第2話 さざなみ

 古墳から3分のところにあるカフェで古代米ご飯とやらを食べた。鶏や野菜たっぷりの副菜、1620円。

 昼食を終えた夏菜子は自転車で3分のところにある飛鳥宮跡にやって来た。

 飛鳥京跡は、6世紀末から7世紀後半まで飛鳥の地に営まれた諸宮を中心とする複数の遺跡群からなる都市遺跡であり、宮殿のほか朝廷の支配拠点となる諸施設や飛鳥が政治都市であったことにかかわる祭祀施設、生産施設、流通施設などから構成されている。具体的には、伝飛鳥板蓋宮跡を中心に、川原寺跡、飛鳥寺跡、飛鳥池工房遺跡、飛鳥京跡苑池、酒船石遺跡、飛鳥水落遺跡などの諸遺跡であり、未発見の数多くの遺跡や遺構をふくんでいる。遺跡全体の範囲はまだわかっておらず、範囲特定のための発掘調査も行なわれている。


 飛鳥宮は複数の天皇が代々宮を置き、または飛鳥内の別の地に遷宮をしたことにより、周辺施設とともに拡大して宮都としての機能を併せ持った。これは後に現れるような、建設当初から計画され固定化する宮都(藤原京)への過渡的な都市であったことを示している。

 

 チャリで3分のところにある奈良県立万葉文化館にやって来た。何と入館無料、東武ワールドスクウェアなんて駐車場代までメチャクチャ高かった。良心的だ。

 万葉のふるさと・奈良にふさわしい『万葉集』を中心とした古代文化に関する総合文化拠点として、国内外から多くの人たちが訪れ、楽しみ、学ぶことのできる機能と魅力を備えた施設として、2001(平成13)年9月15日に開館した。


『万葉集』は、古く5世紀から、8世紀にかけて詠まれた4500余首を収めたわが国最古の歌集で、日本人の心の古典、言葉の文化遺産といえる。そのなかでも、奈良を対象に詠まれた歌が最も多く、県内各地には『万葉集』ゆかりの歴史的風土・自然景観が多く残されている。


 万葉文化館は、日本の古代文化に関する調査・研究機能(万葉古代学研究所)、万葉に関する文化の振興を図る展示機能(万葉ミュージアム)、万葉集に関する情報の収集提供を行う図書・情報サービス機能(万葉図書・情報室)を併せ持つ。 事前の発掘調査で明らかにされた文化財についても、その保存に努め、復原展示などで創造的に活用することにより、遺跡と共存する総合文化施設をめざしている。


 夏菜子は万葉集をモチーフにした殺人事件を描こうとしていたが、ライバルの推理小説作家、財前大輔からは『万葉集殺人事件なんてありきたりだね』と鼻で笑われた。

 

 自転車で2分のところにある飛鳥寺にやって来た。

 飛鳥寺(法興寺)は蘇我氏の氏寺として6世紀末から7世紀初頭にかけて造営されたもので、本格的な伽藍を備えた日本最初の仏教寺院である。発願から創建に至る経緯は『日本書紀』、『元興寺伽藍縁起并流記資財帳』(醍醐寺本『諸寺縁起集』所収、以下『元興寺縁起』という)、ならびに同縁起に引用されている「露盤銘」と「丈六光銘」に記載がある。


『書紀』によれば推古天皇元年(593年)、飛鳥寺の塔心礎(塔の心柱の礎石)に仏舎利が埋納された。後世の仏塔では地表に心礎を据えるが、飛鳥寺の塔心礎は地下式で、大きさは東西2.6メートル、南北2.4メートルを計る。飛鳥寺の塔は建久7年(1196年)に落雷で焼失した。翌建久8年(1197年)に東大寺の僧・弁暁が記した『本元興寺塔下堀出御舎利縁起』によれば、弁暁は焼失した飛鳥寺の塔の心礎から仏舎利と荘厳具を取り出し、再び埋納したという。これらの埋納物は、1957年(昭和32年)の発掘調査で心礎周辺から出土した。出土品には、挂甲(上古のよろいの一種)、馬鈴、刀子、玉類など、古墳の副葬品に共通するものが多い一方で、金銀の延板など奈良時代の寺院の鎮壇具に共通するものも含まれており、古墳時代と飛鳥時代の両方の特色をもっている。これら出土品は日本最古の仏塔の心礎に埋納された遺物として貴重なものである。なお、心礎の2メートルほど上方で出土した金銅製(銅に金メッキ)の舎利容器と、これを入れていたヒノキ材製の外箱は鎌倉時代の再埋納時に新たに作られたものであり、創建当初の舎利埋納状況は明らかではない。


 チャリで12分、橿原神宮前駅に戻ってきた。足がパンパンだ。

 午後7時、夏菜子は近鉄奈良駅チカにある『さざなみ』に戻ってきた。  

 夏菜子は2階にある201に泊まっていた。

 深夜、夏菜子は「誰か助けて!」という叫び声が聞こえた方へ駆けつけたが、そこには誰もいなかった。そこは奇しくも数年前に殺人事件が起こった205号室だった。


 朝起きると外がガヤガヤしていた。🚓

 パトカーが停まってる。

 下の階の105号室で遺体が見つかった。

「殺されたのは財前大輔、あの有名な推理小説作家ですよ。けど、彼は有栖川有栖や綾辻行人などの作品をパクっていた」

 和戸雁助がロビーで教えてくれた。  

 雁助は財前は首を鋭利な刃物で切られて殺されたと教えてくれた。

「そういえば財前さんって今田耕司に似てるよな?」と、雁助がどうでもいいことを口走った。

 

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