第9話 家出②

いじめがあると母は中学校に相談していたと思うが、学校側は特別に加害児童に指導をするとか対処しなかった。だから、私が学校を飛び出すまで、いじめは日々過酷になっていって、飛び出した日前後は私もどうしたらいいのか?さっぱりわからなくなっていた。いまでもそうだが、私には集団適応能力が皆無だった。だからいじめと縁を切るには、集団から縁を切る必要があったのだが、親は不登校も学校をやめることもまったく考えていなかった。その頃、35年前の日本には発達障害とかアスペルガーという病名すらなかったのだから仕方ない。

いじめに遭うのは全部、被害を訴える側の責任。

呉駅に迎えにきていたのは父方の祖母だったが、私は母方の祖母の家に泊まると言い張って、補導された夜は母方の祖母の家に行くことになった。父方も母方も呉在住だった。

あの夜、父方の祖母がべたべたとしてくるのが、どうしようもなくうっとうしかった。ひとりにしてほっといてほしかった。でもお金もなかったし、そもそも新幹線がJR広島駅に到着してから、呉駅に向かったのはそういう理由かもしれない。

私が学校を飛び出してから、中学校はちょっとしたパニックになったらしい。クラスの友人に電話かけると、友だちがそう言った。

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