第10話 討伐の報告と、ランクアップと、殺し屋

 夜が明け骨も運び終えて、ギルドにスケルトン討伐の報告にきた。


「討伐の報告にきた」

「スケルトン3体の魔石ですね。ご苦労様です。討伐料は銀貨1枚と銅貨80枚です。魔石の買取が銅貨30枚です」

「ありがと。それでキングスケルトンが出たんだが、どうしたらいい?」

「大変。早く言って下さい。討伐隊を組まないと」

「それなら、もう倒した」

「嘘ですよね。夢でもみたのですね。もう、びっくりさせないでよ。どうも変だと思った。街の墓場にキングスケルトンなんて出る訳ないのに、すっかり騙されました。もう、怒りますよ」


 俺はキングスケルトンの魔石をカウンターに置いた。

 ゴトっと重たい音がして受付嬢が絶句する。


「キ、キ、キングスケルトンの魔石!」

「嘘は言ってない」


「からかっているのね。古戦場とかで拾ってきてそう言っているのですよね」

「いや、討伐してきた。宿には骨も持って来た」


「えー! 絶対嘘!」

「信じなくても良い。魔石は買い取ってくれるんだよな」


「そうですね。依頼に無い討伐の討伐料は出ません。魔石はもちろん買い取れます。拾った物でもです」

「それでいい。それとパーティ登録をしたい。俺とそこに居るキュアラで、パーティ名は風味絶禍ふうみぜっかだ」


「何だ。驚かさないで下さいよ。Aランクのキュアラさんじゃないですか。キングスケルトンの魔石も彼女が持ってきたのですよね」

「もう、それでいいよ」


「規定ですと。Aランクの方がおられるパーティは、Cランクからのスタートとなります」

「俺のランク昇格試験を受けたい」

「午後になったら来てください。予約しておきました」

「ありがと」


 キングスケルトンの魔石は金貨40枚になった。

 儲けたな。

 俺ってアンデッドと相性がばっちりだ。

 呪いが通用しないんだからな。

 次は古戦場かヴァンパイヤの城でも行ってみるか。

 ヴァンパイヤロードとやってみたい。


 スープの素作りをキュアラに任せて、俺は午後のランク昇格試験に出た。

 ギルドの修練場で、教官と対峙する。


「じゃあ始めるか。タイプは前衛で良いんだよな?」

「ええ」


「先手は譲ってやる。打ってこい」

「【味変】」


 オーガの干し肉を齧る。

 木の大剣が小枝でも持ってるかのように軽くなった。

 型など関係ないただの振り下ろしが教官に炸裂。


 教官は大剣を受け止め、少し勢いに押されて後退あとずさった。


「くっ、やるな」


 俺はさらに剣に圧力を掛けた。

 突如手ごたえがなくなる。

 いなされたと分かった時には剣が首筋に突きつけられていた。


「焦ったぜ。剛力スキル並みだな。これならCランクまではいけるだろう。だが規則で1つずつしか上げられない。ポイントを溜めてまた挑戦してくれ」

「次は勝つつもりでやります」

「その意気だ。Eランクおめでとう」

「ありがとうございます」


 俺もまだまだというか。

 戦闘慣れしてないな。

 料理バフを最大にすれば教官に勝てるかな。

 まだ、バフの要素としてスピードが残っている。

 これを追加すれば、かなり戦力アップするだろう。


 ギルドからの帰り道。

 突然、背中に痛みを感じた。

 体を捻って見ると、矢が刺さっている。

 俺はスケルトンの煮詰めた瓶を開けて、スキルを掛け飲んだ。

 何とか矢を抜き取ると、矢じりに毒が塗られている。


 くそっ、目が霞んできた。

 あれを飲むか。

 メディシスから貰ったエリクサー並みのポーションを飲む。

 毒が消えたようだ。

 メディシスにお礼しなきゃな。

 今度、キュアラを連れて遊びに行ってみよう。


 それにしても、ジャスの野郎は、いい加減にしてほしい。

 ギルドに訴えるには証拠がない。

 殺し屋を捕まえられるほど強くなれって事ね。


 今の俺はパワータイプの剣士だ。

 矢とは相性が悪い。

 敵は俺を分析している。

 弱点を無くしていこう。


 それにはまずスピードだな。

 スピードが上がる食材と言えば、この辺りではウィンドウルフの肉だな。

 次はこれを狩りにいこう。

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