第19話 元カノ その二
「二人は、け、、け、、、結婚しっとっとぉ〜!?」
あー、うちの母さんと全く同じ反応だ…。
『ふっ』、僕はちょっと笑ってしまう。
まあ、取りあえず、今は誤解を解いておくか…。
「いや、違うんだよ。漢字は違うけど、僕と彼女は同性同名なんだ」
「そげんとね?そんなことあるとー!?つーか、なんで標準語になっとうと?」
「いや、なかなか元に戻すのは難しいんだよ」
「えー!?宮畑君は九州男児やけん、ちゃんとせなあかんよ」
「でも、そう言われてもさぁ…」
その時、
すると、、、
「香住さん、、そうですよね〜!?私もそう思うんですよ。宮畑君は、博多弁が一番似合ってますよね。私、宮畑君の博多弁が好きなんです。だって、とてもかっこいいし!!」
中塚は、
「わかった。わかった。じゃあ、頑張って話すけん、許してっちゃ」
「うん。……許します」
さっきまで唖然としていた中塚は、そんな
「私、今だから言うけど、あの時は、本当に宮畑君のことを好きやったんよ。でも、なかなか会えなくなって、なんかすごく寂しくて。結局、自分から連絡をするのやめたけんね、、。でも、後になって、それを凄く後悔しとったとよ。でも、今日でスッキリしたけん、もう大丈夫。宮畑くんと宮畑さん、仲良くね!じゃぁね」
中塚は、自転車の前カゴにスーパーで買った荷物を乗せると、もう一度僕らの方に手を振り、そして、ゆっくりとペダルを漕いでいく。
中塚は、夕陽を背に受けながら、どんどん小さくなっていく。僕は、ちょっとだけセンチメンタルな気持ちになり、その姿が見えなくなるまで突っ立っていた。
「あの、、宮畑君!?率直に聞きますが、中塚さんのことはどう思ってるんですか?」
ちょっとセンチになっている僕に、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で問いかけた彼女は何故か顔を伏せている。
「ん?中塚?昔のことだよ。僕はあの時、恋というのに恋をしていたのかなと思う。初めて、女の子に告白されてさ、僕は、凄く嬉しかったんだ。でも、そんな軽い気持ちだけでは、長距離恋愛は出来る訳ないしね。ただ、僕が、東京に行かず、もし福岡にいたら、、、それはどうなったかは分からないかな。自分の気持ちを素直に言える真っ直ぐな子だったから…。そう、凄く良い子だったんだ」
「はい。私もそれはわかりました。香住さんは、とてもいい人ですね。そして、真っ直ぐな人だと思いましたし、素敵な女性なのは間違いありません。でも、私も、もっともっと…。と、とにかく頑張ります!」
彼女は、僕の顔を見ると、もう一度、「頑張ります」と言った。
「お、おう。で、何を頑張るの?」
「はっ!!!なんで、そうやって、宮畑君はすぐに意地悪ばっかり言うのですか!?わかってる癖に!!」
『いや、、全く分かりませんけど…』という言葉は発しないまま心に留め置く。
何故なら、彼女が僕のシャツの裾を握って、顔を真っ赤にして僕を見上げているから…。
あー、、、可愛くてしかたありません!!!
To be continued…
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