第6話

"正直、俺は高校中退だから高校野球って嫌いだな。"

ある人がそういうのを聞いてはっとした。私は自分が高校へ行っていないから、あれが嫌いだとか考えたことがなかったのだ。自問自答してみる。もしかしたら…私は、高校中退という体験を、おとなになった今でもまだ自分の中で消化しきれていないのではないか?

50歳になってもときどき夢を見る。

私が繰り返してみる夢のパターンがあって、

①単位が不足していて学校を卒業できない夢、

②これから家族で引っ越す夢の2つである。

このふたつの夢は、あちこちディティールは異なっていても、年に何度も見る。過去に何度見たことか。夜中に目が覚めると、暗闇の中で、"夢でよかった"と思うタイプの夢だ。

夢のなかで、私は何の疑いもなく学生をやっている。高校のときもあるし、大学のときもある。当時いちばん嫌っていた教師(体育の教師のこともあるし、他の科目のこともある)に教員室へ呼ばれて、自分が単位が足りなくて、今年留年することを一方的に告げられる。これは夢というより、私が16歳のころ現実に体験したことを、夢の中で何度も何度も繰り返して体験しているようだ。そんなにショックが大きかったのだろうか?昼の私には、よくわからない。

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