Day25 キラキラ

 祖父の家の近くを流れる小川に親子四人で遊びに来ていた。私と祖父はそのほとりで母と真衣が遊んでいるのを眺めている。

 今日も暑い。暑さの元凶となる日は南より少しだけ西に傾いている。そこから発せられる光が水面をキラキラとさせていた。

 光を跳ね返す水に、私は美しさを覚える。

 昔、小学校で水は循環しているということを習った。山から海へ流れて、蒸発した水が雲となりまた山へ雨を降らす。そして、また海へと流れ――。

「美しさって循環するのかな」

 私は祖父に訊いた。水が循環するように、今こうして感じている『美しい』という思いも、回り回るのだろうか。

「咲紀は難しいことを訊くなぁ」

 祖父は微笑みながら言う。

「それはどうか分からんけれど、美しさにまつわる話を婆さんがしてたなぁ」

「美しさにまつわる話?」

「あぁ。いつも、全ての物は美しいんだってな。よく婆さんが言っていたよ」

 全ての物は美しい――。きっとそれは、虫も植物も、人間も、あるいは、自分を中心に渦巻く出来事も、なのだろう。

 となると、私の考える『終わり』も美しいことになるのだろうか。決して全ての『終わり』が美しいとは思えないが、捉え方によってはそうも見えることがあるのだと思う。線香花火の時に感じた『終わりの美しさ』はあながち間違いじゃないのかもしれない。

 『終わり』は美しい。

 納得するには少し時間がかかりそうだ。

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