第3話 コンビニオーナーは労働者?


 結論から先に言いますと、コンビニオーナーは労働者ではありません。


 なぜこのような当たり前のことを題材にしないといけないのか、理解に苦しむところではありますが、これにはちゃんとした理由があるのです。


 すべてのフランチャイズがそうであるとは言いません。むしろ、某コンビニチェーンが特異なのか、それとも、コンビニチェーンだけに存在するシステムなのかは私にはわかりません(調べが薄く申し訳ございません)が、某コンビニチェーンでは、毎日の売上金を本部指定の口座に毎日指定時間までに入金します。

 こう言うと、「名義はちゃんとオーナー様のものですから、本部に入金はしていません。嘘は言わないでください」とお叱りを受けそうなので、しっかりと補足いたしますが、おっしゃる通り、「名義人は」オーナーのものであります。ですが、この口座からの引き出しは基本的には不可能なのです。

 「どういうこと?」と思われるでしょう。

 実はこの口座を取り扱うにあたり、カードを使って行うのですが、選択肢がありません。「入金」しかできない仕組みになっているのです。


 これだけ聞いても、通常であればそれはおかしいと思うところであります。

 しかしながら、やはりこのシステムがまかり通っており、これに同意しないと加盟できないといわれれば、加盟に意欲的な方であればいたしかたなしと思うのが普通の感覚であると思われます。

 まさか、本部が着服することはないだろうと信用するのが通常ですし、たしかに、「着服」されることはありません。

 しかしながら、です。

 この、引き出しができない口座へ入金されたお金はその後どうなるのかというところでありますが、本部へのロイヤリティや各仕入れ先への支払い、従業員への給与の振り込み、さらに、オーナーへの「設定金額」の振り込みがあり、それでもなお残った場合は、本部への借金の返済へ充てられます。


「なるほど。でもそれのどこが問題なの?」


 大問題なのですよ。

 オーナーがもし仮に、本部以外のところから融資を受けていたとした場合、そちらより先に優先的に借金の回収をしていることになります。

 これは債権の平等性に反しています。

 これに対しては、抵当権や質権などのように、債権の平等性にも例外があるという反論もあるでしょうし、それにあたるという意見もあるのでしょう。

 さらにいうなら、もし仮にこの計算の結果、オーナーへの「設定金額」に満たなかった場合は、本部への返済分が勝手に上積みされます。

 借りる先を選ぶ権利がすっ飛ばされます。いや、まぁ、これは言いすぎでした。訂正いたします。

 、他から借りてきた金を追加入金することで「勝手に」上積みされることは防げますので、すこし、意味合いが異なりますね。

 ですが、それによって出た余剰分が優先的に本部への借り入れの返済に充当されるのは防げません。

 

 但し、このお話については、本部との契約内容によって変わるのかもしれませんので、詳しくお調べになった方がよいと思われます。

 

 私自身の経験では、このシステムで困ったことは結果的にはなかったので、特に問題には思わなかったのですが、よくよく考えると、すこし不思議なところがあるようには感じます。


 少々表題から外れていますので、話を戻します。


 上記のように、売上金の管理についてすら本部に依存しているコンビニオーナーが果たして、経営者たり得るのかというところであります。


 このような観点から見た結果が、コンビニオーナーが「雇われ店長」と揶揄されるゆえんともなっていると思います。

 実質的にはちゃんとした「経営者」といえるのかということが、というところでありましょう。


 私から言わせれば、こういう社会の目を向けられることこそ、「チェーンイメージ」の低下、と言えると思うのですが、皆さんはどうお感じになりますでしょうか。



 

 教訓その3――コンビニエンスストア加盟店オーナーは独立した「経営者」であると、法的には結論付けられている。契約内容をよく知り、デメリットに勝るメリットがあるかをしっかりと見極める必要がある



 

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