04-06
「……ったんだなあ、と。
中二ごときがおこがましいかも知れないけど、そう思ったんだ。
バンドメンバーのおじいちゃんたち、相当な高齢であること、若者に比べれば当然だけど残り時間も多くはないということ、
そんなの当たり前のようにとっくに受け入れて、人生を楽しんでいるんだなあ、って。
凄いよなあ、お年寄りって。
いや、でも、ちょっと特別、なのかな。
なにがって、あのおじいちゃんたちがさ。
あのね、どうしてそう思ったかというとね、今日ね、バンド練習の休憩中にね、クッキーを食べようってことになって、
お店の付き合いのある人にもらった物らしく、丸い大きめの缶が二つもあってね、
頂いて、
食べているうちにね、
なんでかな、早食い競争が始まった。
といっても、クッキーの上の、チョコとかレーズン部分だけの早食いだけど。
優勝、マッキー!
ギターやってるだけあって、指先が器用なのかな。
とはいえ、
とはいえっ、
八十よりは九十に近い年齢だというのに、なんであんな妙に指使いが早いんだあああ。
でね、二番がわたし。
まあ、子供なんだし自慢にもならない。
クッキーに続いて、じゃららららら、じゃんっ、今度は、アンパン早食い競争! しかも今度は、まるまる一つ。
無茶でしょ! それに、わたしが余裕で勝っちゃうじゃん!
と思ってたら、わたしビリだった。
なんなんだ、あの老人たちはっ!
あの弾け具合というか、心のスタミナというか、開き直り感というか、あれはどこからくるんだっ! 異世界に繋がっているのか無尽蔵すぎる。
本当に、凄い。
……生きていれば、いつか訪れるものは訪れる。
残りの人生。それは、神様が決めたことだから、どうしようもない。若者と比べて老人が少ないというのも、わざわざいうまでもない当然のこと。
自分たちは八十をとっくに超えて、九十近くだったりもして。
どんどん身体だって自由にならなくなっているはずだし、時間だってどんどん少なくなっている。
でも、しょげることなく、あんなに元気で、あんなに前向きで。
神様を困らせちゃえ、ってくらいに生命力があって。
七十近くも若いわたしの方こそが、一緒にいてパワーもらえる。
どういうことなんだろうね。
人生って。
どういうものなんだろうね。
生きるって。
あれえ、なんかとりとめないというか、わけ分からなくなってきたぞ。
クッキー早食いの話をしていたんじゃなかったっけ?
まあいいや。
今日の日記はこれで終了。
寝ます。」
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