第4話

「お、おねえさま……。行かないと、ダメ……ですか?」

「ええ、貴女という素敵な存在をバカにしていた学校の者たちを見返しに行きましょう」

「でも……」

(怖い。おねえさまに『一度だけ学校に行ってみましょう』って言われたけど……やっぱり怖いよ)

「大丈夫ですわ。ワタクシが側に居るんですもの。さ、行きますわよ」

「…………はい」

(怖い。でも、おねえさまに握られた手が温かくて、なんとかなりそうって気がしてしまう。

 今なら、扉のノブを回して……外に出ることが出来そうかも)


(うふふ、どう? チラチラと貴女を見てくる周りの視線は?)

(……気持ち悪いです。粘っこくて、背筋が寒くなって、吐き気がします……)

(それが貴女に欲情しているというものよ。それに感じるでしょ? ほら、あちらから欲情とは違う視線を。……特にあの女から)

(はい、あの人が……わたしをブスって言ってた人のリーダー格です)

(ふ~ん、化粧が濃い。その上、目元もプチ整形とかしているのがわかりますわね。

 それに比べて、貴女はきちんとお風呂に入るようになったからきめ細かい肌が丸わかりですし、ワタクシが揉んでいたために制服から弾けそうなほどのお胸になっていますわよね。それに、お尻も……♥)

(~~~~っ、そ、そう、ですね……。でも、制服がきついのは本当です)

(そう。だったらもう少し大きいサイズを用意するか……すこしアレンジしてあげますわね)

(おねえさまのアレンジ……。な、なんだか凄いことになりそうです)

(うふふ、男を誘うセクシーなアレンジにしても良いですわね。――っと、仕掛けてきましたわ。

 大丈夫、貴女のそばにはワタクシが居ますもの。余裕を持って相手をしなさい)

(は、はい……。が、頑張ります)


「どうだったかしら、久しぶりの学校は?」

「怖かったです……。けど、おねえさまが側に居てくれたから、大丈夫でした」

「うふふ、そう言ってもらえると嬉しいですわ。けど、彼女たちに酷いことを言われていても傷ついてはいなさそうですわね」

「は、はい、『ブス』とか『死ね』とか『学校に来るな』とか言われてたけど、心が痛みませんでした。

 ……きっと、おねえさまが側に居てくれたことと、おねえさまみたいに心がこもっていないからだと思います」

「そう言ってもらえるなら嬉しいですわね。けど、ちょっとお楽しみのタイミングをミスってしまいましたわ~」

「おねえさま? もしかして、学校で何かをしたかったんですか?」

(何か重大なことでもあったのかな? それに、突然学校に行きたいって言ったのはおねえさまだし、きっとそう……だよね?)

「あら、貴女を見せつけたいというのは本当ですわよ。けど、たまには屋外、それも学校のトイレで貴女を愛してあげるのも面白いかなと思ったわけですわよ♥」

「~~~~っ!? お、おねえさま、エッチです……」

「ええ、サキュバスですもの。エッチなことは毎日考えていますわ」

「そうでした……」

(側に居てくれてたから忘れかけてたけど、おねえさまはサキュバス。人間とは違うんだ。

 ……もし、おねえさまがわたしに飽きたら、わたしは……またひとりになるのかな?


 ――――そんなの、嫌だな)

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