが感心しないわよ。早く送って差し上げなさい」




 そう言えばエリックは女性に関心を戻して、すまなかった、と女性に声をかけた。うむ、それでいいのだ。


 リサは再度騎士として礼をし、危険ですので一緒にいてあげてくださいね、と言ってその場を去ることに成功した。




 ショールがなくなったことでちょっと肌寒いが、婦女暴行の犯人を捕まえるにはちょっと露出あるほうが釣れるかもしれない、と上向きに考えて、それから一時間弱繁華街を歩いたが釣れずにすごすごと騎士団の寮に戻った。


 騎士団の寮は男女毎に異なっており、寮には知人と言えど同性しか入れることは出来ない。


 だから騎士団の入寮者はもっぱら外で逢引きだ。


 しかし、うん。何で彼はここにいるんだろうね。何だ、会ってしまったから婚約者という存在を思い出してしまったのだろうか。




「遅いな。日付変わったぞ」




 違う誰かとの逢引きかとも思いなおし、素知らぬふりで通り過ぎようとしたが、やはりリサに用があったらしいエリックは声をかけてくる。




「犯行時刻がいつも遅いのよ。でも今日は釣れずじまいだったわ。被害者が出てない事を祈るばかりよ」


「お前に被害がなかったなら良かった」




 エリックの手にはショールとリゼックの紙袋がある。まさかわざわざショールを返しに来たのだろうか。


 これならばあり得る。




「そんなの返却いつでも良かったのに。こんな夜まで待ってなくても」




 律儀なところも昔のままだ。とりあえずショールを受け取れば満足してくれそうなので、大人しくショールを受け取ろうとエリックに歩み寄ると、手をグイっと引かれる。


 今日はこんなのばかりだ。


 勢いあまってエリックにぶつかった。




「おわっとぉ。急に引っ張んないでよ!」




 距離を取ろうとすればエリックが一足早く、背に腕を回しリサを抱きしめる格好になる。


 うん、これ、普通の婚約者同士なら微笑ましい光景なんだろうけど、やや疎遠になりつつある婚約者同士だとなんか微妙だ。


 特に婚約破棄について両親に打診の手紙を送った後だと尚更。


 さらに騎士団はくだらない噂のスピードが速い。これが今日の女性の耳にでも入ったら、それこそ修羅場じゃないか!


