Day21 短夜
日頃、なかなか寝付けない私は今日も居間で学校の課題を片付けていた。
課題を始めて2時間ちょっと。数学の課題が終わり、一息つく。
『終わり』について考え始めて、もう三週間。時が流れるのは年々早くなるばかりだ。
私は机の端に置いてある煎茶を啜った。
――『終わり』は再生の合図。
あの日から、祖父の一言が心のどこかに引っかかり続けている。
私も『終われば再生する』のだろうか。
輪廻転生という言葉もあるように、もしかしたら他の生き物として生を受けることがあるのかもしれない。しかし、『終わり』のその先は暗闇の中だ。誰も知り得ない秘密の世界。人々はそこに対して恐怖を抱くことがあるというが、私は特にそういったことはなかった。
生きる意味を探し始めた今でも、漠然と死んでしまいたいと思う。意味探しは『終わり』を待つための壮大な暇つぶしなのかもしれない。
そうか。生きる意味は『暇つぶしのため』でもいいのか。少し味気ない気はするが、そんな意味があってもいい。でも、私はその意味に納得出来ないように思う。理由は分からないが……。
なんとなく、ふっと顔を上げた。目線の先には、徐々に光が差し始めた台所の窓がある。
夏の夜は短い。物思いに耽るのには短すぎる。
課題も片付いたところだし、そろそろ寝てしまおうか。私はノートや参考書を鞄にしまい、居間の電気を消した。
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