第2話 告白の真意
告白から始まるラブコメとはこれ如何に。
けどびっくりしたよ。あの誰も男を寄せ付けない高嶺のお嬢様、またの名をわがままお嬢様が俺に付き合ってだって?どういう風の吹き回しなんですか。
告白してきた態度こそガチなんですけど、裏がありそうでどうしても勘ぐってしまう。信じられるか?この女さっきまで「ぶっ殺すわよ」なんて言ってたんだぜ?
「いったいどういう風の吹き回しだよ、
告白に対してちょっと不誠実だとはさすがの俺でも思うがこうでもしないと橘のことは信用できないんだよ。
「あら、やっと私の名前を言ってくれたわね
メタいメタい。この女、わかってやがるッ!
「そりゃどうも、それとめちゃくちゃメタいからな。まるで俺たちが初対面かのようじゃないかよ。」
「あらそうね、けどあなたの方がメタいからね?細かいことはまぁいいわ。それで私と付き合ってくれるのかしら?」
そう言ってもう一度金色の髪を手で靡かせる橘。いちいちやってることが絵になりすぎている。これだから美少女ってやつは…
そこらの
「さっきも言ったが、いったいどういう風の吹き回しだよ橘」
そういうと橘の間ふわりと漂う雰囲気が突然変質した。
すると橘は、まるで自分がまるでか弱い女の子かのように演技をしだした。
「そ、そんな。信じてくれないの…?まるで私の告白に何か裏があるみたいじゃない…ひどいわ天音くん…」
あからさますぎる演技。しかし、そのクオリティはめちゃくちゃ高い。
普段の橘を知らない人はたちまち騙されるであろう演技力。
しかし普段の橘を知っている俺には効かない。
「はいはい」
「ほんとなのに…」
「まじそういうのいらんって」
「天音くん、私の事そういう風に思っていたなんて…」
「うん」
「なっ…!私はこんなにも彼方の事を愛しているって言うのに…こんなのってあんまりだわ…」
そういうとついに橘は目元に涙を浮かべ、下を向いてしまった。
なっ、ちょっとやりすぎたか!?
「ごめんって橘!ほら、顔を上げてくれよ!」
流石にやりすぎたと思った俺は橘の元に駆け寄る。
すると先ほどまでサファイアの目尻に涙までためていた橘はまるでさっきの事は嘘だったかのように顔を上げにやけづらを浮かべる。涙なんてその瞳には浮かんでない。
俺はやっとこの時気づいたんだ。ハメられたことに…
くっそこの
その気になったら日本一の大女優も夢じゃないぞ!
名演技すぎて危うく騙されるとこだった。
嘘です騙されてました。
涙を出したり引っ込めたりってホント器用なことしやがる。
「ふふふ、いい気味ね天音くん。とっても愉快だったわよ?」
そういって腹を抱えて笑い出す橘。
先程までの上品さの欠片もない笑い方だが、まぁこっちの方が可愛げがある。
ひとしきり笑って落ち着くと、橘はしゃべりだした。
「そうね天音くん。あなたの言う通りこの告白には世間一般的なものとは違うわ。」
だよなぁ…あのわがままお嬢様である橘が愛の告白なんてものをするわけがない。ましてやこの下僕という名の与えられている俺なんかには。
「だと思ったよ。だとすると……考えられるのは男避けくらいか?」
すると俺が言ったことが意外だったのか、大きく目を見開き手でパチパチと拍手をした。
「まぁ……そうね。一発で私の考えていることを当てるなんて、それでこそ私の下僕に相応しいわ。賞賛の意味を込めて拍手を贈ってあげる。」
やっぱりこいつ俺の事馬鹿にしてやがる。
しかし、一瞬橘に間があったような気がする。
まるで本当の目的は別かのように。気にしすぎだろうか?
それにしても男避けかぁ…嫌だなぁ。
「言っておくけどあなたに拒否権なんてないからね。拒否なんてしたらあなたに色々と
やっぱりこの橘とか言う女怖すぎる。敵にしちゃいけないタイプの人間だよ。
しかも色々ってとこが怖すぎるだろ。一体どんなことを流されるのやら。
「けどどうしてまた男避けなんているんだよ。まぁなんとなく予想はつくけど俺が男避けなのは意味わからん。」
「そうよ、おおかたあなたの予想通りであってるわ。私って見ての通り完璧美少女じゃない?」
俺が男避けになるのかってとこ普通にスルーされた。悲しいかな。
確かに橘の外面だけは完璧だ。外面だけは、な。
だけど性格くんさぁ、おめぇはダメだ。
まぁ外面はほんとに完璧美少女なので一応うなずいておく。
「だから毎日のように告白されるのよ。ほんと鬱陶しいことこの上無いわ、身の程をわきまえなさいよ。」
確かに橘は転校してきてからずっと告白されてるイメージがある。
ずっと下僕としてそばにお仕えしている俺も何度か分からないほどその光景は目にしていた。
けどまぁ、やっぱ怖いわこの人。身の程をわきまえなさいだって、それなら余計俺じゃダメじゃん。
「じゃあなおさら俺は不向きじゃないか?」
「いえ、あなたでいいわ。異論は一切認めないから。」
横暴すぎるだろ。しかも詳しい理由なんも話してくれないし。
もう俺に話すことはないと判断したのか、一人でとことこ帰る橘。
しかし、何か思いついたのかまた俺の方へと戻って来る。何か言い忘れたことでもあるのだろうか。
「なにぼさっとしてるのよ、帰るわよ」
そう言ってなぜか左手を俺に差し出してくる橘。
「あの、橘さん?なんですかその左手は?まるで一緒に手をつないで帰るみたいじゃないですか」
「何を言ってるの?そのつもりなのだけれど、なにかおかしなことでも?」
いやさぁ、たしかに恋人どうしなら全然おかしくないけどさ。
俺らって偽の恋人じゃん?俺ってば橘に釣り合う容姿とかしてないし。
そんな俺らが手をつないで下校してみろ。好奇の目と嫉妬で死ねるぞ。
主に俺が。
「いや、お前は別にいいのかよ」
「私?いいに決まってるじゃない、私が手を差し出したのよ?」
駄目だこりゃ。
橘ってもしかしてポンコツだったりするの?
いやポンコツだな間違いない。さっきまでのことが嘘みたいに普通じゃないか。
普通なほうが俺的にはありがたいんだけどさ、なんかどうしても疑ってしまうのは俺のせいじゃないと思いたい。
「お前がいいならいいけどよ」
そう言って俺は橘の左手を握る。
その手は女の子らしく柔らかく華奢で、少し力を入れてしまうと簡単に折れてしまうのではないかと心配になるほどで。
すこしこういうのもいいなと思ってしまう俺もいて。
「あぁ、だから来たくなかったんだよ………、って痛い!」
ホントに小さな声で呟いたのにも関わらず橘はちゃんと聞いていたようで、足を踏みぬかれた。
めちゃくちゃ痛い。
茜色に染まる空のなか帰る俺たち。
隣にいる橘に俺は目をみやる。相変わらず橘は可愛いかった。横顔からでも顔の造形の良さが目に入る。横から見てみると意外に
俺は橘の手の感触から目を背けるために、明日学校のやつらになんて言い訳を言おうか考えていた。
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こんにちはー!作者です!
1話、2話。ぶっちゃけるとあんまり面白くないです!笑
コメディ要素は次話からグーンと来ますので是非次話を見て判断していただけると…
ストックが切れるまでは20時投稿でいきます!
良ければ作品のフォロー、♡や☆などお願いします!m(_ _)m
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