 リサはエリックの胸板をグイっと押しやる。男と女と言えど、文官と騎士。何故かエリックも腕に力を込めてきて、ちょっとした攻防があったが、離れることに成功した。


 舐めんなよ、騎士団で鍛えてる騎士を。




「何すんのよ! ここ寮の近くよ。くだらない噂好きいっぱいなんだから余計な事しないでちょうだい」


「お前には雰囲気を大事にするとかないのか……。相変わらずだが空気読めよ」


「今日ほど空気読んだ日はないわよ」




 むしろ鈍感なリサだから今日の女性の正体に気が付いてないとでも思っているのだろうか。


 それとも何だ。エリックから婚約破棄についての打診だろうか。これはあり得る。だってわざわざリゼックで何かを購入しているのだ。


 女性との将来を考えるとこの律儀な男はまず、婚約者がいる状況がまずいと、特に今日会ったからこそ尚思ったのだろう。




「空気を読まれた覚えはない」


「そう? まぁ、明後日の誕生日に教えてあげるからさ。楽しみにしてなさいよ」




 エリックに非が無いよう事を進めるためにもやはり明日は休みをもらって実家に帰るかな。そしてその足でリウェン家に行けばいいだろう。


 エリックの父君と母君の方もきっと跡取りが10年婚約者がいる状況で結婚しないのにはやきもきしているはずだ。


 この話は案外単純に事が運ぶと思う。




「お前が空気を読もうとすると逆に怖いんだが、何しようとしている」


「誕生日プレゼントだし、あんたが喜ぶこと考えてるわよ」


「俺が喜ぶことがなんなのか分かるはずない」




 まぁ言ってくれるではないか。


 あれか、婚約者登場でリゼックの宝石を女性にプレゼントする機会を失ってしまっての八つ当たりか。


 ふむ。そう考えれば一日も早く教えてあげたほうがいい気がしてきた。万が一にでも今日リサと会ったことが原因で破局は後味悪い。




「なら教えてあげるわよ。でも準備が整うのはあんたの誕生日で最短だと思うけど?」


「言ってみろ」


「婚約破棄よ。あ、私に非があるように手回しするからそこは安心するのよ! だからあんたはすぐ再婚約しても問題ないと思うわ」


「……10年婚約していた俺が喜ぶと思ったその心は」


「ん? だって10年婚約してて結婚しないって私たちは縁ないと思うのよね。そんな中、あんたが女性と懇意にしてるって噂回ってきたし、いい具合かしらってね」




 はぁあああ、と深いため息をつくエリックに、リサは首を傾げざるを得ない。


 なんだ、リサが手を回すまでもないと言いたいのだろうか。それとも実はエリックも打診済とかだろうか。


 打診済であればある意味さらに話は早いと思うのだが。




「何でそうなるんだよ! 馬鹿なのか! アホなのか! 結婚する気ないなら婚約なんぞとっくに破棄してるわ!」


「はぁ? 逆に結婚する気があるなら10年も婚約状態な訳ないじゃない」




 エリックは目を手で覆う。クソが、とか小声で聞こえたが、なんなのだ。


 空気読めないとか言われたが、これに関してはリサに一理あるとしか思えない。




「日付は過ぎた。だが、受け取れ!」




 ぐいっとエリックがリサに押し付けてきたのはリゼックの紙袋だ。


 なんだ。まさかの誕生日プレゼントだったのか。いやいや、誕生日プレゼントにしてはリゼックは高価すぎると思う。


 確かに互いに侯爵家の人間だ。買う事にも問題はないし、家の力を使えば買える。だが、エリックもリサもそれをせず己の収入で質素に暮らしていて、誕生日プレゼントは形式上とはいえ送り合っていたが、桁が三個も四個も下の物を、だ。




「誕生日プレゼントにしては高すぎよ。買ったなら分かると思うけどリゼックって高いんだからね」


「……そんなもんじゃねぇよ。いいから受け取って、開けろ。もう雰囲気とかどうでもいいわ」




 なんかやけくそになっているように見えるが、開けなければ帰りそうにもないし、開けろと本人が言うのだからさっさと開けてお帰りいただこう。


 リサは紙袋を受け取り、その中に入っていた小箱を手に取り、ラッピングで巻かれていたリボンを解いて、箱を開けた。


 ちゃっちゃかと開けたが、出てきたのは小箱よりさらに小さい小箱で、こちらの小箱は見ただけで高価だと分かる。包装じゃない。そして漂わせる雰囲気が半端ないが、リサはもう躊躇せずにその高価な小箱を開けた。




「分かったか?」


「まぁ、あんたにしちゃ趣味良いんじゃない。お嬢さんに喜ばれると思うけど、なんか雑に開けちゃったじゃない」




 出てきたのは結婚指輪だ。綺麗なブルーサファイアが飾られた銀の指輪だが、銀の部分にも模様が彫ってあってきめ細かな造りだと思う。


 対になった指輪を見ればリサも普通に結婚指輪だわ、って思う。




「……俺の婚約者は、エリック・リウェンの婚約者は、リサ・ローランドだ」


「知ってるけど」


「結婚指輪は婚約者に贈るものだ」


「うん。だから婚約破棄するから、お嬢さんと再婚約して贈ればいいと思うのよ。もしかしたらさ、あんた10年ほっといた責任感じてるかもだけど、やっぱりさ、愛してる人と結婚したほうがいいよ。私、あんたに不幸になってほしくないもの」




