第2話

尤も私がレズビアンであろうがなかろうが、私の周囲にいる人たちにとってはどうでもいいことであった。セクシャリティが問題になるのはその当事者が美しい場合、容姿に比較優位性がある場合のみ。醜い部類に入る男女が、同性愛者だろうが何だろうが世の中はほとんど関心なんか持たないのだ。

20代前半のころは、レズビアンの当事者団体に連絡を取って、呑み会に参加したりしたが、30代以降はあの手の集まりにたえて縁がなくなった。セシリアみたいな娘は一人もいなかったから。

自称レズビアンたち(いまならレズビアンであると自認している女性たちとでも言うのだろうか?)は街の中でこっそりと生きている。

あの頃はタマムシ色の旗を掲げて政治運動している人たちの姿は見当たらず、ただレズビアンであると自認する人たちが集まって、愛や生活について話し合っているというイメージだった。保育士や小学校教諭、教育関係が多かったが、中には印刷屋勤務という女性もいたし、外国人や留学生もいた。

異性愛者にいろんな人がいるように、同性愛者にもいろんな人がいる。

だからレズビアンだと自認する女性の基調底音というか、これという共通点を探るという試みは失敗に終わる。

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