第8歩 ど忘れと再会と再開
あー。あーー。思い出しただけで、赤面してしまう。あの空気感が……
「恥ずかしいーーっ」
「うるさいぞ、日雀君」
「んなっ。いたんですか、青咲さん」
当たり前だろ?みたいな顔をして、ぼくの顔を見てくる青咲さんは、相変わらず自分の家のようにぼくの部屋でくつろいでいた。
「言うつもりなんてなかったのに。微笑ましく、見守るつもりがっ」
「まあ、いいんじゃないのか?あの2人は、関係を進められずにいたんだから、よくやったよ日雀君っ……ふふっ」
「わっ、笑ってるじゃないですか。あーっ!恥ずかしすぎる」
結婚すればいいのに、なんてぼくが言うことじゃないのに。やらかしてしまって、本当に恥ずかしい。
「あっそうだ。恥ずかしくて、赤面しっぱなしの日雀君。実は、君に再会してもらいたい奴がいるんだが」
足をじたばたしながら、青咲さんの話を聞いていたから、適当に聞いてしまって、内容が全く入ってこなかった。
「はい?」
「まあ、会えばわかるよ」
そんなことを言って、青咲さんはぼくの部屋を出た。
「えっ、会うって今からですか?ちょっと、待ってください青咲さん!」
そこら辺にあったTシャツに着替えて、靴も適当に履いて、急いで青咲さんの後を追った。まったく、青咲さんは急に動き始める。
少し頭に文句が浮かんだが、青咲さんに追いついてからは頭の中は違和感でいっぱいだった。青咲さんがもうすぐだと言ってから数分後、何だか懐かしい場所に来た気がする。
「日雀君、ここだ」
ぼくが住んでいるアパートと同じような、古くもなく新しくもない建物の2階の一室の前に来た。インターホンを鳴らし、男性が出てきて、
青咲さんが名前をど忘れし、紹介できない間に、ぼくの記憶がばばばっと戻ってきて……
「いぶき!?!?」
「おっ……おう風吹」
数年ぶりの再会である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます