Day4 滴る
祖母の火葬も葬式も終わった。
葬式が終わった後もバタバタとする家の中を尻目に、私は縁側でぼんやりしていた。
まだ7月初旬なのに、猛暑である。夕暮れ時になってもムシムシと暑い。額にはじんわりと汗が滲む。
棺におさめられた祖母の顔は綺麗だった。よく言う例えではあるが、本当に眠っているようだった。すっと起きて、私の名前を呼んでくれるんじゃないか、と思えるほどに。
もうこの世に祖母は存在しない。荼毘に付されて、その形すら消えてしまった。寂しいというよりも、私にはそのことが不思議で仕方なかった。つい半日前まで存在していたのに、もういないだなんて信じられなかった。
遠くでは真衣の騒ぐ声が聞こえてくる。
妹は祖母が消えてしまったことを認識できているのだろうか。小学一年生だから、祖母が死んだということ自体理解できていなさそうだ。
「お姉ちゃーん、ママがご飯行くよーって言ってるー!」
汗を滴らせながら、真衣が縁側に勢いよく駆け込んできた。汗だくになるほど遊んでいたようだ。
……やはり、ちびっ子に『終わり』という概念は難しいのかもしれない。
私は真衣の汗をハンカチで拭う。
蝉はまだ鳴いていないが、本格的な夏の訪れを真衣が知らせてくれたような気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます