第15話 キングスケルトンと、リッチと、デュラハン

 やっとお目当てのキングスケルトンに出会えた。


「二人とも俺がやる。【味変】」


 魔力を不味くして、放出。

 魔力の鞭はキングスケルトンに絡みついた。


 一瞬でキングスケルトンがバラバラになる。

 人間の3倍もある骸骨が、一瞬で崩壊するのは迫力があった。

 一撃かよ。

 俺も強くなったもんだな。


「メディシス、キャアラ、骨の回収を頼む」

「任せてけなのだ」

「このぐらいはしないと、報酬を貰うのが心苦しいですね」


 俺は辺りを警戒した。

 地面の中なら骸骨の手が突き出てくる。

 この大きさはキングスケルトンだな。

 出てくるまで待ってやろう。

 掘りだすのは勘弁してほしいからだ。


 地面から這い出た所を、魔力の鞭で絡めとる。

 一瞬でバラバラになった。

 キングスケルトンはもはやザコだな。

 栄光パーティに連れられてきた時に、初めて見た時はビビったものだ。

 人間の3倍というと2階建ての屋根ぐらいだものな。

 そりゃビビるだろう。


 おっとまた出て来た。

 二人の回収が追い付かないな。

 でも骨は欲しい。

 スープの素を作らないといけないからな。


 豪奢なローブを着て、杖をもった骸骨が飛んできた。

 着地して、杖先で地面を突くと、スケルトンが100体ぐらい出て来た。


 こいつがリッチだろう。

 鬱陶しいな。

 スケルトンを片付けていると、魔法が飛んで来るのだろうな。

 逃げるか。


 いや、俺はスキルを使うと、ボスウインドウルフの干し肉を齧った。

 そして、スケルトンの間をすり抜けた始めた。

 リッチの魔法が飛んで来る。

 敵味方関係なしかよ。


 避けるしかないか。

 避けた俺に魔法は当たらなかった。


 リッチが杖を振る。

 スケルトン全員が呪いを放出。


 俺は濃密な呪いを至近距離で浴びた。

 そんなの効かないよ。

 リッチが魔法を唱える。

 何も飛んでこないな。


 何の魔法だ?

 リッチの姿がぶれたかと思ったら、リッチに頭を掴まれていた。

 迅速の魔法を使ったんだな。


「【味変】」


 俺は魂に至るまで不味くした。

 リッチがバラバラになる。


 やっぱりな。

 俺の何かを食ったんだな。

 魂だったら嫌だな。

 魂を回復させるモンスター食材を探さないと。


 死んでないから良しとするか。

 残りのスケルトンを始末した時、二人の回収が終わった。

 リッチの骨はどんな出汁がでるかな。

 鑑定してもらおう。


「【鑑定】。名称、リッチの骨。名状しがたき激マズ。魔力回復効果大。魔法威力増加大。一時的に死霊魔法会得。こう出たのだ」


 死霊魔法は要らないな。

 だが、魔力回復と魔法威力増大は嬉しいな。

 ヴァンパイヤの灰の代わりになる。


 ヴァンパイヤロードぐらいの効果はあるだろう。

 だいぶ稼いだしそろそろ帰るか。


 そう思ったら、首なし騎士が駆けて来た。

 デュラハンだな。

 魔法はないが武技は一流だ。


 魔力の鞭を伸ばすも避けられた。

 こいつ。

 魔力が見えているのか。


 力技でやるか。

 ウインドウルフの肉の効果はまだ続いている。

 俺はデュラハンの背後に回った。

 首なし馬が蹴りを放って来た。

 俺は楽々受け止めて足を折った。


 馬が倒れて、デュラハンが飛び降りる。

 デュラハンは槍を捨てて武器を剣に切り換える。

 呪いが押し寄せてきた。

 それは効かないって。


 デュラハンは呪いを諦め、剣での攻撃をしてきた。

 風の軌道が読めるので楽々かわして、腕を取った。

 激マズ魔力を食らいやがれ。

 デュラハンの首が塵になった。


 あれが本体なのか。

 塵はどんな効果かな。

 回収できるだけでも、回収しておこう。


 瓶に塵を詰めた。


 メディシスの前に瓶を持って行った。


「鑑定するのだ。【鑑定】。名称、デュラハンの塵。跳び上がるほどの激マズ。筋力増加大。一時的に予測視獲得。こう出たのだ」


 予測視は未来予知みたいな物か。

 でもデュラハンが俺に負けたという事は、万能ではないな。

 ちょっと舐めてみるか。


 メディシスの取るであろう行動が、何パターンか分かった。

 候補が幾つか出るのか。

 どれになるのかは運次第という訳か。

 使えるか使えないかと言えばそこそこだな。


 ここぞという時に使おう。

 さあ、今度こそ帰るぞ。

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