第2話

洗濯終わったら、ワイシャツにアイロン掛け。

専業主婦になりたくて結婚したくて、誰でもいいからって思って。早くお母さんから離れたかったから。

いつも、父に怯えて母と2人台所の冷蔵庫の隅で、食パンを食べてた。

食パンだと、一枚ずつ食べても4日間持つから。

学校は行かせてもらえなかった。

外にさえ、あまり出た事はなかった。

母と夜の公園にペットボトルに水を汲みに行った時、私はいつもブランコに乗った。

ブランコは私を不思議な気持ちにしてくれる。

どこかにフワッと飛んで行けそうな、お腹が空くのも忘れられる私の1番の幸せだった。

私の唯一の楽しみだった。

母は、ある日包丁を持って父が帰ってきて直ぐに、凄い速さで胸を刺した。

冷蔵庫の所から玄関まで走って凄い勢いでかかっていった。

デブで大柄な父は目を大きくあけて、ガァーって声を上げたと思ったら床にドカンと倒れた。

指がトトンと揺れた気がした、それから、玄関に血が流れた。

私は、食パンで父の血を拭いてあげた。

母は、大声で泣いていた。叫び声の様な母のその声はアパートの外まで響いていた。

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