 それくらいの情はあるのだ。エリックには幸せになってほしい。責任感とかそういったものに縛られないでほしい。少なくともリサに出来る範囲のことは全部してあげるつもりだ。


 もちろん再婚約相手を認めるかはエリックの父上と母上の意向にしかならないけど……。


 だがエリックは再度大きくため息をはぁああとつく。さっきからなんなのだ。




「俺は婚約者を愛してる。いや、もう違うな。はっきり言えば馬鹿でも分かるだろ? エリック・リウェンは、リサ・ローランドを愛してる。だから結婚してほしい」




 どうだ、と言わんばかりの顔で言ったエリックだが、リサにはうさん臭く見えて仕方がない。


 幼馴染なのだ。確かに職に就いて疎遠になった。その間にちょっとは性格も変わっていてもおかしくないが、根本までそう簡単に性格は変わらないと思う。


 エリックは言葉遣いが荒いが律儀なのだ。家同士や婚約者や期間、色々な事を考えた上で出された答えに違いない。




「どっちが馬鹿なんだか。あのさぁ、本当に無理しないでほしいの。昇進の打診もあったし、私は婚約破棄で死んだりしないわ。だからちゃんと愛する人に渡してほしい。大丈夫よ。ちゃんと私の家には婚約破棄について手紙を出したわ」


「は?」


「明日には両親から返事も来ると思うし、何にも心配なんかいらないわよ」


「は?」


「だぁかぁらぁ、婚約破棄についてはもう私からは両親に打診済みなの! 分かる? だから心配いらない」




 雑に開けてしまったが豪華な小箱を閉めて、もう一つの小箱に直してリボンを巻き直す。


 ちょっとリボンの形が変だが、お店みたいに綺麗に結べないがもう許してほしい。


 紙袋に直してエリックに押し返した。




「あのね、私、浮気症な男嫌いなの。お嬢さん、幸せにしてあげなさいよ」




 やはり明日、実家に帰って全力で両親を説得し、早々に婚約破棄を行おう。


 婚約と違って破棄は割と簡単だ。両家が頷けばいい。もちろん、色々そこに政治的な何かや思惑やらが絡んでいたら面倒だが、幸いリサとエリックにおいてそれはない。


 しかし、良いこと言ってショールだけ持って去ろうとするリサをまたエリックは手を引いて止めた。


 もう今日何回目だ。




「俺は一途だ。今日の女性は同僚だ。俺に女の好みは分からん。だから連れて行った。それだけだ」




 そしてあーと言いながら頭を掻いたエリックは紙袋から小箱を出して、豪華な小箱を出して…と先ほどリサが包装し直したのを解いて、豪華な小箱を手にリサの前に跪いた。




「家の力なんか使いたくなかった。だから10年待たせたのは俺の不甲斐なさが原因だ。俺にも昇進の話が来た。漸くお前に胸張って言える」






 ――――待たせた。結婚してください。






 エリックは小箱を開いて、リサに差し出した。


 今回は押し付けてこない。




「本当に、私のことが……好きなの?」


「小さいころからだ。俺が親父にお前と婚約させてくれって頼んだ」


「政略じゃないの?」


「違う。まぁ思惑は後付けで出来たかもしれないが、はじまりは俺だ。俺に剣の腕はなかった。だから女性で剣を振るえるお前が羨ましくて、剣を握っている姿を初めて見たとき目を奪われた。今思えばその瞬間、惚れたんだと思う」




 まっすぐ見つめる瞳に、純粋にリサは心を掴まれた気がした。


 多分エリックがリサが剣を握っている姿を見たときに目を奪われたんだとしたら、今、リサが結婚指輪を差し出してまっすぐ想いを伝えるエリックに目を奪われている。








 ――――――――――








 あれからさらに1年の月日が流れた。


 リサは変わらず騎士団におり、エリックも変わらず文官をしている。


 ただ変わったのはリサ・リウェンになったこと。


 そして指にリゼックの指輪をリサとエリックが着けている事だけ。




 ただそれだけだ。

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