第13話 一生めんどうをみてやると、私と死んでと、次の目標

「お前は徹底的に管理が出来てない。まるでメンテナンスをさぼった武器みたいなだ。俺がお前をピカピカにしてやって、一生めんどうをみてやる。どうだ?」

「分かりました。末永くお願いするのだ」


 メディシスは少しためらった後に顔を真っ赤にして言った。


「じゃあ、俺の激ウマ料理を味わってもらおうか」


 二つの口でなと小さい声で付け加えた。


「まぁ」


 キュアラが口に手を当てて驚いている。

 どこに驚く要素があるんだ。


 メディシスとキュアラに激ウマ料理極めを食わす。

 俺は食わない。

 やはり白目を剥いて倒れる二人。

 キュアラの口に激マズ料理を突っ込み、強引に起こす。


「くぅー、不味い」

「ほらよ、口直しのちょいウマだ」


 キュアラと一緒にメディシスを寝台に運ぶ。

 そして、二つの口で堪能してもらった。

 メディシスも処女だった。


「一生面倒をみてくれるのだね?」

「ああ、言ったろ」


「顔をもっと近くで見たいのだ」


 うん、顔ぐらいどうってことはない。

 俺が顔を寄せると、メディシスは眼鏡を取った。

 眼鏡取ったら見えないだろう。

 でもメディシスが可愛いから許す。

 見つめ合う俺とメディシス。


「こほん」


 キュアラがわざとらしく咳払いをした。

 メディシスがはっと我に返った。


「眼鏡! 眼鏡がないのだ!」

「手に持ってるよ」


「これが管理される幸せか。ほわぁ」


 メディシスは変人だな。

 眼鏡を取って動かなければ、惚れるのにな。


「よし、風味絶禍ふうみぜっかは今日から3人パーティだ。冒険の旅に出るぞ」

「そういえば、飲ませたいポーションがあるのだ。鉄肌ポーションなのだ」

「強そうだな」

「オーガ並みの皮膚なのだ」


 どうせ激マズだろうけど、スキルを使えば問題ない。

 俺はメディシスが持って来たポーションを、スキルを使ってから飲んだ。


「お願いなのだ。私と死んで」


 メディシスが短剣を俺に突き立てる。

 うっ、あれっ痛くない。


「びっくりしたな。実験するなら、すると言ってくれ」

「さっきの台詞を言ってみたかったのだ」


「では、私も。あの女を選ぶと言うのですね。許せません。一緒にあの世で結ばれましょう」


 キュアラも俺に短剣を突き立てたが、皮膚で止まった。


 二度目だと少し面白みに欠けるな。


「次はこれなのだ。痒くなるポーションなのだ。不味くないのだけど、実験できなかったのだ」

「それは絶対に飲まん。モンスターに飲ませてやれ。使う機会ならいくらでもある」

「残念なのだ」

「俺が責任もってモンスターに飲ましてやるよ」

「ならいいのだ」


「メディシスは戦えるのか」

「私は天才なのだ。認識阻害スキル持ちなのだ。誰にも気づかれないのだ」

「それは戦えるとは言わないだろう」


「こそっと近づいて、ポーションを背中に投げつけてやるのだ」

「強いが、皮膚に触れただけで死ぬ毒なんて、素材を採る面から言っても駄目だな」

「毒は作らないのだ」


「さっきの痒くなるポーションは毒じゃないのか?」

「皮膚がつるつるぴかぴかになるけど、副作用で痒くなるのだ」

「鑑定で見たんだな」

「そうなのだ。効果はわかるけど、効力が分からないのだ」


「毒でないとすればどんなのがあるんだ」

「健康になるけど怠くて動けなくなるポーションとか、多数あるのだ」

「なるほどね。戦力にはなりそうだ」


「メディシスちゃんは可哀想なのね」


 突然キュアラがそう言った。


「どういう事?」

「認識阻害は無視され続けると芽生えるのです」


「過ぎた事なのだ。学園でやり過ぎた私が悪いのだ」

「理解されなかったのか。俺はメディシスは良いと思うよ」


 たぶんあれだ。

 眼鏡を取って見せたんだな。

 男子生徒がイチコロで女子の嫉妬を買ったに違いない。

 才能もあるし、他にも原因はありそうだが、俺には関係ない。


「どこに冒険に行くのだ?」

「俺は生き物だったら勝てる自信がある。物を食いさえすればな。勝てないと思われるのは強力なアンデッドとゴーレムだな。これを克服したい」

「ふむ、古戦場と遺跡に行く事になるのだ」


「そうなるな。キュアラも良いか?」

「ええ、構いません」


 次の目標はアンデッド退治に古戦場だ。

 キングスケルトンとはやったが、あれは弱かった。

 俺が強かったのではなく、前に見たキングスケルトンの5分の1ぐらいの強さだと思う。

 古戦場ではその一段上のエンペラースケルトンとやってみたい。

 エルダーリッチとかもやってみたい。


 魔法戦にも俺は弱い。

 これも克服したい。

 それまでに遠距離攻撃を考えておこう。


 遺跡ではミスリルゴーレム辺りを目標にしたい。

 これが倒せれば俺は無敵と言っても過言ではない。


 そういえばゴーレムの核は食った事がないな。

 メディシスに鑑定してもらって毒で無ければ食ってみよう。

 食った効果が楽しみだ。

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