第11話 家出④

オオツカさんは、広島の呉の祖母の家から電話をかけた私に向かって「お前が飛び出して行ったおかげで中学、パニックだよ!」とあきれたような声で言ったが、大げさな表現ではなかった。自分がやらかしてしまったことについて、その後中学卒業まで、私はギクシャクとした居心地の悪さを感じ続けることになった。

家出決行が、時期的に終業式の前だったので、すでに中学2年時のクラス分けが決まっていたと思われるのだが、中学2年時のクラスは異様に過ごしやすいクラスだった。つまり、いじめをやりそうな元気のよすぎる男子/女子を1クラスだけ徹底的に避けて、「心理的問題がある」私のために、おとなしい子しかいないクラスを作ったらしかった。そのくらい中2のクラスは居心地がよかった。でもこのクラスにいたころ、どういうことがあったのか、私はほとんど覚えていない。中1も中2も中3も、私は集団の中で孤立しきっていたので「集団が苦痛である」という感覚は同じである。

東京駅から広島駅まで、新幹線で5時間、高速バスで12時間以上かかるのだが、私は夜行列車で東京へ戻ることになった。親と父方の祖父母と母方の祖母の間で、どういう話し合いがあったのか知らない。

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