第10話 家出③
中学1年生のころ、今思えば不思議だが、私には何人か同性の友達がいた。八百屋のフクダさんもそうだし、ダビングを教えてくれたオオツカさんもそうだった。私は吹奏楽部に所属じていたので、部活関係の話し相手もいた。
大人になってからの私、特に30代以降は、ほとんど人づきあいというものが無くなったことを考えると、なぜに中学時代は同性の友達がいたのか?不思議に思う。
少なくともあの頃は(男子に容姿をバカにされ、いじめの対象になるような児童ではあっても)同性の同年代の子が寄ってきて話す…ということは珍しくなかった。いまとは大違いだ。
オオツカさんは当時の私と馬があったので、よく家の中でも彼女の話をしていたと思うが両親は困惑していたみたいだ。私と彼女が付き合うのを、あまり喜ばなかった。不良っぽい子ではなかったが、なんだか親の理解を超えるようなことを言ったり、やったりする子だったのだ。でも、中学から東京暮らしが始まった私にとっては(小学校は山口県の田舎だった)オオツカさんは、東京というところをほんのすこし感じさせてくれるサブカル的存在女子だった。自由で、ちょっとマニアックな点が共通していたのかもしれない。
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