第6話

「おはよう。今日はちょっと起きるのが遅かったわね。いったいどうしましたの?」

「おねえさま……。なんだか、ボーっとします……」

「あら、熱かしら? ちょっと失礼しますわ」

(……おねえさまの顔、すぐ近くに見える……。

 おねえさまの瞳、きれい……。唇も、ピンク色で……。

 それに息も……、体の匂いも……。

 おねえさま、おねえさま……。わたし、わたし……)

「熱はないみたいですわね――え? どうかしましたの?

 ――っ!? その瞳、貴女まさか――んぅ!?」

「んっ、ちゅ♥ ぁ、おね、さま……♥ しゅき、しゅき……♥

 わたしは、おねえさまのもの……。けど、おねえさまは、わたしの……もの♥」

「んっ――っふ、ぅ……。おちつ、んっ、れろ、っちゅ、んっ――あっ。落ち着きなさ――ひゃんっ」

(まずい、暴走してますわ……。しかも、素質があると思ってたけど……ワタクシを圧倒させるほどだなんて……。

 ああ、ダメ……ダメ。貴女はワタクシの所有物なのですわよ。

 だから、ワタクシが貴女のものになんて、なっては――)


「んっ、れろ……あはぁ、おねえさまの肌……美味しいです♥」

「あっ、んぁ♥ ら、らめ、れすわぁ……♥ ワラクヒ、おひ……おひて、しまいまひゅわぁ……んぁ!」

(あたま、バカに、なってしまいますわぁ……。

 この子、こんな隠された才能もあったなんてぇ……♥

 ああ、ワタクシの顔……きっと、何時もこの子がしてるみたいに蕩けてるに違いありませんわ。けど、こういうのも……アリ、ですわね♥)

「おねえさまぁ、今度はわたしのを舐めてくださいよぉ♥ 『丹念に、宝物のように、優しく舐めて』……あはぁ♥」

「わかり、ましたわぁ♥ ん、れろ、れろ……」

(ああ、マズいですわ。この子、命令してるということは……きっと、ワタクシのお腹にも淫紋が刻まれてるに違いありませんわ。

 互いが互いに首輪をかけている。……うふふ、なんて背徳的なんでしょう♥)

「貴女も、ワタクシを『舐めてくださいな。情熱的に、愛を込めて』……ふふふ♥」

「はぁい♥」

(わたしに命令されながら、命令してくるおねえさま……。

 いっぱいいっぱい、愛を込めて、舐めますね♥)


「はぁ、ふぅ……。気持ち良かったですわ……」

「わらひも、れす……♥」

「……正気に戻ったみたいですわね」

(おねえさまの指、わたしの指と絡み合って……わたしが絡ませれば、返すように絡ませてくる。

 おねえさまと心がひとつになったみたい……。ああ、きっとこれが幸せなんだ)

「……ええ、幸せ、ですわね。

 実を言うと、ワタクシは貴女に飽きたら棄てようと思ってましたのよ」

「え……(そんな、わたし……おねえさまに捨てられるの?)」

「けど、気が変わりましたわ。貴女はワタクシのもの。そしてワタクシは貴女のものですわ。

 ほら、ワタクシの下腹部を見てごらんなさい」

「あ……、これ……。わたしのお腹の痣と同じ……」

「ええ、これはワタクシが貴女の所有物という証ですわ。つまりはお互い、主であると同時に僕ということですわ」

「え? でも、わたしは人間じゃ……」

「残念ですけど、ワタクシの気に中てられ続けていたことと……素質があったからか、貴女はサキュバスになりますわ。

 それも、ワタクシと同じランクが高いサキュバスに」


「え? え……、え? えぇぇぇぇぇ~~~~!?」

(わたしが、サキュバス? おねえさまと同じ、サキュバスに?!)

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