Day30 貼り紙
軒先に貼られた夏祭りの案内が書かれた貼り紙を見て、明日が祭りであることを思い出した。
夏祭りは朝から晩まで行い、この地域以外の人間も出入りする一大イベントだ。
祖父はその準備で朝から集会所へ、母と真衣は昼寝をしている。私はいつもの散歩コースをまわってちょうど家に着いたところだ。
祖父の家に滞在するのもあと二日。一ヶ月は思いの外早く過ぎていこうとしている。
それは、真っ赤な夕暮れに身を投げようとしたあの日から一ヶ月経つということも示していた。
あれ以来、『終わり』のタイミングを掴めないまま、ずるずると今日まで来てしまった。これでいいのだろうか。……きっと、これにも何らかの意味があるはずだ、と祖母は言うだろう。
意味があるのだとしたら――。
このまま生き続けろということなのかもしれない。あの日『終われなかった』のも、なんだかんだで一ヶ月生き続けたのも、そういう意味があるからなのかもしれない。
祖母の手紙に込められていた本当のメッセージは、私に思い直させることだったのか?
しかして、私は生きてもいいのだろうか……。
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