赤点魔法使いヨナカ

@gsugeufufeuuyf87

第1話

 「姫さま姫さま」高く澄んだ声がする。ああ、朝が来た。マジやだ起きたくない。「姫さま姫さま」「おーきーるーよー!」「起きてますね。さあ支度をしましょう」「…」暖かい布団の中で必死に抵抗する。朝日なんて見たくないもん。眩しいもん。「姫さま姫さま」「…」「もう7時ですよ」「!!!」あたしは飛び起きてものすごい速さで制服に着替えた。髪をとかして、顔を洗い、食卓に向かって猛ダッシュ。あそこまで必死に走って5分。ここは魔法界第三王国の偉い人が集うお城。首都コチョットの街の北にあって、大きくて、綺麗なお城。銀と白が基調の入り組んだ見た目で、世界名建築100選にも選ばれてる名城なの。どんな天気にも映える、そんなお城。我が家なんだけどね…。「姫さま!ネクタイをお忘れですよ!」「あっありがとノエラ!」


あたし?あたしは、そんな素敵なお城に住まうお、ひ、め、さ、ま…ってワケ!うふふふふ!オホホホホ! 

「ゲッ!」「ゴラアアアア!姫ええ!」

あれはコックのライラじゃんか!「なーにいいい?あたし何もしてないよおおお!」「してるがなぁ!飯が冷めるよお!」「分かったよもー!」

「そこから10秒で来なさい!」「うおおおっ!」

ダダダダダーッ「あっスゴイ!速い」「ヤッター」ピース。そしたら「こらっ!廊下は走っちゃいけません。やっと起きたと思ったらこれですよ…朝は穏やかに過ごしましょう」「ハーイ…ていうかノエラ、私の部屋から来るの早すぎない」「いえ、そんなことは」「早く食えって姫」「はーい」

 「うーんあったかい好き!」「ガハハ可愛いなうちの姫は」「そうですね」長テーブルの隅っこに座ってできたでホワホワのスープを飲む私を、両脇で2人が見守る。「ごちそうさまでした。おいしかったです」「おう」「では行きましょうか姫さま」「はーい」さ、学校だ!「ノエラー、ホウキ頂戴」

「今日は学校じゃありません」「え!!??」「塾ですよ」「うわあーん」「大丈夫です。私が隣に居りますから」「そういうことじゃないのー」「ホラ!行きしょう」やだーーーっ!




 「スエンダ・リリー・ヨナカ。」

「はい!」「素敵な名前ね、いつ読んでも響きが好き。」すかさずノエラが答える。「ありがとうございますローラ先生。リリーというのは、どこかの国にある花の名前だそうですよ。」「まあ素敵ね。いつか見てみたいわ。そういえばあなたのお名前は何というのかしら。」わたしはノエラの名前が大好き。だって…。「ホワイエ・リリス・ノエラといいます。」「まぁ、似てるのね。」「ええ、わたしはもちろん姫様とは血の繋がらない他人でございますが。」「お母さんが言ってたよ!わたしの真ん中の苗字は特別だって!」するとローラ先生は笑みを浮かべながらわたしを見つめて、「まぁそうなのね。」と答えた。

教科書の勉強はいつもノエラが教えてくれる。ローラ先生は有名な歴史けんきゅーか?で、ローラ先生は教科書に載っていないアレコレをわたしに伝授してくれるってわけ!


 「古代から続くわが国の歴史において最も注目すべきは領域である。わが国は各国より多い最多の特別領域を保持し、その多くは世界中から注目され、価値あるものとして厳重に保護されている。一方で皆が知っているであろうが、わが国は世界に向けて非公開の領域をもつとされ問題になったことがある。しかしそれは事実ではなく、強大な力を放つ領域を隠すことはわれわれには不可能である。その他にも、各国、国内、地域内において領域に関する問題は数多くあり、今を生きるわれわれが一つ一つ解決していかなければならない…グゥ。」「よろしい。これは昨日お城でやりましたね。」「あれっ!?」

グゥ、グゥ、グゥ……!!「こら!まーた…寝てないで聞きなさい」「ノ、ノエラ、ごめん」「全くいつもいつも、私でなく自分に謝りなさい。未来のために勉強しているのですから」「ごめんってば〜」「分かってませんねえ…ホラ聞いて」「あーん」「先生、すみません、続けてください」すかさずローラ先生が怒鳴る。「重要な単元ですよ、姫!!」「うわあんやだあーーーー」「ゴホン!では次の行から音読してください」「え、どこ?」「…十二行目です」「えーっと」



つづく

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