第13話 博多弁で話して欲しい!?

「ふうー。怖かったですよね〜。宮畑君は流石に慣れてましたね。凄いな〜。尊敬しちゃう」


 飛行機を降りるなり彼女から賛辞の言葉を浴びる。

 いやいや、、、大きな声では言えないけど、僕も腰が抜けるくらいビビってましたからね。でも、彼女の前ではそんな姿見せるわけにはいかないでしょう?

 何とか耐えた僕は、本当に頑張った。自分に百点満点をあげたいよ。ほんとに。


 出口に向かう長いエスカレーターに乗った僕たちは、ゆっくりと降って行く。すると、正面に、博多銘菓の大きな看板が見えた。


「にわかせんぺい?」

「そうそう。これって、昔からあるんだよな〜。懐かしいな〜」


 僕らは、近くの売店に入り、そのお菓子を見つけると、手に取ってパッケージを眺める。


「ねえねえ。宮畑くん!宮畑君って九州弁って話せるの?」

「ん?九州弁とは言わんね。博多弁でしょ?だいぶん忘れてしまったけど、まあ、少しなら話せると思うけど…」

「なら、これ。これ言ってみて」


彼女が指さしたところには、このお菓子のテレビコマーシャルの一コマが書いてあるプライスポップだった。


「ほら、けんじ。またケンカしてきたっちゃろう?早くこれ持ってことわり行ってきんしゃい」

「・・・・・」


 どうしたのだろう?

 彼女は満面笑みに加え感動した目で僕を見ている。


「あの、宮畑君。もう一度言って。ねぇ、早く!!」


 この笑顔でせがまれたらやらなしゃーないな…。


「ほら、けんじ!またケンカばしてきたっちゃろ?早くこれ持ってことわり言ってきんしゃい!」

「・・・・・・・・・・・・・・」


 もう、長く東京に住んでいるから、博多弁のニュアンスって、正直忘れているんだけど、やっぱり身体の奥に染みついているんだろうな〜。

 無理矢理でも博多弁を使ってると、少しずつだが思い出す…。だから、二度目の方がよりネイティブ的な感じで言えたと思う。


 彼女は、さらに感動した趣で僕を見つめている。


「何?どうした?やっぱりおかしいかな!?」

「そ、、そんなことない!!!すっごい素敵!!宮畑君と博多弁って凄い合ってる。もっと聞きたい!!!」

「いやぁ〜、そんなには話せないよ。だってもうほとんど忘れとるけん」


 くっ、、、。


 忘れてるとか言っておきながらしっかりと博多弁で話す僕って…。

 だけど、彼女は、博多弁がとても気に入ったようで、何かに付け、僕にリクエストしてくる。


「ねえ、行こうって博多弁で何て言うの?」

「う〜ん、、。行くばい!かな…」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「そしたらね、やめてくださいは?」

「う〜ん、、。やめんしゃい!かな…」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 もう、なんとも言えない瞳キラキラで僕を見るのをやめんしゃい!!とつい言葉に出すところでした…。



To be continued…

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