第14話 太宰府天満宮へ行きましょう!
「
ずっと福岡観光サイトを調べていたのだから何かしら行きたい所はあるに違いない。僕は、彼女に尋ねてみた。
「えっと、太宰府天満宮に行ってみたいなって…」
「そうなんだ。行ったことないんだ」
「そう、私、東京出身で、といっても二十三区から随分外れてるとこだけど。修学旅行は奈良、京都だったし…。福岡というか九州に上陸するのは初めてなんです」
「へぇー、そうか〜。そうなんだ。じゃあ、太宰府行きますかね」
「はいっ!」
僕達は、空港の到着ロビーからエスカレーターで、福岡市営地下鉄に向かう。
福岡空港は、繁華街に近い空港の一つで、地下鉄で二駅乗ると、もう博多に着いてしまう。なんて便利なのだろう。
そうして、僕らは、市営地下鉄、西鉄と乗り換え、太宰府天満宮へ到着した。
彼女のキャリーは、駅のコインロッカーに入れたので、彼女は軽やかに歩いている。
太宰府というと、多くの人は『天満宮』を思い浮かべると思うが、地元の僕からすると、太宰府と言えば、やはり梅ヶ枝餅だ。
梅ヶ枝餅とは、小豆餡を薄い餅の生地でくるみ、鉄板で焼く焼餅のことで、参道の両脇にある多くの店で販売している。勿論、お土産として持って帰ってもいいのだが、やはり、ここ太宰府天満宮に来たならば、出来たてをその場で食べるというのが最高に乙なのだ。
「うわぁ。なんだか、お腹が空いてきました」
「うん。ちょっと早いけど、お昼にする?」
「はい。食べましょう」
彼女の淡いクリーム色のワンピースが初夏の太陽の光を浴びている。
まるで、スポットライトを浴びているかのような一瞬の情景に僕は、ただただ見惚れていた。
「あの、、何か変なところありますか?まさか、また前歯に何か付いてるとか?」
はっと異世界から現実に戻った僕は、ぶるぶるっと顔を振ると、顔を真っ赤にしながら、駆けだした。
「宮畑君、なんなんですか!?待って下さいー!!」
そう言いながら、小走りで僕を追いかけてくる彼女。なんて幸せな時間なんだろう。僕は、今、この時間を心から噛みしめていた。
「じゃあね。梅ヶ枝餅は四個ください。で、僕は肉うどん、
「えっと、、私も肉うどんで」
名前が一緒だから趣向も似ているのだろうか?と思っていたが、このお昼で確信に変わる。これだけメニューが豊富な中から、同じものを選ぶ方が難しいと思う。
「おいしいね〜〜。うどんが東京とは全然違いますね。柚子の欠片が良い仕事してるな〜。あっ、私、作れないんだけど、食べるのは好きなんです」
長い髪を耳にかけながらうどんをすする彼女の姿に見惚れてしまう。
「僕もそんなに料理は上手じゃないと思うけど、ほら、大学からずっと一人で住んでるから、いつの間にかそこそこの料理は出来る様になったんだよね」
「そうなんだ〜。いいな〜。今度教えて欲しいかも」
ちょっと見上げる瞳にノックダウン。あー、これって、破壊力マックスじゃないの?
僕は、溜まらず言葉を発す。
「それでさ、家を出るときに言ってた、その『ぐちゃっ』とした気持ちって何かわかったの?」
「えー、、、まだです。まだまだ。もっと宮畑さんと一緒に過ごさないと解決しませんから、引き続きよろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げた彼女に僕はついついため息をついてしまう。
もう、僕から告ってもいいでしょうか?
『もう、耐えられません!!!!』
To be continued…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます