第11話 飄々としているようで、可憐な彼女
㐮衣の自己紹介は朝のホームルームの時間で既に済ませられ、この学校ではじめての1日目は終了した──
糸蘭は元からこの学校に在籍しているため既に通っているものの、りいりは昨日から同じ寮に入ってきたため一緒に転校することになっていた。
まあクラスは離れてしまったのだが。そして周りからの反応は実に良かった。
男子からも少し興味の目線を注がれていたことに加え、同性である女子も嫉妬する訳なくにっこり笑みを浮かべれば美人と騒ぎ立てていた。
「ねえ、どこから来たのー?」
「シャンプー何使ってる!?」
これは同性からの反応である。
一方男子のほうからはというと───
「LINE先……教えてもらって良い?」
「こ、今度遊ぼうぜ」
男子なんてとくに顔が真っ赤になっているのを気付かないままで、既に私に告白してくれている気分だった。
ああ初日からなんて良い気分なのだろう──
放課後になると㐮衣はやっと一人になれたことが嬉しくて堪らなかった。
周りから話しかけてくれたりするのは計算外で特に嬉しかったのだが、友達は昔からの友達だけで十分と考えている。それに加えいくら男子を惹きつけようとも好みのタイプでは無かったため、なんと全部断ってしまったのだった。
「なんて愉快な気分なのかな〜〜」
校門から学校を出ていき私はスキップしながらすっかりご機嫌になっていた。
「──ん?」
しかし目に移り、惹きつけられてしまう事柄があった。
なんと㐮衣以外にも転校生がいた様だ。
「よ、良かったら付き合って下さいィィ」
「俺と…付き合うの考えてよ」
注目してみればしかも2人連続で告白されている様子が見えた。
告白されている彼女は髪の毛がセミロング程の長さであり、青色のエクステをしていて目は淡い水色。猫目がちな様に見えた。
なるほど、クールさもモテるのだろう──
(どうするんだろう、どっちか付き合いを受け取ったりするのかな〜〜?)
無言で真顔で見守っているつもりなのにもう関わらず、自分が告白されている時でも無いのにワクワクしかなかった。
「…ごめん、ワタシ興味ないから」
そう答えると破局したという事実に堪えきれない2人の男子は、涙をこぼしながらも校門の方へ駆けていく──
「はあやっぱりモテるって大変だよねえ」
彼女に直接言いたいわけでも無いが、㐮衣は共感する様に頷きながら独り言を言った。
「ねえ君、さっきまでずっとワタシのこと見てた?」
「そうそう〜〜皆に好かれるって本当心地良いけど、結局……って!」
私は背後を振り向き顔を真っ青にした。
なんと隠れて見ていたことがバレてしまっていたのだから──
「まあ気になるだろうね、告白されてる現場なんてそんなの大スクープでしょ」
その瞬間彼女が凄く輝いて見えた。
「あ、あ、あの…」
私はどうしても吃ってしまうのだった──
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