Day9 団扇
久しぶりの晴れ。私は真衣の外遊びに付き合っていた。
今日も猛暑。水遊びの次は五目並べ。金魚の描かれた団扇で顔を扇ぎながら、縁側で石を並べていた。
意外にも地味な遊びに興味を示した真衣は汗だくになりながらも、一生懸命彼女なりに考えているようだった。頭を使う遊びもたまには良いらしい。
真衣は石を片手に持ち、唸りながら言った。
「人って死んだらどこに行くの?」
「え?」
「おばあちゃん死んだじゃん。死んだらどこ行くの?」
真衣は真っ直ぐな目で私を見た。動かしていた団扇が止まる。
彼女にも祖母の死の影響は及んでいた。まさか、このような形でそれを認識させられるとは思ってもいなかった。
突然の質問に私は戸惑う。
なくなったらどこへ行くのかなんて、私には分からない。
「ねぇ、どこ行くの?」
真衣が答えを急かす。額から汗が流れてくるのが、分かった。
「て、天国、かな……?」
ありきたりな答えを返してみる。これで納得はできないだろう。私が真衣の立場だったら無理だ。
そもそも、天国なんて存在するのか。人間の考えた戯言なのではないのか。『終わり』を迎えた者にしか分からない『その先』に思いを巡らせてみるが、答えは分からない。納得する答えは――。
「はい、お姉ちゃんの負けー!」
にんまり笑った真衣が叫んだ。その声で、はっと我に返る。
真衣の興味の赴く先がずれたことで、私は安堵した。しかし、疑問は残ったままだった。
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