第13話
私は机に向かって買ってきた菓子パンを食べていたら、後ろからセシリアが「ねえねえ、一緒にごはん食べない?」と声をかけてきた。
それが私たちが最初に言葉を交わしたきっかけだった。
私は、高校を休学してまもなく市内の繁華街にある専修学校に通うことになった。そこは大学検定を目指す高校中退者や不登校者が集まる資格専門学校だった。高校を休学したといっても、まともに通っていれば高校2年生だったはず。でも、入学してからすぐに不登校状態になっていたので留学していたから、まだ高校に籍はあるが1年のままだった。
それはさておき、十代のころの私は、今より世間ずれしていない、よく言えば真面目、悪く言えば社会経験が少ないので、セシリアを生まれてはじめて見たとき「こういう不良っぽい娘に声をかけられて困った」という感覚に陥った。
セシリアは実のところ私より1歳年下だったが、セミロングより長い髪の毛を茶色に染めていて(それは彼女によく似合った)、イングウェイマルムスティーンのメタルTシャツを着て、ジーンズというファッションだった。彼女はまだ16か17で、目が離せなくなるほどの美少女だったが、私は彼女のヘビーメタルみたいな恰好が気になった。
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