第7話 パレット荘の面々

 裏庭から笑い声が響く。

 バーベキューをしているのだ。

 白壁の姿もある。まだ額にガーゼを貼っているものの、元気そうだ。

 赤坂が皆に酒を注いで回っている。

 青山は風になびく髪をかき上げている。

 グリーンは、相変わらずのホットサンドだ。

 黄金は、ベンチに座って皆の様子を見ている。

 桃田は、自身の記事を見せびらかしている。


 あの後、ペインターズは企業を相手に、一切の不正を認めさせた。同時に、白壁への暴行事件も、企業の上層部が指示したものだということが明るみに出た。

 赤坂らが企業側に求めたのは、二つだった。一つは世の中に向け、不正の事実を公表すること。これは白壁がずっと願っていたことだった。もう一つは、二度と白壁にかかわらないこと。これは警察を介し、正式な命令として受理された。

 企業側は何とかごまかして切り抜けようとしたが、動かぬ証拠と桃田の理論武装を前に、どうしようもできなかった。結果として、企業が罪を認めたその翌週には、スパイシーモモエ名義で、有名週刊誌に当該企業の不正をこれでもかと暴く記事が載った。


 裏庭での宴会はまだ続いている。

 風が吹き、花壇に植えられた色とりどりの花が揺れる。

 香ばしい香りと、焚き火の煙がエントランスまで流れてくる。

 煙の先には、いつもと変わらず、ポストが並んでいる。

 一〇一号室の「空」シールははがされ、代わりに「白壁」というネームプレートがはめ込まれていた。

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パレット荘の面々 葉島航 @hajima

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