Day4 滴る

 祖母の火葬も葬式も終わった。

 葬式が終わった後もバタバタとする家の中を尻目に、私は縁側でぼんやりしていた。

 まだ7月初旬なのに、猛暑である。夕暮れ時になってもムシムシと暑い。額にはじんわりと汗が滲む。

 棺におさめられた祖母の顔は綺麗だった。よく言う例えではあるが、本当に眠っているようだった。すっと起きて、私の名前を呼んでくれるんじゃないか、と思えるほどに。

 もうこの世に祖母は存在しない。荼毘に付されて、その形すら消えてしまった。寂しいというよりも、私にはそのことが不思議で仕方なかった。つい半日前まで存在していたのに、もういないだなんて信じられなかった。

 遠くでは真衣の騒ぐ声が聞こえてくる。

 妹は祖母が消えてしまったことを認識できているのだろうか。小学一年生だから、祖母が死んだということ自体理解できていなさそうだ。

「お姉ちゃーん、ママがご飯行くよーって言ってるー!」

 汗を滴らせながら、真衣が縁側に勢いよく駆け込んできた。汗だくになるほど遊んでいたようだ。

 ……やはり、ちびっ子に『終わり』という概念は難しいのかもしれない。

 私は真衣の汗をハンカチで拭う。

 蝉はまだ鳴いていないが、本格的な夏の訪れを真衣が知らせてくれたような気がした。

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