第3話
――。
ピンポーン
大きな音が響いた。こんな音は初めて聞いた。
な、なんだろう。
「ハーイ!」
あの者がどたどたと目の前を横切っていった。
「ドウモー、ヒッコシノイナリキツネデスー」
「アッドウモ! ホンジツハヨロシクオネガイシマス」
あの者が別の
それから、あの者のものよりもうるさい足音がしたと思ったら、
――天変地異が始まった。
どったんばったん、地面がゆれる。
「イチ、ニ――」
「「サン!」」
「ウシロキヲツケロ」
こ、
さいわい、足音たちはこちらへ近づいてきていない。
「ツギ、マットレス」
「ウス」
と思ったらこちらへ来てしまった。
私は身を低くして警戒する。
な、なにかあったら自慢の爪で応戦しよう。
「イチ、ニ――」
「「サン!」」
ひええ……。
――ドガッ!
うわあああっ! せ、世界が回った。
「アッ……」
「オイッ! ……スイマセン! コレケッチャイマシタ」
「ア、マジスカ。ダイジョウブデス」
な、なにが……。
すると、あの者の足音がして、
「ダイジョウブカ? ゴメンナ、オレガモットクベキダッタナ」
こ、今度はなに!? びっくりさせないでほしい!
――。
ブロロロ……
足音たちがいなくなった。
よ、ようやく落ち着ける……。
「……モシモシ、オフクロ? イマカライクカラ。……イイッテ、ドウセダレカスマナイトイケナカッタンダ、チョウドイイ。……アア、タスカルワ。…………ダイジョウブダッテ。ウン、ハイハイ、オッケー。ジャアマタ」
あの者がなにか言っている。
「ヨシ、オレタチモイクカ」
――そしてまたもや目まぐるしくかわる音とにおい。
お、落ち着けない!
――。
――ガララララッ
「タダイマー」
「――オカエリー」
「ヨッコラセ、アアツカレタ」
ぼんぼん。
「オマエモ、ナガタビオツカレサン。キョウカラココガオマエノイエダ」
ぼんぼんぼんぼん。
ひええ……。
そして、パタパタパタ――
どういう足の形をしているのか、ふしぎな足音が近づいてきた。
「オカエリー」
「ウン。ニモツハ?」
「モウイレトイテモラッタヨ。ミチハコンデタ?」
「シンカンセントバスデキタカラワカンネ」
なにごとか言っている。
「ヨッコラセ、ット」
「コノコガ、イッテタネコチャン?」
――ぬうっ、と
(うわあああっ!?)
「シャ―――ッ!」
「アラカワイイ」
「オコラレテンジャネエカ、ヤメロッテ」
「ハイハイ。……イロイロ、セキニンモッテデキルノ?」
「ヤル。オトコニニゴンハネェ」
び、びっくりした! これだから
「ソウ……ゴハン、ヨウイシテアルカラ、テヲアラッテキナサイ」
「マジ!? タスカルワ!」
――。
「ゴチソウサマデシタ!」
「ハイハイ、オソマツサマデシタ」
「ア゛ー、クッタクッタ……」
草と花のにおいがする風が吹く。
木が小さくゆれる音、川の水が流れる音、虫がなく音、
こんなにおだやかで静かな場所は初めてだった。
やっと落ち着くことができた……のはいいんだけど。
ひとつ、大変なことを思い出してしまった。
「ネコチャンノゴハンハトカトイレハ?」
「イマダスワ。ニモツドコ?」
「アンタノヘヤ」
「オッケー」
――トイレに行きたい! 土はどこ!?
緊張の連続でわすれていたけど、昨日からずっと我慢していた。
それももう限界で、でも
今は
に、忍耐……。
あの者が立ち上がってどこかへ行こうとしている。
その調子で変な足音の人もいなくなってほしい。
「アンタ、ジュウミンヒョウノイドウトドケハ、ハヤメニダシトクノヨ?」
「ワカッテル」
「メンキョショウトカ、ホカニモヨ?」
「ワカッテルッテ!」
うわあああ! 早くいなくなって!
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